IoT

IoTシステムとは?仕組み・普及した背景・実現できること・導入事例を解説

IoTシステムとは?仕組み・普及した背景・実現できること・導入事例を解説

目次

「IoTシステムを聞いたことはあるけれど、どのようなメリットがあるのかな?」
「そもそもIoTってなんだろう」

 

IoTの導入を検討している方の中には、上記のような悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。 IoTシステムによる自動化や効率化は、人材不足解消や従業員の負担軽減など、企業のさまざまな課題解決に活用されています。製造業や医療などさまざまな分野で活用されており、今後さらに新しいサービスが登場する可能性がある技術です。

本記事ではIoTシステムの仕組み・普及した背景・主な構成要素・IoTシステムで実現できること・導入事例を解説します。IoTシステムへの理解を深めたい人は、ぜひご参考ください。


IoTシステムとは?仕組みや普及した背景を解説

IoTシステムとはどのようなものか、以下3つの視点で解説いたします。

  • IoTシステムとは?
  • IoTの仕組み
  • IoTシステムが普及し始めた理由


IoTシステムとは?

IoTシステムとは、IoT技術(デバイスをインターネットに接続し、データを収集・交換できるようにする技術)を利用したシステムのことです。日本語ではモノのインターネットを意味します。

IoTシステムでは、モノへ通信機器を組み込み、従来はインターネットとつながっていなかったさまざまなモノのインターネット接続を可能にしています。インターネットに接続していることで、離れた場所にあるモノについてリアルタイムでの状況把握などができます。

IoTシステムは一般家庭にも広く普及しており、以下のように身近なモノにも取り入れられています。

  • テレビ
  • 照明
  • 炊飯器
  • 冷蔵庫
  • エアコン
  • 見守りカメラ
  • スマートロック
  • ウェアラブル端末
  • ドライブレコーダー
  • 自動運転アシスト機能

あらゆるモノがインターネットを介して操作できるようになり、日常生活で使用している家電製品などの利便性が向上しています。

さらに業務用機器にも取り入れられており、以下のようにさまざまな分野で活躍している技術です。

  • 製造
  • 建設
  • 医療
  • 農業
  • 物流
  • 飲食
  • 小売
  • 交通
  • インフラ
  • 教育

業務の効率化や自動化など、企業の課題解決にもIoTシステムが活用されています。事例に関しましては後述します。

IoTの仕組み

IoTは、センサーでモノの動きや状態などのデータを取得し、インターネットを介して指示通りに動作させる仕組みになっています。IoTの仕組みを構築するために使われるものは以下の通りです。

使われるもの

役割

機器(センサー)

データを収集

ネットワーク

機器・サーバー・クラウドを接続

ゲートウェイ

データの出入り口

サーバー・クラウド

データを蓄積・分析・処理

アプリケーション

システムを制御

詳しくは後述しますが、機器に取り付けられたセンサーは、音や光などの機器の周囲の環境やモノの動きなどのデータ収集が可能です。センサーは、画像を取得するカメラや圧力を感知するものなどさまざまな種類があり、収集したい情報に合わせたものが搭載されています。

収集されたデータはインターネットを通じてサーバーやクラウドに保存されます。この際データの出入り口となるのがゲートウェイです。

サーバーやクラウドに蓄積・分析・処理されたデータに基づき、専用のアプリケーションでIoT機器を制御します。これがIoTの仕組みとなります。


IoTシステムが普及し始めた理由

IoTシステムが普及し始めた理由は、『社会的なニーズの増大・技術革新によるデバイスの低価格化』が主に挙げられます。事実、総務省務省が公表している資料では以下のように記載されています。

IoTで実現する機器と機器の通信は、M2M(Machine to Machine)と称して2000年頃よりテレメトリング(通信技術を用いた計量器などの読み取り)やセンサーネットワークなど一部アプリケーションにおいて注目されてきたが、爆発的な普及には至らなかった。何故、今、IoT/M2Mが再び注目されているのか。その理由としては、社会的な要請等のニーズの側面と、デバイスの低廉化等のシーズの側面が挙げられる。

引用元:総務省|ICT化の進展がもたらす経済構造の変化|293ページ目(2024年1月19日時点)

社会的ニーズの面では、自然災害対策・インフラの老朽化に伴う安全保障・生産性向上などの社会的課題への対応として、IoTによる解決策への期待が高まっているとのこと。

そして技術的側面では、様々なセンサーや通信モジュールの低廉化と高機能化・プラットフォーム型やクラウド型サービスの普及による導入コストの削減・アプリケーションの多様化などが、IoTの発展を促進しているとのことです。

技術は今後も進歩していくことが考えられますので、それに伴いIoTの普及もさらに加速するかもしれません。


クラウドなど!IoTシステムの主な構成要素

先述した仕組みの中から、以下3つをIoTシステムの主な構成要素として解説いたします。

  • センサーが取り付けられた機器
  • ネットワーク
  • クラウド


センサーが取り付けられた機器

IoTシステムの構成要素の1つが、センサーが取り付けられた機器です。IoTシステムでは、機器に取り付けられたセンサーでモノの動きや状態などを検知し、データを取得します。使用されるセンサーで取得できる主なデータは以下の通りです。

  • 温度
  • 圧力
  • モノや人の動き
  • 映像・画像
  • 加速度

これらのデータをセンサーで取得し、データを蓄積します。IoTシステムはセンサーで収集したデータを処理することで活用できるシステムです。センサーがなければ必要なデータは基本的に収集できず、システムとしても活用できません。IoTシステムにおいて、非常に重要な要素と言えるでしょう。


ネットワーク

ネットワークもIoTシステムの構成要素の1つです。ネットワークでは、センサーが取得したデータを共有するための通信を行います。

IoTシステムでは、センサーで取得したデータを後述するクラウドへ保存します。そのため、クラウドへデータを保存するためにはインターネットに接続できるネットワークが欠かせません。

また、データの処理や活用をするには、クラウドとアプリケーションをネットワークでつなぐ必要があります。アプリケーションはネットワークによって共有されたデータをもとに処理・分析・活用を行います。


クラウド

IoTシステムにとってクラウドも欠かせない構成要素です。クラウドではセンサーが取得したデータを保存・蓄積します。

センサーが取得したデータをIoTシステムで活用するには、インターネットを通じてデータが活用できる状態で保存されている必要があります。そのため、インターネット上で利用できるクラウドへデータを保存し、必要なときに必要なデータを活用できる仕組みになっているのです。

また、収集された『ビッグデータ』を蓄積できる点も、クラウドがIoTシステムで欠かせない理由の1つです。ビッグデータとは多種多様なデータのことを指します。

膨大な量のデータを保存する必要があるため、従来のサーバーでは十分なリソースが確保できないおそれがあります。クラウドであればデータ量に合わせてリソースを増やし、十分なデータの保存を実現できるでしょう。


IoTシステムで実現できることを解説

IoTシステムで実現できることは、主に以下の3つが挙げられます。

  • 遠隔操作
  • 遠隔監視
  • モノ同士でのデータ共有


遠隔操作

IoTを導入するとモノの遠隔操作が可能になります。インターネットを介して操作できるため、人はモノへ指示を出すことで機器を操作できるのです。

例えば、自宅のエアコンがIoT機器の場合はスマートフォンを通して操作できます。これにより消し忘れた際に外出先から電源をオフにする、帰宅前に電源をつけるなどの操作ができるでしょう。

また、工場であれば設備を遠隔で操作し、異常があった際にも遠隔での対応が可能です。例えば工場の設備に不具合が起こった際、従来は担当者が直接現場に行かなければならないケースが少なくありませんでした。IoT機器で遠隔操作ができることにより、担当者が現場に行かなくてもデバイスを通して対処できるようになります。これにより業務の効率化や担当者の負担軽減などにつながることでしょう。


遠隔監視

遠隔監視も、IoTによって実現できることの1つです。搭載されたセンサーによってモノの状態をリアルタイムで検知できます。

先述した通り、IoT機器では音や光などの機器の周辺の情報を取得するものや、カメラ機能のあるセンサーなど目的に合わせたセンサーを搭載します。センサーによって取得されたデータは蓄積されていくため、そのデータをもとにモノの状態を把握したり分析したりができるのです。 

また人の動きを監視し、データを収集することも可能です。例えば、倉庫内作業者の動きを監視しデータ化することで、作業効率が悪くなっている工程や物を運ぶ動線が悪い箇所などを見つけられます。収集したデータをもとに課題を解決し、業務の効率化につなげられるでしょう。


モノ同士でのデータ共有

IoTでは、モノ同士でのデータ共有も可能です。インターネットに接続されているため、モノ同士でのデータの送受信ができます。

例えば先述したバイタルサインを検知できるIoT機器であれば、患者が身につけているIoT機器から医者が操作する機器へ検知したデータの送信が可能です。取得したデータの数値に異常があれば、医師側の機器へ自動で警告を出せるでしょう。

また小売業であれば、特定のアプリケーションがインストールされたデバイスが店舗の近くにある場合に、自動でセール情報などを送信することもできます。これにより店舗のアプリをインストールしているスマートフォンなどを持っている人へ、ピンポイントでのセールスが可能です。

このように、人が直接判断しなくてもIoT機器が自動で対応できます。人が対応すると膨大な手間や時間がかかる業務などを自動化できるでしょう。


活用方法は?IoTシステムの導入事例を解説

IoTシステムの導入事例を解説いたします。

  • スマートシティ・スマートホーム
  • スマート工場
  • ウェルネス
  • 自動販売機


スマートシティ・スマートホーム

スマートシティ・スマートホームとして、太陽光発電や家電製品にIoTを導入した事例があります。総務省が発表している『情報通信白書』では、以下のように紹介されています。

スマートシティ・スマートハウス領域では、これまでICTを活用することによって電力使用量などを把握し、環境にやさしい住宅を目指すという取り組みが進められてきた。特に、HEMS(Home Energy Management System)と呼ばれるエネルギー管理システムを活用し、家電や太陽光発電、蓄電池等を一元的に管理するスマートハウスは環境問題への関心の高まりとともに注目されている。最近ではエネルギー管理にとらわれず、AIスピーカーの音声アシスタント機能を活用したIoT家電の制御や、家電をIoT化させることによる新たな生活スタイル(冷蔵庫内の商品残量を把握し、商品を自動注文する機能など)が提案されている。

引用元:総務省|平成30年度 情報通信白書 AI・IoTの活用をめぐる近年の動き(2024年1月19日時点)

※上記ではスマートハウスと記載されていますが、IoTを取り入れた住宅は、一般的にはスマートホームと呼ばれます。


まず取り上げられているのが、電力使用量の把握や管理などエネルギー管理に関する取り組みです。電力使用量を把握すれば、無駄に電力を使用していないか、削減できるポイントがないかを確認できます。

また、太陽光発電や家電などを一元的に管理すれば、消費電力量と太陽光発電による発電量をまとめて把握できます。これにより、エネルギー管理がしやすくなるでしょう。

さらに、スマートホームで取り入れられているのがIoT家電です。IoT家電には、声で操作できるAIスピーカーや庫内の食品を把握し必要なものを自動で注文する冷蔵庫など、さまざまなものがあります。IoTシステムの導入により、新たな生活スタイルを構築できることでしょう。


スマート工場

工場にIoTを導入したスマート工場の事例があります。

○通信規格の国際標準化 
○サプライチェーンや顧客との間で、 リアルタイムにデータを共有・分析 
○設備稼働率平準化、多品種少量生産、 異常の早期発見、需要予測などが可能に

引用元:経済産業省|参考資料集① 国内外の先進事例|13ページ目(2024年2月21日時点)

上記はドイツの事例なのですが、通信規格の統一によって、新たな技術やサービスを創出しやすくなり、これがイノベーションの推進力となるでしょう。さらに、リアルタイムでのデータ共有を活用することで、サプライチェーンを通じた在庫の管理・需要の予測・配送の効率化を期待できます。リアルタイムデータと先進的な分析技術の融合により、少量多品種の生産も可能になるでしょう。


ウェルネス

健康に関わるウェルネス分野では、バイタルサインの検知などにIoTが活用されています。総務省の『情報通信白書』では、以下の記載があります。

ウエルネス領域では、これまでの体温計や血圧計などといった一家に一台あるような端末をウェアラブル端末として個々人が所有するようになりつつある。IoTとの親和性の高さから多くの製品・サービスが登場しており、スマートウォッチなどの腕時計型だけではなく、靴や衣類などさまざまなタイプが登場している。これらを活用することによって歩数や移動距離、消費カロリー、血圧、睡眠時間、睡眠の質などを把握することができ、情報はスマートフォン等で確認することもできる。健康志向の高まりとともに関心を持つ人が増えているだけではなく、企業の視点では従業員の健康管理、社会的には医療費の削減などの視点で注目されている。

引用元:総務省|情報通信白書 AI・IoTの活用をめぐる近年の動き(2024年1月19日時点)

先述した通り、IoT機器の小型化が進んだことによりスマートウォッチやスマートバンドなど手軽に身につけられるウェアラブル端末が登場しています。センサーを衣類に組み込んだタイプもあり、こうしたウェアラブル端末へバイタルサインを検知できるIoTシステムの導入が進んでいるのです。

バイタルサインは、健康管理のために必要な情報のことであり、主に以下のような情報が当てはまります。

  • 血圧
  • 体温
  • 脈拍
  • 呼吸数

これらの情報をセンサーによって収集し、医師や患者本人が体の状態をいつでも確認できるようになります。これにより、医師はデータをもとにした治療や指導が可能です。もしも数値に異常があれば精密検査を行うなど、病気の早期発見にもつながるでしょう。

また、企業が従業員の健康管理のために活用することも可能です。体の状態を正確に把握できるようになれば、健康管理がしやすくなります。IoTシステムの導入により、健康な状態を保ちやすくなり、医療費の削減につながることも期待できます。


自動販売機

ふるさと納税ができる自動販売機にIoTシステムが導入された事例があります。IoTふるさと納税自販機の機能は以下の通りです。

IoTふるさと納税自販機でふるさと納税を行ない、地域内の施設で使える商品券やポイントを発行。
自治体とのやり取りを自動化するUNIOSS(特許取得)を有しており、それと自販機が連携して稼働する。
自販機でも返礼品を自宅に送ることもできるが、ふるさと納税したその日にその市町村内でホテルの宿泊、食事、ゴルフ等ができる。(特許出願済み)

引用元:デジタル庁|IoTふるさと納税自販機(2024年1月19日時点)

この自販機は町を訪れた人が誰でも気軽にふるさと納税ができるものです。この自販機でふるさと納税をすると、地域で利用できる商品券がその場でもらえます。

また、この自販機にはマイナンバーカードをもとに個人情報を取得し、必要な書類の作成・発行を自動化するシステムが組み込まれているのも特徴です。マイナンバーカードを自販機にかざすだけで、必要な情報が取得されます。自販機は独自のネットワークにつながっており、取得した情報をもとにしたふるさと納税関連書類の自動発行が可能です。IoTシステムの導入により、手続きにかかっていた手間を大幅に軽減できることでしょう。


まとめ

IoTシステムはモノとインターネットをつなぐ仕組みであり、さまざまな分野で活用されています。インターネットを介して遠隔での操作や監視ができるだけではなく、モノ同士での通信も可能です。これにより従来は人が手間や時間をかけて行っていた作業も、IoT機器が代わりに行うことができます。

また、データをもとに問題点の発見や課題の解決方法の立案などに役立てられるでしょう。実際にインフラや医療などさまざまな分野でIoTシステムが導入されています。従来は解決が難しかった問題も、モノとインターネットをつなげることで解決できる可能性があります。

IoTの導入・活用で悩んでいる方は、ぜひ当社へご相談ください。

残してきた実績

設立から48年。
大切なものにフォーカスしてきたからこその実績があります。
公共・民間ともに多数の実績を残してきました。

年間プロジェクト数

500PJ

年間取引先・顧客数

200

最長取引年数

47

延べ資格取得者数

1,870