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オフィスにIoTを導入!スマートオフィス・メリット・活用時の課題を解説

オフィスにIoTを導入!スマートオフィス・メリット・活用時の課題を解説

目次

「スマートオフィスってなんだろう」
「スマートオフィスを実現するには、どうすればいいのかな」

スマートオフィスという言葉を聞いたとき、このような疑問を抱く方もいるでしょう。 スマートオフィスとはIoTやAIといった最新テクノロジーを導入したオフィスのことです。手作業で作成していた請求書を自動作成・発送したり、会議室の予約管理がシステムでできるようになったりと、さまざまなことを行えます。

スマートオフィス化を進めると生産性向上を実現することが可能です。しかし具体的にどのような導入メリットや課題があるか気になりますよね。また具体的な導入手順も知りたいのではないでしょうか。

そこでこの記事ではスマートオフィス化とは何か・導入メリットや課題・導入手順を解説いたします。スマートオフィス化を検討している方は、ぜひご参考ください。


オフィスにIoTを導入!スマートオフィスとは?

スマートオフィスとIoTの基本情報を解説いたします。

  • オフィスにもIoTを!スマートオフィスとは?
  • IoTの仕組み


オフィスにもIoTを!スマートオフィスとは?

スマートオフィスとは、IoT※などの最新テクノロジーを活用してオフィス環境を最適化し、労働効率の向上・コスト削減などを目指すコンセプトおよび職場のことを指します。

※IoTとは、インターネットとモノを接続する技術のことです。

具体的には、以下のような仕組みを構築しているオフィスを指します。

具体例
内容

自動調光システム

外光に応じて照明の強度を自動で調整

スマートサーモスタット

室温を自動調節

無線会議システム

ビデオ会議やプレゼンテーションを無線で実施

スマートデスク

高さ調節機能や健康管理機能を搭載

スマートロックシステム

デバイスを使ってドアのロックを制御

 例えばオフィスの照明や空調を自動的に調整し、快適な作業環境を創出するのは1つのスマートオフィスの形です。人感センサーで従業員の在否を確認したり、光センサーで自然光の入り具合をチェックしたりして適切な状態に保ってくれます。

またクラウドを活用したファイル共有システムやチャットツールの導入は、従業員同士のコミュニケーションを円滑にします。このようなツールを導入すると、オンラインで十分なコミュニケーションが取れるようになり、オフィスでなくても働ける環境を実現できます。


IoTの仕組み

IoTの仕組みは、以下5つが連携することで成立しています。

項目
概要

モノ(デバイス・センサー)

データを収集

ネットワーク

モノ・クラウド・アプリケーションを連携

ゲートウェイ

モノとネットワークをつなぐ出入り口

サーバー・クラウド

モノの利用データを蓄積・分析・処理する

アプリケーション

モノに指示を出す

まずデバイスや各種センサーなどの『モノ』が存在します。温度・湿度・位置・動きなどの環境データを収集したり、特定のアクションを実行したりします。

そしてデバイス・クラウド・アプリケーションをつなぐのは、ネットワークです。このときのデータの出入り口が、ゲートウェイです。そしてIoTシステムを利用すると、クラウド上にデータが記録されます。クラウド上で蓄積・分析・処理されたデータは、アプリケーションに送信されます。

最終段階として、従業員がスマホなどから制御します。スマートオフィスで言えば、照明・温度調節・更には会議室の予約・エレベーターの呼び出し・セキュリティシステムの管理などが代表例です。多岐にわたるオフィスの機能を遠隔から操作できます。


生産性向上!IoT(スマートオフィス)化させるメリット

IoT(スマートオフィス)化させるメリットは、以下5つが挙げられます。

  • 生産性が向上する
  • コストを削減できる
  • リモートワークが実現する
  • 人材採用時の強みになる
  • 備品・設備・在庫の管理がラクになる


生産性が向上する

スマートオフィス化させるメリットとして、生産性が向上することが挙げられます。リアルタイムで情報を得られるからです。

例えばスマートオフィスでは、クラウドベースのツールやコミュニケーションプラットフォームが活用されることが多く、チームメンバー間のコミュニケーションが円滑になります。リアルタイムでの情報共有が可能となり、遠隔地にいるメンバーとも効果的に協力できます。

それだけでなく、センサーや機器から収集されるデータを分析し、より効率的な業務プロセスや改善策を導き出すことが可能です。経営の意思決定がデータに基づくものとなり、より精度の高い戦略を立てることができます。


コストを削減できる

コストを削減できることも、スマートオフィス化をするメリットです。IoTを導入すれば光熱費・人件費・賃料などを抑えられます。

人感センサーを導入すれば、人がいない場所の照明や空調を自動でオフにできます。空調をかけ過ぎたり照明を明るくし過ぎたりすることがなくなるため、無駄な電気代を掛けずに済みます。無理せず光熱費を節約することにつながるでしょう。

また多くの場合で、スマートオフィスは紙の文書をデジタル形式に変換可能です。契約書・報告書・従業員の記録など、ほとんどの書類をデジタル化できます。これにより紙およびインク代を節約できます。それだけでなく請求書などもデジタル化・メールで送付するのであれば、切手代・封筒代・準備する際にかかる人件費も削減可能です。年単位で見ますと、かなりのコストを削減できることでしょう。


リモートワークが実現する

スマートオフィス化をすると、リモートワークが実現するメリットがあります。インターネット環境があればオフィス以外でも働けます。

例えば、社員が自宅・カフェ・または他の国にいても、同じドキュメントにアクセスして作業することが可能です。クラウドベースのオフィスツールは、ドキュメント・シート・プレゼンテーションなどのファイルをリアルタイムで共有・編集できます。

またWeb会議システムを導入すると、インターネット環境がある場所ならどこでも会議が行うことが可能です。画面を共有することで、参加者全員に資料を見せながら会議を進行できます。ツールを導入すれば、出張先でも海外在住でも会議に参加できるのです。

このようにスマートオフィス化が進むと、リモートワークを実現できます。通勤時間が短縮する分、従業員が自分の時間を確保しやすくなるでしょう。また子どもの急病や親の介護などがあっても働きやすくなります。働き方の選択肢が増えるため、従業員満足度が向上する効果が期待できます。


人材採用時の強みになる

スマートオフィス化のメリットとして、人材採用の強みになることが挙げられます。働きやすい環境を整えられるからです。

例えば会議室の予約システムを導入することで、パソコンやスマートフォンから各部屋の利用状況を確認したり予約したりできます。予約のために総務担当に声を掛けたり、管理表に名前を書き込んだりする手間がありません。好きなタイミングで予約を入れられるので、担当者を探し回る必要もなくなるでしょう。会議室の鍵もスマートロックを導入すれば、担当者から借りずともスマートフォンで部屋を開けられます。それに付け加えて、先述したようにリモートワークも可能です。柔軟な働き方を実現できます。

このようにスマートオフィス化すると、今まで手間や時間がかかっていた作業を短縮、および働き方を多様化できます。そのため「コア業務に専念できる」と求職者に伝えれば、魅力的な職場環境に見えることでしょう。特に技術志向の強い若い世代や、最新のテクノロジーに精通している専門家にとって魅力的に映ることでしょう。

また、スマートオフィスにはしばしば、従業員の健康とウェルビーイングをサポートする機能が組み込まれています。例えば、空気質のモニタリングなどが挙げられるでしょう。このような機能を備えているオフィスは、健康を重視する人材にとって魅力的です。


備品・設備・在庫の管理がラクになる

スマートオフィス化をすると、備品・設備・在庫の管理を楽にすることが可能です。さまざまな業務プロセスをIoTで自動化できます。

例えば在庫管理は、人が在庫をチェックして個数を管理するのが一般的です。商品や材料の在庫確認を種類ごとに行うのは、多くの手間と時間がかかります。不足分の発注を忘れたり個数を数え間違えたりといったミスを引き起こすかもしれません。

しかしスマートオフィスでは、在庫管理システムを自動化することが可能です。必要な備品や設備が不足している場合に自動的にアラートを発することができ、絶えず在庫レベルをチェックする手間が省けます。

またスマートデバイスを使用すると、設備の状態を監視し、故障の兆候を早期に検出できます。大きな故障やダウンタイムを防ぐことが可能となり、予測的な保守を行うことができるでしょう。手間や時間がかかる面を自動化し、従業員の負担を大幅に減らせるのはIoT化の大きなメリットと言えます。


実現の壁?スマートオフィスの課題を解説

スマートオフィスの課題は、主に以下の2つが挙げられます。

  • 初期費用が一定かかる
  • セキュリティ対策が必要である


初期費用が一定かかる

スマートオフィスの課題は、一定の初期費用がかかることです。スマートオフィス化に必要なIoTシステムや設備を揃える必要があるからです。

先述したようにIoTシステムの構築には、ネットワーク・デバイスなどが必要です。さらにタブレットなどのIoTデバイスを監視・運用するためのソフトウェアも準備しなければなりません。既存システムがIoTシステムに未対応の場合は、機器を入れ替える費用も発生するでしょう。オフィス全体をIoT化するとなれば対応範囲が広くなる分、かかる費用も高額になります。

対策として、政府や地方自治体が提供する補助金プログラムや税制優遇措置を活用するのが良いでしょう。初期投資の負担を軽減することが可能です。これらの制度はエネルギー効率の改善や技術革新に焦点を当てていることが多く、利用可能なものがあるかもしれません。

ただし注意点として、何も考えず、とにかく安価なIoTシステムを選ぶことはやめた方が良いでしょう。仮に費用面には問題がなかったとしても、機器の性能によっては導入目的を達成できない場合があります。基本的には、費用面だけではなく性能なども確認し、総合的に判断することが重要です。


セキュリティ対策が必要である

スマートオフィスの課題として、セキュリティ対策が必要なことが挙げられます。IoT機器はインターネットに接続して使用するからです。

十分なセキュリティ対策が施されていないと、不正アクセスやサイバー攻撃を受けるおそれがあります。例えば以下のような問題が発生するかもしれません。

【OVH(フランス)】
・自社保有サーバに対し、Mirai※に感染したとされる約14万台以上のIoT機器から、最大1.5Tbpsとなる世界最大規模のDDoS攻撃が発生
※ IoT機器に自動的に感染し、攻撃者からの指示に応じて感染した機器を踏み台としたDDoS攻撃を実施する等の機能を有するマルウェア

引用元:総務省|サイバーセキュリティ等に係る現状と課題について|2ページ目(2024年1月26日時点)

 

このケースでは、IoTデバイスがマルウェアに感染し、その結果サーバーに過剰な負荷がかかり、機能障害が発生しました。これほどの大規模攻撃は、サーバーやネットワークのパフォーマンスに重大な影響を与えるおそれがあります。

もしサイバー攻撃の影響でシステムがダウンすると、業務に支障が出ます。顧客対応も満足にできなくなるでしょう。その結果、クレームにつながったり顧客離れが起きたりするおそれもあるのです。このような事態を防ぐためには、導入初期段階からセキュリティ対策を施すことが必須です。

加えて、従業員のセキュリティ教育を行うことも重要です。従業員1人1人のセキュリティ意識やセキュリティリテラシーを高めることで、セキュリティ対策が有効になります。eラーニングを取り入れたり社内研修を行ったりして、人的セキュリティ対策にも力を入れましょう。


目指せスマートオフィス!IoTを導入する手順

スマートオフィスを目指してIoTを導入する際は、以下の手順で進めましょう。

  • 現状の課題を調べる
  • 導入が必要な箇所に優先付けをする
  • 少しずつ導入していく


現状の課題を調べる

IoTを導入する際には、まず現場の課題を調べてください。課題を把握するとIoTを導入すべき場所が明確になるからです。

闇雲にIoTを導入しても生産性の向上やコスト削減などにはつながりません。例えばほとんど人がいないオフィスに人感センサー式の空調や照明を導入しても、大きなコスト削減は見込めないでしょう。IoT導入費用を考えると、費用対効果が悪いです。

現状の課題を調べる際は、まず現在の業務プロセスを徹底的に理解することが重要です。どの業務に時間がかかっているのか、どのプロセスが非効率なのかを特定します。そして従業員からのフィードバックも収集しましょう。日々の業務の中で直面している問題や不便さを把握してください。これで現状の課題をある程度理解できます。


現状の課題を調べる

次に、導入が必要な箇所に優先順位を付けをしましょう。効率的で効果的な導入を行うためです。例えば一般企業のオフィスでは、以下のような問題を抱えがちです。

問題例
内容

コミュニケーションの問題

部署間やチーム内でのコミュニケーション不足や誤解

スペースの不足または不適切な利用

狭いオフィス空間や不適切なレイアウトによる効率性の低下

技術の遅れ

古い技術やシステムの使用による生産性の低下

雑音やプライバシーの問題

オープンスペースの騒音やプライバシーの不足

会議室やリソースの不足

必要な会議室や他のリソースが不足

セキュリティの懸念

物理的・デジタル両方のセキュリティリスク

これらすべてを一気に解決することは、かなり難しいでしょう。そのため優先順位付けを行い、順番に解決していくことが重要です。

具体的な方法としては、費用対効果を確認しましょう。まずリストアップした問題にそれぞれ重要度をつけます。どの問題が最も緊急か、または改善することで最大の効果があるかを考えます。そして、各問題に対して、どのようなスマートオフィスの技術が解決策になるかを確認しましょう。例えば、文書管理システム・オンラインで予約できる会議室のシステム・自動温度調節システムの導入などです。

その後、それぞれの解決策にかかるコストと、それによって得られる効果を確認してください。仮にコストが高くても、大きな効果があるものは優先度が高くなります。費用対効果まで検証することで、優先順位を明確に付けられることでしょう


少しずつ導入していく

導入の優先付けを行ったら、スマートオフィス化を少しずつ進めます。リスクを分散し、大規模な失敗を避けられます。

例えば、多くの新しい技術やシステムを一度に導入すると、予期せぬシステム障害や相互の干渉が発生するおそれがあります。段階的に導入することで、各新システムのパフォーマンスを個別に監視し、障害が発生した場合にも影響を最小限に抑えることができます。

そして何より、一度にすべてを導入すると予算オーバーのリスクが高まります。段階的な導入により、各フェーズのコストをより効果的に管理し、計画外の出費を避けることができます。

少しずつ導入するときのコツとしては、新技術やプロセスを限定的な範囲で試し、結果とフィードバックを収集することにあります。その後、継続的なモニタリングを行いましょう。問題点を特定し、必要な調整を行うことが重要です。問題がなければ、徐々に規模を拡大していくのが良いでしょう。ここまで段階的に行うことで、後日に大規模なトラブルが発生する確率を低減できます。ご参考ください。


まとめ

ここまでスマートオフィスの解説をしてきました。スマートオフィスは、最新テクノロジーを積極的に導入し、生産性向上や働きやすい環境を実現したオフィスです。 生産性向上やコスト削減・リモートワークの実現といったメリットがあります。さらに人材採用時の強みになったり備品・設備・在庫管理がラクになったりすることでしょう。

しかし初期費用がかかること、セキュリティ対策が必要である点には注意が必要です。ケースによっては、専門知識や経験がなければ対策が難しいかもしれません。そのようなときは、ぜひ当社にご相談ください。


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