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ERPの導入メリット・デメリット|業務効率化の実現など企業に必要な理由を解説

ERPの導入メリット・デメリット|業務効率化の実現など企業に必要な理由を解説

目次

「ERPにはどのようなメリットがあるのかを知りたい」
「ERPが良いと聞くけれど、自社に導入しても活用できるだろうか?」 

このように考えているIT部門の責任者の方も多いのではないでしょうか。DX化・IT化が叫ばれる昨今、豊富なITツールがあることで、導入すべきシステムに迷う方も多いと感じます。

ERPには主に以下のメリットがあります。

  • 情報の一元管理ができる
  • セキュリティの一括管理ができる
  • 各データを活用しやすくなる
  • 経営判断の迅速化が可能になる
  • 各部署の生産性を改善・向上できる
  • 運用時における人件費の削減ができる
  • 内部統制の強化が可能である

しかしメリットだけを確認しても、ERPでなぜこれらのメリットが享受できるのかを疑問に感じるかもしれません。そこで本記事では、ERP導入によるメリットについて詳しく解説いたします。ERP導入について迷っている方は、ぜひご参考ください。


業務効率化!ERPシステムの導入メリットを解説

ERPシステムを導入した場合、以下7つのメリットが期待できます。

  • 情報を一元管理できる
  • セキュリティも一元管理できる
  • 各データを活用しやすくなる
  • 経営判断の迅速化が可能になる
  • 各部署の生産性を改善・向上できる
  • 運用時における人件費などのコストを下げられる
  • 内部統制の強化が可能である

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

情報を一元管理できる

ERPシステムを導入することで、情報の一元管理が可能になります。ERPは、経営資源や会社における情報を1つに集約およびリアルタイムで管理できるツールだからです。

そもそも従来は、各部署で独立したシステムを用いていることが基本でした。営業部であればSFA(営業支援)ツール、経理部であればクラウド会計システムを使うようなイメージです。そのため各数値を管理およびチェックするには、それぞれのシステムに毎回アクセスする必要がありました。これでは不便ですよね。

しかしERPシステムであれば、このような手間はありません。各情報がERPシステムに集約されているからです。顧客情報をチェックしつつ、収支を同時に確認することも簡単です。この手軽さは、ERPのメリットと言えます。

また各情報を一元管理することで、別部門にて同じデータを入力することも避けられます。1つのシステムにデータが集まるうえ、リアルタイムで情報が表示されるからです。重複データの発生確率を下げられることにより、データベース内における情報の整合性を飛躍的に高められるでしょう。

セキュリティも一元管理ができる

ERPシステムを導入することで、セキュリティの一元管理を叶えることもできます。社内の情報をERPに集約できるため、管理すべきセキュリティもERPにまとめることができるからです。

そもそも社内における情報と一言で言っても、重要度や機密度は情報によって異なります。部署ごとで扱う情報によって、セキュリティレベルを変更する必要もありました。

特にクレジットカードや個人情報など、機密度が高い情報を扱う経理や人事においては、高い精度でセキュリティにも気を配らなければなりません。他の業務と並行しながらと考えれば、より負担が大きくなると言えるでしょう。

しかしERPを導入することで、部署ごとでセキュリティに頭を悩ませる必要がなくなります。業務担当者の負担を軽減するとともに、部門ごとで分かれていたセキュリティレベルを統一することも可能になるでしょう。

またERPシステムは、アクセス権限の付与や閲覧制限など社内向けのセキュリティ対策も可能です。適切な権限付与や管理を行うことで、内部からの情報流出が行われないよう対策を取ることも可能です。

各データを活用しやすくなる

各データを活用しやすくなる点も、ERPシステム導入のメリットだと言えるでしょう。ERPを導入することで、気づきにくい情報も見える化できるからです。

例えば製造部門や物流部門であれば、ERPシステムを利用して在庫レベル・発注状況・供給チェーンの状態などをトラッキング可能です。導入システムにもよりますが、これらの情報をダッシュボード上で見える化できます。

つまり過剰在庫・不足・リードタイム・供給業者のパフォーマンスなどが一目でわかるようになるわけですね。このようなデータを活用すれば、業務の改善施策を練りやすくなるでしょう。

経営判断の迅速化が可能になる

ERPシステムの導入は、経営判断の迅速化も可能にします。判断に必要な情報がリアルタイム、かつまとめられた形で簡単にチェックできるからです。

従来のやり方で経営判断を行う場合、各部門からの報告を待たなければなりませんでした。企業規模によっては分析するために必要な経営数字を揃えるだけでも、相当な時間がかかってしまいます。

しかしERPは部門全体が情報を常時更新できるシステムのため、資産情報や売上など経営判断に必要な情報をリアルタイムで確認できます。情報収集から始める必要がないため、経営陣は判断を下すために必要な情報をすぐに揃えられます。その結果、迅速な経営判断が可能になるわけです。

その他にも、ERPの利用により経営陣以外でも必要な情報を確認しやすくなります。アクセス権限を付与されているかにもよりますが、管理職・一般社員も各数字を把握することが可能です。企業全体で情報や状況を共有できるため、個々のレベルでも企業のために動きやすくなると考えられます。

各部署の生産性を改善・向上できる

ERPシステムの導入によって、各部署の生産性を改善・向上も期待できます。ERPの導入によって、業務プロセスの効率化を図れるためです。導入するERPシステムにもよりますが、基本的には以下のような効果を期待できます。

部門例効率化の具体例

財務部門

財務報告・予算管理・経費追跡などのプロセスを効率化

人事部門従業員データの管理・給与計算・採用プロセス・パフォーマンス評価などを効率化
マーケティング部門

顧客データの管理・セールスパイプラインの追跡・マーケティングキャンペーンの分析などを効率化

購買部門

発注プロセス・コスト管理の効率化

ERPと言いますと全体最適化ツールのイメージが強いですが、上記のように各部門の業務を効率化させる際にも役立ちます。各部署の業務効率化を目指している場合にも、ERPはおすすめのツールと言えます。

運用時における人件費などのコストを下げられる

企業全体の情報を統合するERPの導入は、運用時における人件費などの削減にも有効だと言えるでしょう。なぜならメンテナンスや管理対象のシステムが、ERP1つに集約されるためです。

例えば従来であれば、部署ごとに与えられた基幹システムのメンテナンスには、膨大な時間が必要でした。導入しているツールの数だけメンテナンス方法が異なる可能性があり、その分、手間や時間がかかるからです。

しかしERPシステムを導入すれば、定期的なメンテナンスが必要なツールはERPだけになります。メンテナンスにかかる時間を大幅に削減できます。それだけでなく関係者各位への通知業務など、メンテナンスに関わるその他作業における負担も軽減できるでしょう。その結果、人件費など運用コストの削減につながるわけです。

またクラウド型のERPを導入すれば、保守や運用・メンテナンスも提供している企業に任せられます。より情報システムの負担を軽減できるため、さらなる人的コスト削減を期待できます。

内部統制の強化が可能である

ERPシステムの導入によって、内部統制の強化が可能になります。企業情報を一元管理できるようになるため、情報改ざんなどの不正が発見されやすくなるからです。

例えばデータが各部門でバラバラに管理されていると、データの改ざんや情報漏洩のリスクが高まります。ある部門でデータが漏洩・改ざんされたとしても、別の部門からはアクセス・確認ができないからです。この傾向は部門数や社員数が多くなればなるほど、強まると考えられます。問題が大きくなるまで、発覚しにくいと言えるでしょう。

また複数のツールを導入していた場合、注意すべきポイントが多岐にわたり、漏れが発生しやすくなるというデメリットもあります。

しかしERPを導入することで、データの改ざんや情報漏洩を見つけやすい環境へ導くことが可能です。一元管理、つまりは利用および監視対象が1つのシステムに絞られるからです。多くの人の目が集まりやすくなることで、いくつものシステムを運用している場合に比べて、不正や情報漏洩が発覚しやすくなるでしょう。

またERPシステムによっては、更新された箇所のアクセスログを残せる機能が搭載されています。改ざん箇所が特定された場合『誰が・いつ・何を改ざんしたのか』も容易に特定できるでしょう。このように複数の要因があるため、ERPを導入することで内部統制は強化されると言えます。

ERPシステムの導入デメリットを解説

ERPシステムを導入する際に考えられるデメリットは以下の4つです。

  • 導入時に一定のコストがかかる
  • 自社に必要な機能を導入前に確認する手間がある
  • 高確率で既存の業務フローに変更が生じる
  • 社員に対して運用方法などを教育する必要がある

導入後に困らないよう、事前に正しく把握しておきましょう。

導入時に一定のコストがかかる

導入時に一定のコストがかかる点が、ERPのデメリットだと言えます。ERP導入時に必要な費用は以下のようなものがあります。

オンプレミス型クラウド型
  •  ハードウェア・サーバー構築費用
  •  基本ライセンス
  •  保守料
  •  開発費
  • 基本ライセンス
  • ユーザーライセンス
  • 月額利用料

オンプレミス型とは、パッケージ版とも呼ばれる『買い切りタイプ』のERPです。基本ライセンス費用や導入費用などの他に、希望すればカスタマイズの費用も必要になるでしょう。

オンプレミス型の場合、ERPシステムのソフトだけではなく、サーバー構築や保守費用なども必要なためどうしても初期費用は高くなります。ただしオンプレミス型にもライセンス制の商品があるため、事前確認は必須です。

クラウド型は、オンプレミス型に比べると比較的安価に導入できます。特に、導入時に自社でサーバーを構築する必要がないことから、初期費用を抑えることが可能です。ただし基本ライセンスの他に、ユーザーライセンスが存在します。

ユーザーライセンスはERPを使う従業員の数だけ必要であり、ERPシステムを使っている間は継続的に費用が発生します。必要なユーザーライセンスの数、長期的な視野から見ると、オンプレミス型を選んだ方が安価になるケースも考えられるでしょう。

どちらにせよ費用がかかることに変わりはないため、自社に合うERPを選択することが重要です。

自社に必要な機能を導入前に確認する手間がある

ERP製品導入のデメリットの中には、自社に必要な機能を導入前に確認する手間も挙げられます。ERPは製品数が多く、製品によって搭載されている機能や使いやすさも異なるため、製品選定のために自社に必要な機能を把握しておかなければいけません。 

代表的な例を挙げると、マーケティングを主とする企業において『商品の棚卸機能』は必須とは言えないでしょう。しかしERPシステムの多くには、生産管理の機能も搭載されているため、ネームバリューだけで製品を選んだ場合は不要な機能を持て余すことになります。

先述したようにERPの導入には少なくない費用がかかります。事前に企業全体にアンケートなどを行い、必要な機能を選定する手順は必須と言えるでしょう。 

しかし企業全体にとって必要な機能を洗い出すことは、決して簡単なことではありません。導入を考える際には、機能を洗い出すための期間も必要だと知っておきましょう。効率的な機能選定をしたい場合、現場の声をアンケートなどで集める方法も有効です。

高確率で既存の業務フローに変更が生じる

ERPを導入することで、高確率で既存の業務フローに変更が生じることもデメリットと言えます。ERPを導入すると今まで使っていたツールの廃止や、紙媒体で行っていた業務をERP内で行うようになるからです。

従来の業務フローと、ERPを導入した際の違いについて一例を見てみましょう。

従来の業務フローERP導入後の業務フロー
  1. 紙媒体の請求書を受領
  2. 請求書を見ながらExcelに数値を転記
  3. Excel内で会計処理
  1. 紙媒体の請求書を受領
  2. 請求書をスキャンしERPに取り込む
  3. ERP内で会計処理

業務フローが大きく変わっていることがわかります。企業規模が大きくなれば、その分業務フローの変更を余儀なくされる従業員も増えるでしょう。

また業務フローが変われば、業務マニュアル書の変更や、請求書を紙媒体からPDFに変えるなど関連する業務にも変更が必要とされます。ITツールに不慣れであったり、急激な変化についていけなかったりする従業員が多い場合、現場からの抵抗が起こる可能性も否めません。

ERP導入時は、高い確率で業務フローに変更が必要なことを考慮し、導入前から現場の声にも耳を傾けることが重要です。また現場の声を反映した製品を選ぶことはもちろんですが、一度に企業全体に取り入れるのではなく、 スモールスタートが可能な製品で関係者の反応を伺うこともおすすめです。

社員に対して運用方法などを教育する必要がある

ERPを導入する以上、社員に対して運用方法などを教育する必要もあります。どれだけ使いやすいERPであっても、最初から完璧に使いこなせる人はいないからです。したがってERP製品の導入が決まったら、製品に合わせた事前研修の準備を始めましょう。

事前研修の内容は、導入する製品によって以下のような方法が挙げられます。

  • 製品導入の説明会
  • 製品導入に伴う使い方研修
  • eラーニング

自社内で操作に関する教育を行う場合は、業務・機能で分けて教育を進めていく方法がおすすめです。既存のシステムや業務フローとの違いを明確にすることで、混乱することなくシステムの変更を受け入れられるでしょう。

併せて、実際に運用を始めた際に必要となるマニュアルの準備を進めておきます。日常操作で躓きそうな点を事前にピックアップ、解決策と併せて記載しておくと便利です。

なお導入するERP製品によっては、社員に対するユーザー教育へのサポートを実施しているケースもあります。自社内だけでの対応が難しい場合は、ユーザーサポートを利用しても良いでしょう。プロによる教育であれば、よりスムーズなERPの運用・システム変更を実現できます。

企業担当者は必見!ERPにてよくある質問を解説

最後にERPの疑問点を解消するため、よくある質問を見ていきましょう。こちらで解説する質問は以下の2点になります。

  • そもそもERPとは何ですか?
  • セキュリティインシデントとは何ですか?

そもそもERPとは何ですか?

ERPとは、企業経営に必要な『経営資源・情報』を一元的に管理することで、より効率的に活用しようとする考え方を指します。そしてこの考え方を実現するためのツールが『ERPシステム』です。利用できる主な機能は以下のようになります。

  • 人事管理
  • 労務管理
  • 財務管理
  • 会計管理
  • 予算管理
  • 営業管理
  • 生産管理
  • 販売管理
  • 購買管理
  • 顧客管理
  • 在庫管理
  • プロジェクト管理

経営資源から企業内の情報すべてを一元管理できるツールになるため、利用できる機能も非常に豊富となっていることがわかります。企業にとって必要とされる部署に関する機能が用意されていることから、情報の一元管理と共に業務の一連の流れをERP内で管理することも可能です。企業内における管理ツールの統一、情報の一元管理を望んでいる場合に非常に有用なツールだと言えます。

また、上記機能の一部をERPで担当し、会計管理などは外部ツールと連携できるようなERPも存在します。自社が解決したい課題に沿って、導入するERPを選ぶことも可能でしょう。

なおERPに関する詳細は以下記事にて解説していますので、ぜひご参考ください。
ERPとは?基幹システムとの違い・形態・メリット・導入時の流れを解説

セキュリティインシデントとは何ですか?

セキュリティインシデントとは、セキュリティにおける重大な事故や不正が起きたことを指す言葉です。考えられる原因は以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • マルウェア感染
  • 不正アクセス
  • なりすまし
  • DoS攻撃
  • 情報漏えい
  • 情報改ざん
  • 記憶媒体の紛失や盗難
  • 自然災害による媒体の破損

自然災害によるセキュリティインシデント以外は、人的な攻撃によるインシデントもあります。人的要因の中でも外部からの攻撃と、内部の従業員などに行われるものに分けられるでしょう。

ERPに限らず、ITツールにおけるセキュリティの問題は、基本的に『いたちごっこ』です。ハッカー対策を行ってセキュリティのレベルを上げれば、今度はハッカー側が腕を上げてセキュリティを突破してくることが考えられます。

したがって重要になるのは企業全体でセキュリティに対する理解度を上げ、定期的なセキュリティの更新やアクセス制限、管理を徹底することだと言えるでしょう。

またERP製品を導入するのであれば、セキュリティ対策がしっかりと施された商品を選ぶことをおすすめします。より安心して運用・管理できます。

まとめ

ERPを導入することによって得られるメリット・デメリットなどについてご紹介いたしました。 情報の一元管理ができることはもちろん、内部統制の強化にも役立つという点を意外に感じられた方も多いのではないでしょうか。

ERPの基本的な考え方は、情報を統制し、活用しやすくすることで企業や業務全体の生産性を上げることです。業務手順の改善や一般的なITツールの導入では、生産性の向上が頭打ちになっている。こう考える企業にこそ必要なツールだと言えるでしょう。

しかしERPは製品の数が多く、搭載された機能や費用も千差万別です。「メリットは理解できたけれど、結局どれを選べば良いのか迷ってしまう」とお考えの場合は、ぜひ当社にお気軽にご相談ください。

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