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ERPの費用相場は?オンプレミス型とクラウド型の価格や内訳をそれぞれ解説

ERPの費用相場は?オンプレミス型とクラウド型の価格や内訳をそれぞれ解説

目次

「ERPの費用相場が知りたい」
「ERPはどんなコストが発生するの?」

ERPの導入を検討した場合、発生する費用について疑問を持つ方もいるでしょう。企業経営においてメリットが大きいERPですが、製品や利用形態によって導入費用は異なる傾向にあります。気になるところではありますが、価格情報を公開していない企業が非常に多いため、自力で導入費用を把握するのはなかなか難しいところです。

そこでこの記事ではERPの導入費用にスポットをあて、費用相場・オンプレミス型ERPとクラウド型ERPで発生する費用の内訳も詳しく解説いたします。

この記事を読めば、ERPの導入で発生する費用の目安が把握できるだけではなく、自社に合ったERP導入方法も確認できます。「ERPの導入費用相場を把握したい」といった担当の方は、ぜひご参考ください。

ERP導入費用の目安に!オンプレミス型などのコストを解説

ERPについて、以下の形態で導入した場合の費用相場を解説いたします。

  • オンプレミス型ERPシステム
  • クラウド型ERPシステム

オンプレミス型ERPシステム

オンプレミス型ERPの導入費用は、初期費用で数百万円〜数千万円、月額費用で十数万円~数百万円と言われています。ただし、オンプレミス型ERPの費用は、そのシステムの規模・機能などによって大きく異なります。

また多くの製品は費用が公表されていません。これらはあくまで参考価格とし、詳細は各社に問い合わせることを強くおすすめします。

クラウド型ERPシステム

クラウド型ERPの導入費用は、初期費用で数万円〜数百万円、月額費用は数万円〜数十万円と言われています。ただし、クラウド型ERPに関しても、規模や機能によって費用が大きく異なります。正確な料金を把握したい場合は、各企業に必ず問い合わせてください。

オンプレミス型ERPシステムの導入コスト内訳

オンプレミス型ERPシステムの導入にかかる一般的なコストの内訳を解説いたします。

  • 初期導入費用
  • 開発費用
  • 運用・保守費用
  • カスタマイズ費用
  • ライセンス費用
  • 導入サポート費用
  • 研修費用

初期導入費用

オンプレミス型ERPは、初期導入時にハードウェアなどの環境整備費用もかかります。具体的には以下の通り。

  • ERPシステムの購入費用
  • 自社サーバーの購入費用
  • その他機器の購入費用

オンプレミス型ERPは、小規模なビジネス向けのERPであれば数百万円、大規模企業向けの包括的なシステムでは数千万円になることがあります。ここに関しましては先述したように、機能数などによって上下することを覚えておきましょう。

またオンプレミス型ERPは必要なサーバーやネットワーク設備などを購入し、自社に設置しなくてはいけません。そのため、専用のハードウェア・サーバーなどといった環境が必要です。基本的には、ERP開発用サーバー・本番用サーバー・回線・接続機器などの費用が発生します。自社状況によっても費用が大きく変わるため、見積もりなどで予め確認しましょう。

開発費用

オンプレミス型ERPに新たな機能を搭載する場合、開発費用が発生します。具体的には以下のようなものが考えられます

  •  特定機能の追加費用
  • 特定の項目に特化したダッシュボードの開発費用

例えば企業が特殊な在庫管理システムを必要とする場合、標準的なERPシステムにはない特定の機能を開発する必要があります。また経営陣が特定のKPIを追跡するためのダッシュボードを要求する場合、これを新たに設計・開発するための追加費用が必要です。この場合一定のコストが発生するでしょう。

基本的に機能が多ければ多いほど、開発費用は膨大になります。自社にどのような機能が必要か事前に確認しておきましょう。

運用・保守費用

オンプレミス型ERPの運用・保守費用の具体例として以下があります。

  • リモートサポート
  • オンサイトサポート

現地に赴いてもらい、運用・保守サポートしてもらうサービスはやはり高額であることがわかります。これはおそらく人件費が発生するからでしょう。リモートにするかオンサイトにするかで年間コストが数十万円変わるおそれがありますので、慎重に決めるべきです。

なお、その他運用・保守費用としては以下が考えられます。

  • サーバーハードディスクの交換費用
  • メモリの増設費用
  • ネットワーク機器の更新費用
  • バックアップサーバー費用
  • セキュリティ対策費用

機器関連では交換・増設・更新などの維持費用がかかります。本格的に運用すればするほど、一定のコストがかかるハズです。セキュリティ面や災害対策もしっかりと行うのであれば、この辺りの費用も無視できない金額になるでしょう。

ただし運用・保守費用は、内容・規模・数に応じて大きく変わります。保守費用がどれくらい発生するのか、導入前に確認しておきましょう。

カスタマイズ費用

オンプレミス型ERPのカスタマイズ費用として、以下が考えられます。

  • 現在の業務プロセスに合わせるためのカスタマイズ費用
  • 画面や帳票の変更費用

例えば製造業で使用される特殊な品質管理にERPを用いる場合、そのままではうまく機能しないかもしれません。そのような場合は適宜カスタマイズを行う必要があるでしょう。場合によっては変更では済まず、新規開発になるかもしれません。

その他にも、各部門の担当者が使いやすいように画面を変更するなどが該当します。特定の色合いやレイアウトに変更する場合、費用が発生します。

ライセンス費用

オンプレミス型ERPのライセンス費用として、以下が考えられます。

  • ユーザーライセンス
  • 基本ライセンス

ユーザーライセンスは、個々のユーザーがERPシステムにアクセスするための許可です。基本的に社員が多ければ多いほど費用がかかります。

その一方で基本ライセンスは、システムを利用するユーザー数に関係なく支払うライセンスです。基本ライセンスの金額が決まっており、ユーザー数が増えても一定数までであれば、ライセンス費用は増えません。先ほどの例は、この基本ライセンスに該当します。この場合は上限人数いっぱいまで利用することで、1人当たりのコストは下がります。

ただし、ERPシステムの機能や規模によってもライセンス費用が変化することもありますので注意が必要です。なお、ユーザーライセンスと基本ライセンスを組み合わせた料金体系を採用しているケースもあります。

導入サポート費用

オンプレミス型ERP型の導入サポートでは、以下のような費用がかかるでしょう。

  • インストール作業料
  • 移行作業料

その他の具体例としてはシステム初期設定費用が考えられます。具体的にはマスターデータ・アクセス権限・ユーザーアカウント・会計など各部門の基本設定などが挙げられます。これらのサポートを依頼することで、スムーズに導入できることでしょう。

もちろん、これらは自社で実行することも可能です。しかし自社の担当者が導入作業を担当する場合、相応のスキル・経験・業務時間が必要になります。費用は抑えられるものの、現場の負担が大きいと言えるでしょう

導入サポートを依頼するか否かは、自社の状況やリソースを踏まえて判断すべきです。

研修費用

ERPシステムの導入に関わる研修費用としては、以下が考えられます。

  • トレーニングプログラムの開発と実施費用
  • 社内トレーナーの育成費用

ERPシステムを導入すると、操作方法がわからない状況が発生するかもしれません。社員がERPシステムに適応できるよう、研修やトレーニングが適宜必要です。システムの基本操作・高度な分析機能の使用方法などに関するトレーニングを実施する必要があるでしょう。

さらに、オンプレミス型ERPは、運用・管理は自社で行うのが一般的です。そのため社内でERPに携わるエキスパートを育てる必要があります。その場合は従業員を選抜し、外部トレーニングや認定コースに参加させなければならないでしょう。それに伴い参加費用・交通費・宿泊費が発生することが考えられます。

クラウド型ERPシステムの導入コスト内訳

クラウド型ERPの導入コストの一般的な内訳は以下の通りです。

  • 初期導入費用
  • 月額基本料金
  • オプション料金
  • ライセンス費用
  • 導入サポート費用

初期導入費用

クラウド型ERPの初期導入費用は、オンプレミス型ほどかかりません。事業者のサーバーを使用するため、ハードウェアの構築費用や環境整備の費用がかからないからです。クラウド型ERPを利用すれば、オンプレミス型を導入する場合に比べて初期費用を限りなく抑えられるでしょう。

月額基本料金

クラウド型ERPの場合、月額基本料金がかかります。いわゆるサブスクリプションというものです。利用する限り、毎月発生するコストになっています。

ただし、クラウド型ERPの月額基本料金は、システムの機能や規模によって大きく異なります。複数の事業者から相見積もりを取るのが良いでしょう。

オプション料金

クラウド型ERPにはさまざまなオプション費用があります。人数・機能・ストレージなどを追加できます。基本プランのみでは不足する場合、このようなオプションを利用すると良いでしょう。ただしオプション料金も月毎に支払うため、最終的な年間コストが大きく変わることも併せて覚えておきましょう。

ライセンス費用

オンプレミス型と同様に、クラウド型ERPにもライセンス費用がかかります。クラウド型ERPの場合だと、基本的にユーザーライセンス制を採用している場合が多いです。ライセンス費用に関しましては、一般的にユーザー数・機能・ストレージに基づき決定されます。

ユーザー数の場合、システムにアクセスするユーザーの数に基づいて料金が決定されます。『1人当たり5,000円』のようなイメージです。ユーザー数が増えるごとに総コストが増加します。

機能に基づく場合、利用するERPの機能やモジュールに基づいて料金が決定されます。使える機能が多くなるほど、料金は上がるでしょう。

ストレージ量やデータ処理量の場合、企業が使用するデータ量・システムが処理するデータ量に基づいて料金が決定されます。大量のデータを保管、複雑なデータ処理を行う必要がある企業では、高い料金が発生することもあります。

どの製品も非常に低い料金ではありますが、利用状況によっては相当なコストになるでしょう。導入する際は、低価格だからと言ってすぐに飛びつくのではなく、使える機能など総合的に考えてから決めることをおすすめします。

導入サポート費用

クラウド型ERPにも導入サポートは基本的にあります。基本設定をレクチャー、および初期設定を代行してもらうことで、早い段階で運用が可能です。社内に知識や経験がない場合は、重宝することでしょう。

また製品によっては導入後のサポートなどもあります。このようなサービスを利用することで、導入だけでなく運用管理も安心できることでしょう。

導入計画を立てる際には、これらのサービスを適切に予算化し、必要なサポートレベルを確保することが重要です。長期的な視点でのコスト対効果を考慮して、効率的かつ経済的な導入サポートプランを選択することが望ましいです。

ERPの費用にてよくある質問を解説

ERPシステムを導入する際の、以下のよくある質問について回答していきます。

  • ERPパッケージとはなんですか?
  • ERPの選び方を教えてください
  • ERPの主な導入手順を教えてください

ERPパッケージとはなんですか?

ERPパッケージとは、企業の資源計画を効率的に管理するための統合的なソフトウェアシステム、およびパッケージ商品のことです。ERPパッケージでは以下のような業務を統合し、情報の共有とプロセスの最適化を図ることができます。

  • 財務管理
  • 人事管理
  • 製造管理
  • サプライチェーン管理
  • 在庫管理
  • 顧客情報管理

それだけでなくリアルタイムでの情報処理や更新によって、正確な情報に基づいて意思決定を迅速にできるようになるのも大きなメリットです。例えば、売上データ・在庫レベル・顧客情報などがその場で更新され、分析することが可能です。その結果、顧客の要望や問題に迅速に対応することができます。これにより、顧客サービスの質が向上し、顧客満足度の向上を期待できるでしょう。

このようにERPパッケージは、企業の経営に多大な恩恵をもたらしてくれるシステムになっています。業務効率に問題がある、または迅速な意思決定ができていない場合は、ERPパッケージを導入してみると良いでしょう。

なおERPに関する詳細は以下の記事をご参考ください。
ERPとは?基幹システムとの違い・形態・メリット・導入時の流れを解説

ERPの選び方を教えてください

ERPを選ぶ際には、自社の問題点を解決し導入目的を達成できる製品を選びましょう。目的が明確でなければ、ERPを導入しても現状の問題点を解決することが難しいためです。

ERPは、データを一元化することで生産性の向上やデータの集約化が可能になり、経営の効率化を図れます。さらに、今後の経営判断がリアルタイムでできるため、経営戦略にも役立ちます。しかし、企業によって問題点はさまざまであり、ERPに求める機能が異なります。

そのため自社の導入目的を明確にし、達成できるERPを導入しなければ、本来の目標である経営の効率化・企業改革は難しいでしょう。まずは、自社の問題点を洗い出し、求める機能や目的を明確にしたうえで、業務に応じたERPを選ぶことが重要です。

目的がイマイチはっきりしない場合は、各関係者と話し合うと良いでしょう。経営陣が求めていること、現場のニーズが一気に見えてきます。見えてきたニーズに基づき、目的の言語化や目標の数値化をしてください。そうすれば、必要な機能を理解・共有できることでしょう。

ERPの主な導入手順を教えてください

ERPの主な導入の流れは、以下の通りです。

  1. 自社の問題点を洗い出す
  2. ERPを導入する目的を明確化する
  3. 導入スケジュールを立てる
  4. 自社に必要なERPの機能を選定する
  5. ユーザー数を確認する
  6. クラウド型かオンプレミス型ERPか導入する方法を選択する
  7. 取引業者を選定し見積もりを行う
  8. ERP運用テストを行う

まず組織の現在の業務プロセスとシステムを詳細に分析し、問題点や改善が必要な領域を特定することから始まります。この分析を基に、ERP導入の主要目的と期待される成果を明確に設定しましょう。

次に、プロジェクトのタイムラインを策定し、各フェーズにおける重要なマイルストーンと期限を定めます。さらに、組織にとって必要なERPの機能を選定し、必要なユーザー数を確認してください。特に機能選定に関しては抜け漏れがないように、厳密に定義することをおすすめします。ここがあやふやだと後のシステム選定時に迷いが生じ、導入プロジェクトが滞ってしまうかもしれません。

その後、企業のニーズに最も適したモデル(クラウド型かオンプレミス型)を選択し、適切な取引業者を選定して見積もりを取ります。場合によっては複数企業から相見積もりを取るのも良いでしょう。

最後に、実際にERPシステムを運用テストし、問題がないことを確認した上で本格的に導入を進めます。この一連の流れは、ERPシステムの導入が組織の特定のニーズに合わせて最適化され、効果的な運用が可能となるように計画的かつ段階的に進められることが重要となっています。1つ1つ確実に進めていきましょう。

まとめ

ERPの導入費用相場は、数十万円~数千万円と大きく差があります。オンプレミス型ERPは専用サーバーなどハードウェアを導入する必要があり、初期費用が数百万円~数千万円と高額になりがちです。

一方、クラウド型ERPはインターネット環境さえあれば導入が可能なため、初期費用は数十万円~数百万円程度で抑えられるでしょう。どちらを導入すべきか迷ったときは、当社にぜひ一度ご相談ください。

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公共・民間ともに多数の実績を残してきました。

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