クラウド化とは?オンプレミス型との違い・メリット・デメリット・導入事例を解説

クラウド化とは?オンプレミス型との違い・メリット・デメリット・導入事例を解説

目次

「クラウド化ってなんだろう?」
「クラウド化させると、どのようなメリットがあるのかな」

このような疑問を持つことがあるかもしれません。 クラウド化とは、インターネット上のサーバーで、データなどを管理および利用することを指します。サーバーなどをクラウド化させることで、自宅・外出先などのオフィス外でも、アクセス・管理・共有することが可能です。リモートワークを促進する際に役立つでしょう。

しかしクラウド化は、メリットだけではありません。デメリットもあります。そのため事例を確認し、導入すべきかどうかを検討する必要があります。

そこでこの記事では、クラウド化における基本情報だけではなく、メリット・デメリット・実現方法・事例・よくある質問を解説いたします。ぜひご参考ください。

クラウド化とは?オンプレミス型との違いも解説

ここではクラウド化に関する基本情報を解説いたします。

  • クラウド化とは?わかりやすく解説
  • オンプレミス型とクラウド型の違い

クラウド化とは?わかりやすく解説

クラウド化とは、自分のパソコンや会社のサーバーではなく、サービス提供者が運営するインターネット上のサーバーで、データやプログラムを管理・利用することを指します。簡単に言えば、インターネット上に『仮想的な倉庫・仕事場』を持つようなイメージです。

クラウドの最たる例を言えば、パソコンに保存されている写真や文書をアップロードできるGoogleドライブ※が挙げられます。

※Googleドライブは、Google LLCの商標または登録商標です。

このようなサービスを使えば、インターネットがあればいつでもデータにアクセスでき、簡単に共有できるでしょう。

そんなクラウドですが、主に3つのサービスがあります。

 

クラウドサービス

特徴

SaaS(Software as a Service)

インターネットを通じてソフトウェアを提供

PaaS(Platform as a Service)

アプリケーションの開発・実行環境を提供

IaaS(Infrastructure as a Service)

サーバー・ストレージなどをインターネット経由で提供

SaaSは、ブラウザやアプリを通じて、必要なソフトウェアを使用できるクラウドサービスです。ソフトウェアのインストールやメンテナンスが不要で、アプリケーションを直接利用できます。メールサービスなどが代表例でしょう。すぐに利用したいユーザーに向いているサービスです。

PaaSは、サーバー設定や環境構築の手間を省き、アプリケーションの開発に集中できるクラウドサービスです。プログラミング言語や開発ツールなどを利用して、独自のアプリケーションを開発・実行できます。アプリケーションの開発に集中したいユーザー向けと言えるでしょう。

IaaSは、サーバー・ストレージ・ネットワークなどのインフラ資源を提供してもらえるサービスです。各設備を自社で購入・管理する必要がなく、初期費用削減を期待できます。PaaSと似ていますが、IaaSはインフラ設備のみが提供されます。OSやミドルウェアなどを自社で用意するため、PaaSよりも自由にシステムを構築できるのが特徴です。

オンプレミス型とクラウド型の違い

オンプレミス型とクラウド型の違いは、主に導入形態・導入費用・管理にあります。

  

異なる点オンプレミス型クラウド型

導入形態

自社内にインフラを構築する

インターネット経由でサービスを利用する

導入費用

初期費用が多い傾向にある

初期費用が少ない傾向にある

管理

自社が管理する

サービス提供者が管理する

オンプレミス型は、企業内の専用サーバーやデータセンターに、システムを構築・保有するモデルです。一方でクラウド型は、インターネット経由で、クラウドサービス事業者が提供しているアプリケーションなどを利用するモデルです。簡単に言えば、オンプレミス型は自己管理型であり、クラウド型は外部サービス利用型です。

オンプレミス型だと設備を自社で用意するため、クラウド型に比べて初期費用が高くなる傾向にあります。それだけでなく、導入完了・運用開始までに時間がかかるかもしれません。そして、セキュリティや管理権限は自社がすべて所持しています。システムにもよりますが、カスタマイズやコントロールがしやすい一方で、運用や保守に多くのリソースを必要とする傾向にあります。

クラウド型は対照的に、クラウドサービス事業者による運用・保守が一般的です。柔軟にサービスを利用できますが、一部のカスタマイズや管理権限が制限されるかもしれません。

どちらを選ぶべきかは、目的・要件・利用条件などによります。よく検討してみてください。

担当者様必見!情報システムをクラウド化させるメリット

ここではクラウド化させるメリットについて解説いたします。

  • リモートワークを実現できる
  • BCP対策として期待できる

リモートワークを実現できる

クラウド化させるメリットとして、リモートワークの実現が挙げられます。先述したようにクラウド化することで、場所を問わずにシステムやアプリケーションにアクセス可能です。

例えば、プロジェクトの進捗管理・タスク割り当て・デッドラインの設定などが、オンライン上で可能になります。チームメンバーは自宅や外出先からでもプロジェクトの最新状況を確認し、作業を進められます。プロジェクトの遅延やリソース不足といったリスクを早期に特定し、対処できるでしょう。

もちろん確認だけでなく、重要なデータファイルをクラウドストレージに保存し、許可されたメンバーと共有できます。場所を選ばずに必要な情報にアクセスでき、外出先や自宅からでも作業の継続が可能です。リモートワークの促進に役立つでしょう。

BCP対策として期待できる

クラウド化のメリットとして、BCP対策ができることも挙げられます。データをリモートのサーバーに保存するため、現地での災害や障害が発生してもデータを保護しやすくなります。

例えば、オフィスが洪水や火災に見舞われた場合でも、クラウドに保存されているデータは無事です。物理的なサーバーやハードディスクが破損しても、クラウド上のデータにはアクセスできます。

そして何より、クラウドサービスを使用していれば、インターネットが利用可能な場所からクラウド上のバックアップデータにアクセスし、迅速な復旧が期待できます。オンプレミス型だとサーバーなどが故障していることが予想されるため、災害後にこれほど迅速に復旧を行うのは困難でしょう。クラウドサービスを活用することで、災害や緊急事態が発生した際にもデータを迅速かつ安全に復旧し、ビジネスの継続性を高められます。

なおクラウド化のメリットの詳細は以下の記事をご参考ください。
クラウド化のメリット10選!低コストでBCP対策をできるがデメリットもある

担当者様は要注意!クラウド化させる際のデメリット

ここではクラウド化させる際のデメリットについて解説いたします。

  • 既存システムと連携できないかもしれない
  • 複数のクラウドサービスを導入すると管理が煩雑になるかもしれない

既存システムと連携できないかもしれない

クラウド化させる際のデメリットとして、既存システムと連携できない可能性が挙げられます。使用するクラウドによっては、連携できるシステムやツールが限定されていることがあります。

例えば、データベース・ミドルウェア・オペレーティングシステムなどの特定のバージョンや種類が、クラウドサービスによってはサポートされていないかもしれません。古い技術を用いている既存システムであれば、その可能性は高いでしょう。仮に連携できないシステムを導入してしまうと、結局は別のクラウドサービスを導入することになり、導入費用が無駄になるおそれがあります。

そのためクラウド化する際は、既存システムと連携できるかを必ず確認する必要があります。対象のクラウドサービスの公式ホームページに連携可能なシステムが記載されているはずですので、確認してみてください。もし見当たらない場合は、問い合わせましょう。

複数のクラウドサービスを導入すると管理が煩雑になるかもしれない

複数のクラウドサービスを導入すると管理が煩雑になるかもしれないことも、クラウド化のデメリットとして挙げられます。利用するクラウドサービスが増えれば増えるほど、全体像を把握するのが面倒になるかもしれません。

例えば、複数のクラウドサービスを導入した場合、それぞれのデータを確認するには、異なるクラウドサービスの管理画面にアクセスする必要があります。経費のことはクラウド型会計サービスに、営業のことであればクラウド型営業支援サービスにアクセスするイメージです。確認のためとはいえ、管理画面を何度も何度も切り替えるのは面倒なものです。使うクラウドサービスが多いほど、1つのシステムで管理できる場合に比べて、時間と手間がかかるかもしれません。

それだけでなく、各クラウドサービスを横断的に管理するには、それぞれの管理ツールやダッシュボードに慣れる必要があります。基本的に、各クラウドサービスはそれぞれ操作方法が異なります。管理者は1つのシステムを使う場合に比べて、適切に操作できるようになるまで時間がかかるかもしれません。

対策としては、ERPの導入がおすすめです。ERPとは、企業全体の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を統合的に管理し、経営の効率化を図るための概念、またはそれを実現するためのソフトウェアを指します。財務・人事・製造・供給チェーン・販売・プロジェクト管理など、企業のさまざまな部門の情報を、ERPシステム1つにまとめ、一元管理することが可能※です。

※さまざまな部門の情報を1つのシステムで管理するERPを統合型と言いますが、ERPには部門別型(財務会計に特化したERP・生産管理に特化したERPなど)もあります。導入する際はご注意ください。

現在はクラウド型のERPもあるため、検討してみてください。

パブリックかプライベートか?クラウド化させる方法

クラウド化させる際、以下のようなクラウドを利用することが一般的です。

  • パブリッククラウド
  • プライベートクラウド

パブリッククラウド

パブリッククラウドは、クラウドサービス事業者がインターネット経由で提供するリソース(サーバー・ストレージ・アプリケーションなど)を指します。共同利用型のクラウドサービスであり、クラウドサービス事業者が所有するインフラを複数のユーザーで共有します。

パブリッククラウドは、需要に応じてリソースを迅速にスケールアップまたはスケールダウンできるため、ビジネスの変動に柔軟に対応できます。また、基本的に初期投資が少ない傾向にあり、使用したリソースに対してのみ支払いを行う従量課金制であることが一般的です。これにより、コスト効率を高められます。

初期投資を抑えたい企業、および急速なビジネス成長に伴いスケーラビリティが必要なスタートアップにとって、パブリッククラウドは理想的と言えるでしょう。

プライベートクラウド

プライベートクラウドは、企業が独自に構築・運用するクラウドサービスです。公共のインターネットを通じて共有されるのではなく、プライベートネットワーク内で使用されるのが一般的です。

プライベートクラウドは、1つの組織専用に構築・利用されるクラウドであるため、パブリッククラウドと比較して、より高いレベルのセキュリティとプライバシーを期待できます。ただしプライベートクラウドは、セキュリティレベルが高い一方で、パブリッククラウドに比べて初期投資と運用コストが高くなるかもしれません。インフラの設置・メンテナンス・アップグレードなどに一定のコストがかかるでしょう

また、セキュリティ面に優れているプライベートクラウドではありますが、完ぺきではありません。プライベートクラウドでも、クラウド先のデータセンター内におけるサーバーラックなどに、サージ電圧やDDoS攻撃などによる過電圧・過負荷が生じると間接的に影響を受けることがあります。ご注意ください。

クラウド化の方法に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
クラウド化させる方法は?導入(移行)時の流れ・メリット・デメリットを解説

コスト削減効果も!クラウド化させた事例を解説

ここではクラウド化で効果が上がったコスト削減の事例を解説いたします。

  • 設備系会社様の事例
  • 鉄道系システム会社様の事例

設備系会社様の事例

当社の事例で、設備系会社様にクラウドを導入したケースがあります。

社内外からの情報共有

複数文書の一括作業

決裁済文書の連携

引用元:株式会社フォーカスシステムズ|設備業様向け社内コミュニケーション促進化(2024年2月9日時点)

この事例では、ワークフローシステムを活用し、本社と現場間での情報のスムーズな共有を実現しました。システムには写真のアップロード機能も含まれ、スマホやタブレットからもアクセスできるため、社内外から容易に情報共有と確認が行えるようになりました。

さらに、電子稟議システムの効率を向上させるために、一度に複数の文書を登録・承認できる機能を導入しました。これにより、以前は多くの文書に対応する必要があった作業者の負担が軽減され、システム経由でのコスト削減も実現しました。ポータル機能を通じて管理範囲の簡単な切り替えが可能になり、用途に応じた柔軟な運用が可能になりました。

また、文書をPDF形式に変換することで、改ざんを防ぐと同時に、決裁済みの文書をいつでも確認できます。詳細な内容と履歴を保管することが容易になり、過去の実績管理も効率的に行えるようになりました。

鉄道系システム会社様の事例

鉄道会社様に導入した事例もあります。

セキュリティ観点から、既存環境とは分けてAWS環境で新環境を導入

社内決裁・電子承認をintra-martのみで完結

intra-martワークフロー作成の内製化もご支援

引用元:株式会社フォーカスシステムズ|鉄道系システム会社様向け電子決済・承認システム(2024年2月9日時点)

この事例では、セキュリティ上の理由から、既存の社内システムとは別にネットワークを分けて運用し、クラウドベースで新しい環境を構築することになりました。既存のシステムと新しいクラウド環境を両立させるため、それぞれのシステムを用途に応じて使い分けることが可能です。シングルサインオン機能を使って、ポータル画面のリンクを通じてスムーズに移動できるようにしました。将来的にはSaaSを活用することも見据え、より柔軟なシステム運用を目指しました。

なおクラウド化の事例に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
クラウド化の事例を10個まとめました!働き方改革への貢献などのメリットも解説

クラウド化させるにあたってよくある質問

ここではクラウド化させるにあたって、よくある質問を解説いたします。

  • クラウド化させる際の費用を教えてください
  • サーバーのクラウド化とは何ですか?
  • ファイルサーバーのクラウド化とは何ですか?

クラウド化させる際の費用を教えてください

クラウド化させる際のコストは一概には言えません。選択するクラウドの種類・規模・使用するサービスの種類・データの移行量・必要なリソース・セキュリティレベルなどによって大きく異なるからです。気になった方は、企業に問い合わせることをおすすめします。

なおクラウド化させる際の費用に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
クラウド化の費用は?導入コストだけではなく運用管理費を下げる方法も解説

サーバーのクラウド化とは何ですか?

サーバーのクラウド化とは、自社で物理的に保有・運用しているサーバーの機能やデータを、クラウドサービス事業者が提供するクラウド型のサーバーへ移行することを指します。その名の通り、クラウド化の一種です。

先述しましたが、まずクラウド化とは、従来のオンプレミス型インフラストラクチャ・プラットフォーム・ソフトウェア・アプリケーション・その他のリソースを、クラウド環境に移行するプロセス全般を指します。サーバーのクラウド化は、この中で特に『物理サーバーのリソースをクラウドに移行すること』に焦点を当てたものです。社内サーバーをクラウド化することにより、物理サーバーの管理に伴うコストや複雑さを減らせるでしょう。

サーバーのクラウド化に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
サーバーのクラウド化とは?メリット・デメリット・選択時の比較ポイントを解説

ファイルサーバーのクラウド化とは何ですか?

ファイルサーバーのクラウド化とは、従来のオンプレミス型で利用・管理していたファイルサーバー機能を、クラウドサービス事業者が提供するクラウドベースのストレージサービスに移行することを指します。先ほど解説したサーバーのクラウド化の一種です。

サーバーのクラウド化は、物理的なサーバーの機能やデータをクラウドベースのサービスに移行すること全般を指します。その一方で、ファイルサーバーのクラウド化は、ファイルストレージと共有機能を提供するサーバーを対象としています。具体的には、主にデータの保存・アクセス・共有などに焦点を当てたものです。ファイルサーバーをクラウド化することで、データ管理しやすくなるだけでなく、アクセスビリティの向上も期待できます。

ファイルサーバーのクラウド化に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
ファイルサーバーのクラウド化とは?メリット・導入時に確認すべきことを解説

まとめ

ここまでクラウド化の解説をしてきました。クラウド化は、従来のオンプレミス型に比べて柔軟性と効率性が高い傾向にあります。 クラウドサービスの導入により、企業はアクセスの柔軟性・コスト削減などのメリットを享受できるでしょう。それだけでなく、リモートワークの促進や効果的なBCP対策を期待できます。

しかしサーバーなどをクラウド化する際、セキュリティ・コンプライアンス・データ移行の方法などに関して、多くの疑問が生じるかもしれません。もしクラウド化に関するお悩みがあれば、当社にぜひご相談ください。

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