IoT

IoTとはモノのインターネットのこと!仕組み・実現できること・導入事例を解説

IoTとはモノのインターネットのこと!仕組み・実現できること・導入事例を解説

目次

「IoTってなんだろう?」
「IoTで実現できることを知りたい」 

IoTはどういったものか具体的にわからず、このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。 IoTとはモノとインターネットをつなぎ活用する技術のことです。インターネットを通して遠隔でモノへ指示を出したり、モノの状態を正確に把握したりできます。これにより、従来は人が直接操作しなければならなかった場面や人の経験に頼っていた場面で、人に代わり機械が対応できるのです。

IoTにより自動化や平準化ができることで、業務効率化などさまざまな課題を解消できます。一方で、IoTには消費電力が大きいことやセキュリティ対策の必要性などの課題がある点に注意が必要です。

記事ではIoTの意味や定義・仕組み・実現できることおよび課題・導入事例・IoT技術に関するよくある質問を解説いたします。IoTへの理解を深めたい方は、ぜひご参考ください。


仕組みは?IoTとはモノのインターネットのこと

IoTとは具体的にどのようなものなのか、以下2項目で解説いたします。

  • IoTとは?意味・定義・正式名称を簡単に解説
  • IoTの仕組みをわかりやすく解説


IoTとは?意味・定義・正式名称を簡単に解説

IoTとは『Internet of Things(インターネット・オブ・シングス)』の略語であり、さまざまなモノがインターネットにつながる仕組みのことを指します。

従来、インターネットに接続できるのはパソコンやサーバーなどのコンピューターのみでした。IT技術が進歩するに伴い、コンピューターが小型化されたことにより、さまざまな場面で使用されるモノへコンピューターを組み込むことが可能となりました。これにより、インターネットへ接続できるモノが次々と登場しています。

家電製品や車など、身近にあるさまざまなモノとインターネットをつないだ製品はIoT機器と呼ばれています。例えば、IoT機器があればスマートフォンを使って家の照明を遠隔操作することも可能です。IoT機器は自宅や職場などさまざまな場面で取り入れられており、利便性の向上に貢献しています。

なおIoTの具体例に関しては以下記事をご参考ください。
IoTの具体例10選!身近な製品だけではなく農業・医療にも活用されています


IoTの仕組みをわかりやすく解説

IoTは機器に通信機器やセンサーなどを搭載し、インターネット経由で機器を指示通りに動作させます。IoTの仕組みに必要な要素は主に以下の5つです。

要素特徴
機器インターネットに接続するための通信機能やセンサーを搭載
ネットワーク機器間の通信経路。収集されたデータはネットワークを通じて送信
ゲートウェイモノとネットワークをつなぐ出入り口
サーバー機器が収集したデータを蓄積・分析・処理
アプリケーションシステムの制御

IoT機器に搭載されるのは、基本的にインターネットに接続するための通信機能と、指令を受けるためのセンサーです。センサーは画像や音声に反応するものなど、さまざまな種類があります。

センサーで取得したデータは、ネットワークを介してサーバーやクラウドに蓄積されます。この際、データを中継・変換して、異なるネットワークや機器間を橋渡しするのがゲートウェイです。

IoT機器によって収集されたデータは、クラウド上に蓄積・分析・処理されます。その後データはアプリケーションに送られ、指示通りに機器が作動します。データの活用次第では、新たなサービスを生み出したり課題解決に活用するなどできるでしょう。

なおIoTゲートウェイの詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTゲートウェイとは通信中継機器のこと!仕組み・産業への導入事例を解説


IoTの導入で実現できることを解説

IoTの導入によって実現できることは、主に以下の4つです。

  • モノの操作
  • モノの状態を把握
  • モノの動作を検知
  • モノの間で通信


モノを操作

IoTを導入するとモノを操作できるようになります。インターネットを介して指示が出せるため、直接操作をしなくても遠隔で操作できるようになります。

例えば先述した照明の操作のほかにも、自宅の玄関の鍵をスマートフォンで操作して開閉するなどが挙げられます。スマートフォンを操作して機器へ指示を出し、インターネットを介して機器が指示を実行します。こうして、外出先でも操作ができます。

また、産業用途であれば工場の設備を遠隔で動かす、防犯カメラを操作するなどが考えられます。工場設備に異常があれば、管理者が持っている機器へメッセージを送信することもできます。

従来、直接現場で設備の操作や監視をしていたことが、離れていてもできるようになるため、業務の効率化や生産性の向上につながるでしょう。


モノの状態を把握

IoTの導入により、モノの状態を把握しやすくなります。センサーで情報を取得し、クラウド上に蓄積されたモノの情報の分析により状態を把握できます。

IoTでは、センサーによってモノの動きや使用状況のデータなどを感知し、蓄積します。例えば、人の呼吸や脈拍などのバイタルサインをIoTによって計測することもできます。これにより医師が患者の体の状態を正確に把握できるようになるでしょう。

モノの状態を把握する機能は、インフラの維持管理にも活用されています。道路や橋などの交通インフラは、老朽化すると事故や渋滞などの原因にもなりかねません。しかし、定期的な検査やメンテナンスには時間や手間がかかり、さらに専門的な知識を持つ人材の確保も必要です。しかし、IoTによりモノの状態を把握することで、品質はある程度保ったうえで従来かかっていた時間や手間を大幅に削減できます。


モノの動作を検知

IoTはモノの動作を検知できます。機器に搭載されたセンサーによって機器の動作に関するデータを取得できるのです。IoT機器に搭載するセンサーでは以下のような情報を取得できます。

  • 音や光
  • 温度
  • 人や物体の動き

例えば、建設現場の重機や作業員の服などにIoT機器を搭載すると、センサーによってどこに何があり、誰がいるのかがリアルタイムで把握できます。このデータをもとに作業効率が悪い工程の見直しや、効率良く作業できる位置への資材置き場の変更などに活かせるでしょう。

また、動作の検知と遠隔操作を組み合わせれば、トラブルや異常が生じたとしても離れた場所から対処できるようになります。これによりイレギュラーな状態にも、より的確かつ効率的に対応できるようになるでしょう。


モノの間で通信

IoTの導入により、モノの間での通信も可能です。インターネットを介してモノとモノとで通信し、通信した内容をもとに作動できます。

例えばオフィスのエアコンを操作するには、従来では人がその場にいて、リモコンでオン・オフ・温度設定変更などを行います。しかしIoTであれば、オフィスビルの温度センサーで取得したデータをエアコンに自動で送信し、受信したデータを基に温度を変更できます。これまで人が操作していたことを、モノとモノとの通信で自動化できるのです。これにより、人が操作をしなくとも、自動で快適な温度を保てるようになります。

人によっては判断が分かれるような場面であっても、IoTでは蓄積されたデータをもとに判断させることできます。また使い方によっては人の判断よりも早く判断し作動させることができるため、迅速な対応が必要な場合にも大いに役立つでしょう。

なおIoTを使うメリットの詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTのメリットは?導入することで業務やデータ収集効率の向上を実現!


IoT(internet of things)の課題

IoTには以下の2つの課題があります。

  • 省電力のIoT機器が求められる
  • セキュリティ対策が必須

なおIoTの課題の詳細は以下記事をご参考ください。
IoTの問題点(課題)はセキュリティ対策・電力供給など!導入メリットも解説


省電力のIoT機器が求められる

地球環境にやさしいIoTを実現するのに、省電力のIoT機器が求められています。IoTは遠距離通信や搭載したセンサーの作動、データ通信などのために多くの電力を必要とします。

消費電力が増えると、比例して電気代の負担が増えます。1つの機器であれば大きな負担ではなくても、複数導入すると無視できないほど大きな負担になることも考えられるでしょう。コスト面での負担が増えるため、産業用途で導入する際には大きな課題となることがあります。

また、何らかの理由で電力が確保できなかった際にはIoT機器が動かなくなるおそれがあります。特に、地震や豪雨などの自然災害により電力の供給がストップする場合には備えが必要です。電力が供給されない非常時にも稼働できるようにするには、機器の省電力化などが欠かせません。

導入時には、対象のIoT機器の消費電力をチェックすべきでしょう。場合によっては、NB-IoTなどのような省電力ネットワークを構築する必要があるかもしれません。詳しくは事業者に相談するのがおすすめです。


セキュリティ対策が必須

IoT機器はセキュリティ対策が必須になる点も、課題の1つです。インターネットに接続するため、サイバー攻撃を受けるリスクが避けられません。実際に、アメリカの企業がサイバー攻撃を受けた以下の事例があります。

【Dyn(米国)】
・Dyn社のDNSサーバに対し、Mirai ※に感染し攻撃に関与した約10万台のIoT機器から1.2Tbpsに及ぶとされるDDoS攻撃が発生

・世界各国の様々な大手顧客サイト(Twitter、Netflix、Spotify、英国政府ウェブサイト等)に数時間にわたりアクセス障害が断続的に発生

※ MiraiはIoT機器に自動的に感染し、攻撃者からの指示に応じて感染した機器を踏み台としたDDoS攻撃を実施する等の機能を有するマルウェア

引用元:総務省|サイバーセキュリティ等に係る現状と課題について 平成29年10月|2ページ目(2024年1月10日時点)

DDoS攻撃とは、サーバーへ大量のアクセスを発生させ、サーバーを利用できなくさせるサイバー攻撃です。この攻撃には、マルウェアと総称されるコンピュータウイルスに感染したIoT機器が使用されました。

このように、インターネットに接続して通信すれば、外部からのインターネットを介したハッキングやコンピュータウイルス感染による情報漏洩などのリスクも高まります。アラート発生から事態を解消するプロセスの隙を狙われるなど、サイバー攻撃によりIoT機器のプログラムを改ざんされてしまうおそれもあるでしょう。

サイバー攻撃を防ぐためには、セキュリティを強化する必要があります。外部からの侵入を防ぐほか、コンピュータウイルス対策も欠かせません。また、サイバー攻撃は次々と新たな手口が登場しているため、定期的なアップデートも求められるでしょう。

しかし、IoT機器はパソコンのようにセキュリティ対策ソフトをインストールしてアップデートするなどの対策が容易ではありません。新たな脅威への対策がしにくいため、サイバー攻撃の標的にされやすくなる傾向があります。

方法がないことはなく、例えば対策にデータの暗号化が挙げられます。データを窃取されても復号できない限り読み取れない形式に変換し、特定のキーを持つ者だけが元のデータを復号して閲覧できるなどがあります。専門家に相談するのをおすすめします。

なおIoTセキュリティの詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTセキュリティとは?対策方法・接続時などの運用ルール・機器のことも解説


ビジネスに役立つ!IoTの導入事例を解説

IoTの導入事例を4つ解説いたします。

  • 農業への導入事例
  • 工場への導入事例
  • 製造業への導入事例
  • 物流への導入事例

なおIoTの導入に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTを導入しよう!手順・ビジネスへのメリット(効果)・課題・事例を解説


農業への導入事例

農業にIoT機器を導入した事例があります。

「通い農業⽀援システム」を導⼊すると・・・
①ハウスの温度管理
○⽔稲・タマネギ育苗
→ハウスの側窓の開け閉めを判断

○アンスリウム
→暖房オンオフ、地震の設備への影響の判断

②灌⽔の管理
○イチゴ育苗・カスミソウ栽培
→灌⽔量、灌⽔装置設定の判断

引用元:農林水産技術会議|原発事故からの復興のための放射性物質対策に関する実証研究|17ページ目(2024年2月21日時点)


水稲やタマネギの育苗に適した温度条件を自動で維持することで、発芽率と成長速度を最適化できます。ハウスの側窓の自動開閉により、内部の温度と湿度を適切に調節し、植物の健康を保てるでしょう。

また、適切な水分管理により、栽培される植物の健康が保たれ、収穫量と品質の向上が期待できます。植物に応じた最適な灌水タイミングと量を自動で調整することができるため、人的ミスによる問題を減少させられるかもしれません。

なお農業へのIoT導入事例に関する詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTは農業にも活用可能!スマート農業・導入すべき理由・実現した事例を解説


工場への導入事例

ドイツの事例ではありますが、工場へ導入することにより、以下のような効果があります。

○通信規格の国際標準化 
○サプライチェーンや顧客との間で、 リアルタイムにデータを共有・分析 
○設備稼働率平準化、多品種少量生産、 異常の早期発見、需要予測などが可能に

引用元:経済産業省|参考資料集① 国内外の先進事例|13ページ目(2024年2月21日時点)

通信規格の国際標準化により、開発者は共通の基準に基づいて新しい技術やサービスを開発できるため、イノベーションが加速されます。また、リアルタイムデータの共有により、サプライチェーン全体での在庫管理・需要予測・配送の最適化が可能になり、運営の効率性が向上します。リアルタイムデータと高度な分析技術を組み合わせることで、多品種少量生産が可能になり、市場の多様化するニーズに迅速に対応できるかもしれません。

なお工場へのIoT導入事例の詳細は以下の記事をご参考ください。
工場にIoTを導入!データの見える化などのメリット・システム活用事例を解説


製造業への導入事例

製造業に導入した事例もあります。

<③データの分析・学習>
製造ラインの品質管理プログラム
コンピュータに、所定の製造工程後の製品を所定の検査項目それぞれについて検査した結果を表す検査結果データを、検査装置からネットワークを介して受信し、データベースに蓄積する機能、当該製品を製造した際の製造条件データを、製造装置からネットワークを介して受信し、前記検査結果データに関連付けて前記データベースに蓄積する機能、前記データベースに蓄積された前記検査結果データの検査結果と前記製造条件データのうち不適合の原因となった製造条件との関係をディープラーニングによりニューラルネットワークに学習させる機能、前記データベースに蓄積された検査結果データを監視する機能、前記監視により不適合の検査結果を発見した場合、前記学習済みニューラルネットワークを利用して、前記不適合の原因となった製造条件を推定する機能、を実現させるための、製造ラインの品質管理プログラム。

引用元:特許庁|IoT関連技術等に関する事例の充実化について|32ページ目(2024年2月21日時点)

少しわかりにくいですが、要約しますと、データ収集・学習機能・分析機能を組み合わせることで、品質に関する問題点の迅速な特定が可能になるということです。このようなシステムは、製造業における品質管理を大幅に進化させる可能性があります。製造プロセスの最適化と品質向上を同時に図れるかもしれません。

なお製造業へのIoT導入事例の詳細は以下の記事をご参考ください。
製造業こそIoT化!スマートファクトリー・導入メリット・活用事例を解説


物流への導入事例

物流に導入した事例もあります。

物流
例)リアルタイム追跡

引用元:特許庁|IoT関連技術等に関する事例の充実化について|5ページ目(2024年2月21日時点)

例えば、荷物もしくは車両の正確な位置情報をリアルタイムで取得することにより、顧客に精度の高い位置情報を送信できます。これにより、配送状況がわかるため、顧客満足度が向上するかもしれません。また、輸送ルートの最適化・交通渋滞や遅延に関する注意喚起・迅速な代替ルートの決定など、運送効率を大幅に向上させることが可能です。

なお物流へのIoT導入事例の詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTは物流にも使える!業界の課題・配送効率化などのメリット・導入事例を解説


IoT技術にてよくある質問を解説

IoTに関するよくある以下の2つの質問を解説いたします。

  • IoTの開発費用を教えてください
  • IoTにおけるビーコン(Beacon)とは何ですか?


IoTの開発費用を教えてください

IoTの開発費用は、以下のように数百万円から数億円かかります。

会社名開発費用開発方法
企業A100万円以下外注
企業B約1.3億円自社開発

※開発内容・規模などにより費用は異なります。

開発内容・規模などはもちろんですが、外注をするか、自社開発するかでも費用は変わります。そのため一概には言えません。費用の詳細を知りたい場合は、問い合わせると良いでしょう。


IoTにおけるビーコン(Beacon)とは何ですか?

 IoTにおけるビーコン(Beacon)とは、無線で信号を発信する装置やその技術のことです。ビーコンが設置されたモノがどこにあるのかを発信したり、ビーコンから受信端末へデータを送信したりできます。

IoTでビーコンが活用されている理由の1つは、Bluetoothの一種であるBLE※を活用したものが登場したことです。

※BLE(Bluetooth Low Energy)とは、近距離での無線通信の規格の一種のこと。

BLEは消費電力が少なく、3次元のピンポイントで位置情報を取得できます。IoTの課題である省電力とより正確なモノの位置情報を取得できる技術により、IoTでの活用が広がりました。

ビーコンには位置情報を取得する他にも、スマートフォンへプッシュ通知を送信するなどの活用方法があります。例えば、店舗内や近くにいる顧客が持つスマートフォンに専用アプリが入っている場合、アプリへクーポンやセール情報を通知できます。これにより店舗側はターゲットを絞ったマーケティングができるようになります。

なおIoTのビーコンの詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTのビーコン(Beacon)とは?メリット・GPSとの違い・活用事例を解説


まとめ

IoTはあらゆるモノとインターネットをつなぐ仕組みであり、さまざまな場面で活用されています。モノの状態を離れていても把握でき、遠隔での操作もできるためビジネスでも広く利用されている技術です。従来は人がしなければならなかった対応も機械によって自動化できるため、作業の効率化や生産性の向上にも役立つでしょう。

ただし、IoTは消費電力が大きいことやセキュリティ対策の難しさに課題があります。電力の確保が難しい場合にはIoT機器が利用できないおそれもあり、IoTを導入する際にはこうした課題も把握しておくことが大切です。

IoT関連のお悩みがある場合は、ぜひ当社へご相談ください。


残してきた実績

設立から48年。
大切なものにフォーカスしてきたからこその実績があります。
公共・民間ともに多数の実績を残してきました。

年間プロジェクト数

500PJ

年間取引先・顧客数

200

最長取引年数

47

延べ資格取得者数

1,740