フォーカスノート
IoTの具体例10選!身近な製品だけではなく農業・医療にも活用されています
目次
「IoTの活用事例を知りたいな」
「一般利用だけではなく、ビジネスでどのように使われているのかも知りたい!」
このような疑問を抱く方もいるでしょう。IoT技術は下記のようなことで活用されています。
- 家電
- 住まい
- ホテル
- ビジネス全般
- 健康増進分野
- 医療
- スポーツ
IoT技術は多くの分野で活用されており、今やなくてはならない技術となりました。 一般利用であれば利便性の向上、ビジネス視点で言えば効率化や自動化を実現しています。使い方によっては、別のメリットを得ることも可能です。
そこでこの記事では、ユーザー視点と企業視点に分けて、IoT技術の活用事例を幅広く解説いたします。この記事を読めば、IoTの必要性やメリットがわかるうえ、IoT機器の購入またはIoT導入のイメージが明確になることでしょう。「IoT技術の活用方法がわからない・IoTを導入した実例をたくさん知りたい」という方は、ぜひご参考ください。
ユーザー視点!IoT技術の身近な活用事例を解説
ここではIoT技術の身近な活用事例を解説いたします。
- スマート家電
- スマートホテル
- ウェアラブルデバイス
スマート家電
IoT技術は、スマート家電にも活用されています。スマート家電とは、スマホやタブレット端末と連携し、ネットワークに接続できる家電のことです。スマホやタブレット端末を使えば、自宅にいなくても家電を遠隔操作できます。
スマート家電とIoTの技術が連携した事例は、以下の通りです。
ネットワークに接続された製品については、リコール情報伝達の新たな手法の開発により、リコール回収率を改善することが期待できる。
スマートフォンからサーバーを経て、自宅やオフィスの家電を遠隔操作する技術等を応用し、リコール情報をユーザーに届けることで、リコール回収率の向上を図る。(平成28年度F/S事業実施)
引用元:経済産業省|製品安全政策の今後の展開-IoTによる製品安全のスマート化ー|7ページ目(2024年1月24日時点)
リコールに関する情報が消費者に直接届くため、リコール対象製品の回収率向上が期待されています。これは、リコール対象製品を使用している消費者の安全確保と、製品の品質管理を向上させるために重要です。
リコール情報の迅速かつ正確な伝達は、消費者の安全を確保するだけでなく、製品のブランド信頼性と顧客満足度を高めることに貢献するでしょう。
スマートホテル
IoT技術を活用している例として、スマートホテルも挙げられます。スマートホテルとは、IoTなどのテクノロジーを活用し、施設の生産性向上・宿泊客の満足度向上・人材不足の解消などを可能にする宿泊施設のことです。以下のようなメリットがあります。
スムーズにチェックイン・アウトができます。
わざわざフロントに並ばずとも、アプリや自動チェックイン機でチェックイン・アウトが可能となります。鍵を持ち歩く必要がありません
顔認証などで部屋に入ることができるので、手ぶらで街に繰り出すことができます。
寝そべりながらすべてが完結します
声に反応して各種機能(温度・湿度、照明、カーテンの開閉、ルームサービス等)が動作するので、立ち上がらずとも寝ながら過ごすことができます。
パーソナライズしたサービスを受けられます
画一的なサービスではなく、個人の趣味嗜好にあわせたパーソナライズしたサービスを受けることができます。
引用元:経済産業省|デジタル技術を活用し、地域の生産性や持続性を高め、高い国際競争力を持った地域を形成するためのスマートリゾートハンドブック|40ページ目(2024年1月24日時点)
例えば、顔認証などのバイオメトリック技術などを使用したキーレスシステムにより、宿泊客は物理的な鍵を持ち歩く必要がなくなります。入退室をするたびに、鍵を探す煩わしさから解放されるでしょう。これはセキュリティを強化すると同時に、顧客にとっての利便性も向上させることを意味します。
また声に反応するスマートスピーカーによって室内の温度・湿度・照明・カーテンの開閉・ルームサービスなどを簡単に操作できます。顧客は快適に寛ぎながら、必要なサービスを受けられるでしょう。
これらは顧客体験を大きく変え、より快適で便利な滞在を実現していることを示しています。顧客満足度の向上およびホテルの競争力強化が期待されます。
ウェアラブルデバイス
IoT技術はウェアラブルデバイスにも活用されています。
ウェアラブルカメラを活用したボランティア連携型警備 |
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名札型のウェアラブルデバイスを活用した生産性向上施策 |
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参考元:総務省|第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~(2024年1月24日時点)
これらの例からは、ウェアラブルデバイスが安全・健康・効率性の向上に大きく寄与していることがわかります。例えば警備業務への応用であれば、イベント会場の現場からリアルタイムで映像が送信され、管理センターでの即時の監視と反応が可能になります。複数の警備員が会場全体に分散して映像と音声データを提供することで、広範囲の監視が可能となります。
また行動データに関して言えば、組織の活性度を測定し、従業員の身体動作やコミュニケーションパターンを分析できます。例えば、従業員間のコミュニケーションの頻度を分析することで、組織内の活性度やチームワークを測定し、改善策を講じることができます。システムによっては、過度のストレスや不健康な作業習慣を識別し、従業員の健康と安全を確保することもできるでしょう。
企業視点!IoT技術の活用事例を解説
IoT技術はビジネスにおいても活用されています。ここでは業種ごとの活用事例を解説いたします。
- 製造業
- 農業
- 医療
- 物流業
- 産業廃棄物の処理
- フードチェーン(一部)
- 建設業界
製造業
製造業にもIoTが導入されています。
<③データの分析・学習>
製造ラインの品質管理プログラム
【請求項1】
コンピュータに、所定の製造工程後の製品を所定の検査項目それぞれについて検査した結果を表す検査結果データを、検査装置からネットワークを介して受信し、データベースに蓄積する機能、当該製品を製造した際の製造条件データを、製造装置からネットワークを介して受信し、前記検査結果データに関連付けて前記データベースに蓄積する機能、前記データベースに蓄積された前記検査結果データの検査結果と前記製造条件データのうち不適合の原因となった製造条件との関係をディープラーニングによりニューラルネットワークに学習させる機能、前記データベースに蓄積された検査結果データを監視する機能、前記監視により不適合の検査結果を発見した場合、前記学習済みニューラルネットワークを利用して、前記不適合の原因となった製造条件を推定する機能、を実現させるための、製造ラインの品質管理プログラム。
引用元:特許庁|IoT関連技術等に関する事例の充実化について|32ページ目(2024年2月28日時点)
データを集めて分析し、学習機能を備えたシステムを使うことで、製品の品質に関わる問題をすぐに見つけ出せます。これは製造業での品質管理の方法を大きく改善することができ、生産の効率化と製品品質の向上を両立させることを期待できます。
農業
農業の分野では、IoT技術が作業の効率化や省力化に活用されています。
「通い農業⽀援システム」を導⼊すると・・・
①ハウスの温度管理
○⽔稲・タマネギ育苗
→ハウスの側窓の開け閉めを判断○アンスリウム
→暖房オンオフ、地震の設備への影響の判断②灌⽔の管理
○イチゴ育苗・カスミソウ栽培
→灌⽔量、灌⽔装置設定の判断
引用元:農林水産技術会議|原発事故からの復興のための放射性物質対策に関する実証研究|17ページ目(2024年2月28日時点)
システムにより、必要な温度条件を保持できます。ビニールハウスの自動化された窓操作によって、内部の気温と湿度を理想的な状態に調整し、植物の成長を促進します。
さらに、植物の種類に合わせた水やりの正確なスケジューリングと量の自動調整により、植物の健康を維持し、より多くの収穫量と良質な作物の収穫を期待できるかもしれません。このような自動化された管理は、人的ミスを削減し、農業の効率と成果を向上させる可能性を秘めています。
医療
医療に用いた事例もあります。
糖尿病患者の身体に装着して使用する小型のウェアラブルデバイスであり、インスリン療法のサポートが可能です。『血糖値のモニタリング・血糖値を下げるインスリンの投与・血糖値を上げるグルカゴン投与』の機能を持ち、従来のインスリン投与に比べて、費用を半額にできる可能性があります。
参考元:総務省|第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~(2024年2月28日時点)
このデバイスを使えば、患者はいつでも自分の血糖値を確認でき、血糖値が急激に変わるのを早く察知できます。これにより、血糖値の変動リスクを少しでも減らせるでしょう。
また、血糖値が高くなったらインスリンを、低くなったらグルカゴンを自動で投与することで、血糖値を効率的に管理することが可能です。この自動システムはインスリンの必要量を適切に調整し、余分な使用を防げます。これにより、治療にかかる費用をかなり抑えられるかもしれません。
物流業
物流に導入した事例もあります。
物流
例)リアルタイム追跡
引用元:特許庁|IoT関連技術等に関する事例の充実化について|5ページ目(2024年2月28日時点)
荷物や車両の位置をリアルタイムで正確に把握することで、顧客への正確な位置情報の提供が可能になります。これは、配送プロセスを透明にし、顧客の満足度を高める効果があります。さらに、輸送ルートの効率化・交通の渋滞や遅れに対するアラート・迅速な代替ルートの選択により、運送効率を改善できるかもしれません。
産業廃棄物の処理
産業廃棄物の処理にも、IoT技術が導入されています。
京都府では、最終処分量の多い3種の産業廃棄物の有効利用を進めるため、全国に先駆けてAI・IoT技術を活用した「新しい資源循環モデル」を構築・推進する取組を進めています。
(1)建設廃棄物対策:建設廃棄物のリサイクルを目的としたAI選別ロボの導入支援
(2)廃プラスチック類対策:センサーを活用した廃棄物効率回収によるリサイクルモデル構築
(3)下水汚泥対策:廃棄物の排出側とリサイクル先のマッチングシステム構築に向けたFS調査
引用元:京都府|第3章資源循環におけるAI・IoT活用の試み|1ページ目(2024年2月28日時点)
センサー技術を用いた新しい回収システムを開発することで、廃プラスチックの収集とリサイクルの流れを改善しています。この取り組みにより、廃プラスチックの効率的な回収が可能になり、リサイクルの効率を高められるかもしれません。
フードチェーン(一部)
フードチェーン(一部)では、IoT技術を活かして食品ロス削減を目指しています。実証実験ではありますが、以下のような取り組みがあります。
1.購買データを活用した購買支援
2.消費・廃棄データの取得による在庫管理
3.データを活用した調理支援
4.ゲーミフィケーションを活用した購買促進
5.消費・廃棄データによるデマンド型の需給予測
引用元:経済産業省|令和3年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業 IoT技術を活用した食品ロス削減の事例創出 実証実験概要|7ページ目(2024年1月24日時点)
例えば重量センサーとBluetoothタグによるデータ収集は、食品の正確な販売量と廃棄量を把握することを可能にし、よりデータ駆動型の食品管理を実現します。過剰在庫を防ぎ、無駄な廃棄を減らせるでしょう。
そして何より、食品廃棄物の減少は、廃棄処理に関わる環境負荷の軽減にも貢献可能です。食品廃棄は、埋立てや焼却といった処理過程で環境に負荷を与えるため、これを削減することは環境保護に役立ちます。もちろん、食品の輸送や保管にも一定のエネルギーが消費されます。廃棄される食品を減らすことで、これらのエネルギー消費削減も可能です。
建設業界
建設業界にもIoTが導入されています。
③ICT建設機械による施工
3次元設計データ等により、ICT建設機械を自動制御し、建設現場のIoT(※)を実施。
引用元:首相官邸|i-Construction~建設現場の生産性革命~|2ページ目(2024年2月28日時点)
『建設現場のIoTを実施』という文章から察するに、センサーやインターネット技術を活用して、建設機械や作業環境の状態をリアルタイムで監視・管理することが推測されます。これによって、さらなる業務効率化および適切な現場管理が可能になるかもしれません。
IoT関連でよくある質問を解説
ここでは、IoTに関連するよくある質問を解説いたします。
- IoTとは何ですか?
- IoTで実現できることを教えてください
IoTとは何ですか?
IoTとは『Internet of Things』の略で、モノをインターネットに接続する技術のことです。この技術によって家電・自動車・センサー・工業機器など、さまざまなデバイスがインターネットを介して情報を交換し、自動化・効率化・スマート化を実現します。
また、IoTシステムは以下5つによって構成されています。
- モノ(デバイス・センサー)
- ネットワーク
- ゲートウェイ
- サーバー・クラウド
- アプリケーション
デバイスはIoTシステムの最前線に位置し、データを収集する役割を果たします。具体例として、センサーで温度・湿度・動き・音・光などの環境要因を検出および収集することが挙げられるでしょう。
その後、ネットワークを通じて他のシステムにデータが送信されます。ゲートウェイは、デバイスとネットワーク間の橋渡し役です。
そして受信したデータは、サーバーやクラウド上で保存・処理されます。ここでデータは分析され、有用な情報に変換および必要に応じて他のシステムやデバイスに送信されます。このデータはスマホなどから確認でき、ユーザーはアプリなどから制御できるという仕組みです。
IoTの詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTとはモノのインターネットのこと!仕組み・実現できること・導入事例を解説
IoTで実現できることを教えてください
ここまでにさまざまな事例を解説しましたが、IoTで実現できることは大まかに分けて3つあります。
- モノの自働化
- ビッグデータの収集と蓄積
- 遠隔での制御や操作
IoT技術を活用すれば、手動で行っていた作業を自動化できます。例えば、学習機能付きのロボットが工場の生産ラインを担うなどがあるでしょう。ビッグデータの収集や蓄積も可能です。顧客の属性やデータを詳細に収集し、商品の購入傾向などを分析することで、よりカスタマイズされたサービスの提供ができます。他にも、遠隔地での制御や操作も可能です。
IoT技術をうまく活用できれば、より便利に生活することができます。ビジネスの面においては業務の効率化・正確な情報収集・適切な安全管理にもつながるでしょう。
まとめ
今回はユーザー視点と企業視点に分けて、IoT技術の活用事例を幅広く解説いたしました。IoTは、生産性の向上や売上の増加・人手不足の解消・安全性の向上や健康増進など、あらゆる点において役立つ技術です。
これまで解決できなかった課題の解決や、より効率的な業務遂行などが可能となります。IoTの導入を検討されている場合は、ぜひ当社にご相談ください。