システム開発費用の相場は?コストを抑える方法・成功ポイント・補助金などを解説

システム開発費用の相場は?コストを抑える方法・成功ポイント・補助金などを解説

目次

「システム開発の費用はどのくらいだろう」
「システム開発費用を抑える方法を知りたい!」

システム開発を考えるうえで、費用がネックになっている方は多いのではないでしょうか。 結論から述べると、システムの開発費用は一概には決まりません。事業者・機能数・希望などによって大きく変化するためです。

それだけでなく導入時のサポートやその後のメンテナンスなども依頼する場合、その費用はさらに膨らむことが予想されます。そうなると、少しでも費用を抑える方法が気になることでしょう。

この記事では、システム開発にかかる基本的な費用だけではなく、費用を抑える方法・システム開発を成功させるポイント・補助金まで詳しく解説します。

この記事を読むと、システム開発にかかる大まかな費用から内訳まで理解できるでしょう。「システム開発をしたいが、費用の見当がつかない……」とお悩みの方は、ぜひご参考ください。

システム開発の費用相場は?種類別で解説

システム開発にかかる費用の相場について、以下2つの種類別で紹介します。

  • 基幹システム
  • クラウドシステム

基幹システム

基幹システムとは、企業の根幹を担う業務・情報を管理するシステムを指します。具体的には販売管理や在庫管理などの業務を効率化する際に役立つシステムのことです。このようなシステムを開発する際の費用は、一般的に数千万円から数億円程度の費用がかかると言われています。

システム開発の費用相場を知るには、複数のシステム開発会社から相見積もりを取ることが確実でしょう。

クラウドシステム

クラウドシステムを開発する際の費用も、目安がいくらになると言い切ることは難しいです。一般的には数十万円から数百万円かかると言われていますが、サービス内容・規模によって費用が変化するため、一概には言えません。

またイチからシステムを開発する場合、基幹・クラウドに関わらず、どうしても費用は高額になりがちです。十分な予算を用意しておくことも、システム開発の重要なポイントと言えます。

システム開発費用の内訳を解説

システム開発の内訳においては、以下のようになっています。

  • 関係者の人件費
  • 要件定義費用
  • 設計費用
  • テスト運用費用
  • 導入費用
  • ライセンス費用
  • サポート費用

関係者の人件費

関係者の人件費は、システム開発における費用の大部分を占めます。システム開発における関係者とは以下のような人物が挙げられるでしょう。

  • WEBディレクター
  • プロジェクトマネージャー
  • エンジニア
  • プログラマー
  • デザイナー

上記の他にもマネージャーを補佐するオフィス要員など、多くの人たちが関わり、システムが開発されます。規模が大きな案件になるほど関係者も多くなるため、システム開発の規模が大きくなれば費用もかさむ、と言われる理由の一端と考えられるでしょう。

要件定義費用

要件定義にかかる費用とは、システム開発に必要な機能や大まかな方針を検討する際にかかる費用です。以下のようなものが挙げられるでしょう。

開発目的の整理

  • システム利用フロー図の作成
  • 機能要件の特定
  • 非機能要件の特定

開発目的の整理、機能要件の特定などが、発注者からヒアリングを行って要件を定義していくために必要な工程です。そもそもなぜシステムが必要なのか、システムに必要な機能などを特定します。

一方、システム利用フロー図とは、発注者がシステムを利用する際のフローチャート図を作成し、実際にどのようなシステムになるのかを可視化する文書です。

要件定義は、開発における基準になるため、時間をかけてヒアリングするケースもあるでしょう。人件費と同じく、基本的には要件定義にかかる日数と人員の数によって費用が決まります。時間をかけるほど要件定義費用も高くなるでしょう。

ただ発注者からシステムに必要な機能や、どのような課題を解決したいのかを聞き出すためには、時に熟練エンジニアの意見も必要です。コストがかかったとしても、正しく要件を定義するためには必要な費用だと考えられます。

設計費用

内部設計・外部設計にかかる費用です。サーバーやアプリなど、システム開発に必要な土台を作る際の費用になるため、こちらも欠かせない費用と言えるでしょう。

内部設計とは、実際にシステムを作動させるために必要な仕組みを考え・指定する工程です。開発ステップとなる『開発・プログラミング』において、プログラマーが内部設計で定められた設計書をもとにプログラミングを進めます。

どのように設定し、どう動くプログラムにするのか、といった点まで詳細に決めていきます。費用内訳では『基本設計・詳細設計』などの費用として計上されることが多いでしょう。

外部設計は、サーバーやハードウェア、操作画面など、発注者側の目に留まる部分を設計します。機能面だけではなく、デザイン面や使いやすさも加味するため、デザインに凝るほど費用も高くなる傾向があります。

費用内訳では外部設計のほかに『UI設計・データベース設計』などとされることが多いでしょう。基本的に開発に必要な基礎部分を作る工程のため、工程の数だけ費用も発生します。

テスト運用費用

テストに関する費用は、大きく2つに分けられるでしょう。一般的には以下のようになります。

  • テスト項目を洗い出しテスト計画書を作成
  • テスト計画書をもとにテストを実施する

まずシステムに必要とされるテスト項目の洗い出し、テスト計画書を作成するために費用がかかります。システムの機能が多く、開発レベルが高くなるほどテストの数も増えるため、費用がかさむと考えられるでしょう。

基本的には以下4つのテストを不具合がなくなるまで繰り返します。

テスト名内容

単体テスト

1つのプログラムを起動させ、正常に動くか試すテスト

結合テスト

複数の機能を連携させた際、正常に動くか試すテスト

システムテスト

実際の運用環境を想定したうえで動作を確認するテスト

運用テスト

要件通りの機能が実装されているか発注者が行うテスト


テストを行う人材によって、計算単価が異なるケースもあります。そのため、企業によってはテストの費用を抑えられるケースもあるでしょう。

導入費用

システムを導入する際にかかる費用です。例を挙げれば以下のようなサポートが考えられるでしょう。

  • データ移行
  • 初期設定
  • マニュアル作成

どこまでサポートを依頼するかによって、導入にかかる費用も当然異なります。ただシステムの導入は、これまでの業務フローを刷新するなど変化が多くなりがちです。スムーズなシステムの導入が叶わなければ、システムを利用した新しい業務フローに慣れるまでに時間がかかってしまうかもしれません。

システムやITツールに精通している社員がいない場合は、サポート費用は必要経費と考えるべきでしょう。できるだけ活用することで、スムーズな導入を実現できます。

ライセンス費用

システム開発におけるライセンス費用とは、開発プロセス中に使用するソフトウェアやツールの使用権を得るために支払う費用のことです。使用する可能性があるライセンス例は以下の通りです。

  • 開発ツールのライセンス
  • フレームワークやライブラリのライセンス
  • サーバーやインフラのライセンス
  • サードパーティAPIのライセンス

これらのライセンス費用は、プロジェクトの要件や選択した技術によって大きく異なります。ケースによっては、開発コストの重要な部分を占めることがあるでしょう。プロジェクトの予算計画において、これらの費用を適切に評価し、考慮することが重要です。

サポート費用

導入時のサポートではなく、運用を始めた後のサポート費用です。企業によってはサポート費用ではなく『運用・保守費用』と記載しているケースもあるでしょう。サポート例には以下があります。

  • 技術関連のサポート
  • トレーニング関連のサポート
  • カスタマイズ関連のサポート
  • メンテナンス関連のサポート
  • バックアップ関連のサポート

上記はシステム開発の品質と持続可能性を向上させるために重要なサポート例です。プロジェクトの特性や予算に応じて、必要なサポートサービスを選択し、適切なサポートレベルを確保することがおすすめです。

以上のことからシステム開発は開発面だけではなく、運用時のことも加味して費用を考えておく必要があるでしょう。余裕を持った資金繰りで、のちのトラブルに対応できるようにしておくことが重要です。

相見積もりなど!システム開発費用を抑える方法

システム開発費用を抑えるには、大きく分けて2つの方法が考えられます。

  • 必要な機能を絞り込む
  • 相見積もりを取る

必要な機能を絞り込む

システムを開発する際は、必要な機能を絞り込んでください。機能を絞り込むことで、開発費用を抑えられます。

開発するシステムの機能数を1個と100個で比べればわかりやすいでしょう。機能1つにつき平均10万円の費用がかかるとすれば、990万円もの差が出ます。極端な例ではありますが、機能を絞り込むことの重要性を理解できます。できるだけ開発費用を抑えたいと考えるのであれば、最初は必要な機能だけに絞り込んでおくと良いでしょう。

なお機能を絞り込む場合は、以下の方法を実施するのがおすすめです。

  • 現場のニーズを明確にする
  • 厳密に要件定義する

現場のニーズを確認することで、目標がハッキリと見えてきます。その結果、必要な機能がある程度見えてくるでしょう。

そして、設定した目標に対して要件・必要となる機能・目標値を厳密に定めましょう。さらに機能を絞り込めるはずです。具体的な目標値も設定することで、本当に必要な機能をベンダーから改めて提案してもらえるかもしれません。

ここまで実行すれば、プロジェクトを無難にスタートさせた場合に比べて、無駄な機能を搭載させてしまう確率を下げられます。その分、最終コストも抑えられることでしょう。

相見積もりを取る

複数のシステム開発会社から相見積もりを取る方法もおすすめです。複数の企業から見積もりを取ることで、システム開発の相場などを確認できるでしょう。

同じシステム開発でも、企業によって必要とする費用は異なることが多いです。平均すれば目安は出ますが、反対にすべての企業が同じ費用を提案するとは限りません。複数の見積もりの中から、最安値を提案したベンダーを選べば、システム開発の費用を抑えることは可能になるでしょう。

ただし注意すべき点として、安い費用を提案するベンダーが最適なベンダーであるとは限らないことが挙げられます。中には技術力が高くない代わりに、費用を安く抑えているケースもあります。費用だけでベンダーを選ぶと、結果的にシステムの作り直しが必要になって、返って費用が高くつくといったことも考えられるのです。

したがって費用だけで選ぶのではなく、今までの実績やサポート内容なども加味して選びましょう。最も安価なベンダーほど費用を抑えられなくても、総合的な評価では期待以上のベンダーと出会えるかもしれません。

システム開発を成功させるポイントを解説

システム開発を成功させるポイントは、以下の2つが重要です。

  • システム開発の目的を明確にする
  • 自社に合ったシステム開発手法を選択する

システム開発の目的を明確にする

まず初めに、システム開発の目的を明確にすることが重要です。目的が明確になることで、どのようなシステムが欲しいかを明確に伝えられます。

例えば以下2つの要望があったとします。

  1. システムを開発・導入して生産性を上げたい
  2. システムを開発・導入して請求書の発行を自動化したい

1の目的では、大きな目的こそハッキリしていますが、そのために何をすれば良いのかがはっきりとしません。一方、2の目的であれば、請求書の発行を自動化するために必要な機能を洗い出し開発すれば良いとわかります。

実際にどのような仕組みが必要になるのかを考えるのは、システム開発者です。発注者に必要とされる点は『何をどのように変えたいのか』といった点を、明確にすることだと言えるでしょう。

なお自分1人で目的を明確にすることができない場合は、経営陣・現場責任者・担当者と話し合い、しっかりと定めていきましょう。

自社に合ったシステム開発手法を選択する

自社に合ったシステム開発手法を選択することもポイントになります。システムの開発手法は複数あり、それぞれ特徴やメリットが異なるためです。

例えばシステム開発手法には以下のようなものがあります。

開発手法特徴

ウォーターフォールモデル

進捗管理をしやすい

アジャイルモデル

仕様変更や途中の修正に強い

ウォーターフォールモデルでは、各フェーズは線形かつ順々に進めていく開発手法のため、1つのフェーズが完了してから次のフェーズに移ります。フェーズ間でのオーバーラップは通常ありません。そのため進捗管理を行いやすい特徴があります。要件が明確で変更が少ないと予想されるプロジェクトに適しています。

対してアジャイルモデルは短い開発サイクルを通じて、小さなリリースを繰り返します。これにより、プロジェクトは柔軟に進行し、途中での変更が容易になります。顧客の要望を迅速に取り入れることができるため、要件が頻繁に変わり得るプロジェクトに適しています。

このように一言でシステム開発と言っても、特徴の異なる手法があります。どの手法を用いるかで、成功するか否かが決まるかもしれません。自社に最適なシステム開発を選択する、最適な提案をするベンダーを選ぶことは必須と言えます。

なお、ここに関してはより専門的な知識が必要となるため、発注先や自社責任者と綿密に話し合う必要があります。費用面はもちろんですが、スケジュール・実現度なども考慮し総合的に判断すべきでしょう。

補助金など!システム開発費用にてよくある質問

システム開発にてよくある質問に答えていきます。

  • 人月単価って何ですか?
  • システム開発に使える補助金・助成金を教えてください
  • システム開発の工程を教えてください

人月単価って何ですか?

1人が1か月働いた場合の単価を『人月※単価』と呼びます。

※人月とは、1人で実行した場合完了までに1か月はかかる作業量のことを指します。

例えば『Aさんの人月単価は500,000円』とし、Aさんが1か月勤務した場合、雇い主がAさんに対して支払う報酬は500,000円になります。要は各人の人件費です。

システム開発においては、プロジェクトの規模や複雑さ・従事する人員のスキルレベルによって人月単価は変動します。異なるプロジェクトやチームでの人月単価を比較する際は、注意が必要です。

システム開発に使える補助金・助成金を教えてください

システム開発に使える補助金・助成金は以下の通りです。

ものづくり補助金
ものづくり補助金中小企業等による新商品・サービス開発、プロセス改善のための設備投資等を支援
補助額(原則)100万~1,000万円
補助率中小1/2 小規模2/3

IT導入補助金
中小企業等によるバックオフィス効率化等のためのITツール導入を支援
補助額30万~450万円
補助率1/2

持続化補助金
小規模事業者等による販路開拓等を支援
補助額~50万円
補助率2/3

引用元:経済産業省|中小企業のデジタル化に向けて|13ページ目(2024年1月10日時点)

補助金を上手に使って、システム開発にかかる費用を抑えてみてはいかがでしょうか。情報を積極的に収集し、活用していきましょう。

システム開発の工程を教えてください

システム開発における工程は手法によって異なりますが、以下のような流れが代表的です。

  1.  要件定義
  2. 各種設計
  3. 開発
  4. テスト
  5. 運用

最初に要件定義でシステムに必要な機能などを定義します。最初に機能や仕様を定義しておくことで、システムを開発していく中で方向性がぶれることを抑えられます。

次に要件定義で定めた仕様を指標に、内部・外部設計を実施。システムが動くために必要なバックグランドでの処理や、データの構造を内部設計で定め、外部設計ではハードウェアやサーバーなど、発注者の目に触れる部分を設計します。

設計で定めた設計書をもとに、システム開発をします。いわゆるプログラミングなどを行うのが開発段階です。

プログラミングが完了すれば、不具合がないかをテストします。不具合をそのままにしてリリースすれば、発注者が欲しかったシステムにならないため、テストは徹底して行われます。

すべてのテストが終われば、リリース・運用になります。導入後も定期的なメンテナンスなどがあるため、システム開発会社とは長く付き合っていくことになるでしょう。

なおシステム開発工程の詳細は以下の記事をご参考ください。
システム開発の工程は?流れやウォーターフォールモデルなどの種類を解説

まとめ

システム開発に関する費用について解説してきました。 システム開発費用は公表されていないことが多く、正確な情報を知るには要件を定めて問い合わせることが必須と言えます。 

またシステム開発は要所を抑えることで費用を抑えられ得ます。機能を絞ったり、相見積もりを取ったりという方法は、スタンダードだからこそコストダウンに役立ってくれることでしょう。

しかしシステムを開発するには、準備すべきことがたくさんあります。自社の課題を洗い出す際、日頃の業務をこなしながらでは大変なこともあるでしょう。その際はぜひ当社にご相談ください。

残してきた実績

設立から48年。
大切なものにフォーカスしてきたからこその実績があります。
公共・民間ともに多数の実績を残してきました。

年間プロジェクト数

500PJ

年間取引先・顧客数

200

最長取引年数

47

延べ資格取得者数

1,870