システム開発の手法(種類)は主にオープン系・Web系・汎用系の3つ!特徴も解説

システム開発の手法(種類)は主にオープン系・Web系・汎用系の3つ!特徴も解説

目次

「システム開発にはどのような種類があるのだろう」
「自身が開発したいと考えているシステムは、どのような方法で実現できるのか」

システム開発を行う際、上記のようなお悩みに頭を抱えることもあるでしょう。 システム開発の種類は大きく分けると、オープン系・Web系・汎用系の3つがあります。それぞれの特徴・メリットをしっかり理解したうえで、選択をすることが成功の秘訣と言えるでしょう。

そこでこの記事では、各システム開発の特徴・主に使われるプログラミング言語・メリット・具体例を解説いたします。「システム開発を進めたいけれど、そもそもどんな種類があるのか良くわからない……」とお悩みの方は、ぜひご参考ください。

システム開発の種類その1|オープン系

まず、オープン系のシステム開発について解説いたします。

  • オープン系システムとは
  • オープン系システムに使われる言語
  • オープン系システムのメリット
  • オープン系システムの具体例

オープン系システムとは

オープン系システムとは、異なるハードウェアやオペレーティングシステム間での連携と統合に重点を置いたシステムです。言い換えると、異なるメーカーの製品でも互いにうまく協力し、問題なく動くように設計されたシステムです。スマホアプリ(システム)は基本的にどのメーカーのスマホ(製品)でも動きます、これと同様のイメージです。

このことから、オープン系システムの最たる特徴としてベンダーロックイン※を回避しやすいことが挙げられます。

※ベンダーロックインとは、特定のベンダーに依存することで他ベンダーへの移行が難しくなる状態のこと。

オープン系システムは、拡張性や柔軟性が高いシステムです。システムを構築する際における技術などの選択肢が増えるため、より自社の目的に沿ったシステムを開発しやすくなります。

オープン系システムに使われる言語

オープン系システムで使われる言語は非常に幅広いです。利用できる言語が多いことも、オープン系が利用されやすい理由の1つと言えるでしょう。主な言語は以下の通りです。

使用言語の一例特徴

C++

オープン系における汎用的開発で使われることが多い

C#

マイクロソフト・Windows製品との相性が良い

Ruby

アプリケーションの開発・データ分析などに使用される

※開発目的や状況により使用言語は変わります。また上記言語は、他のシステム開発に使われることもあります。

C++は、基本となるC言語の機能を拡張した言語であり、非常に多機能な言語となっています。C++で実装できる範囲が広いことから、オープン系システムの汎用的開発で利用されることが多いと言えるでしょう。

C#はマイクロソフトが開発した、汎用のマルチパラダイムプログラミング言語です。C++やJavaに似た構文を持ち、C++に比べて扱いやすく、プログラムの記述量も少なくて済むのがこの言語の特徴です。

Rubyはオブジェクト指向型※のプログラミング言語です。

※オブジェクト指向型とは、個々の要素間の相互作用を明確にして、それらの組み合わせによって全体のシステムを構築しようとするアプローチのことです。

Rubyは非常に簡潔で直感的であり、構文の可読性と書きやすさに重点を置いています。これにより、プログラミング初心者にも理解しやすく、効率的にコードを書けます。Webアプリケーション・Webサービス・スマートフォンアプリ・ゲームなど、さまざまな分野で使用されています。

オープン系システムのメリット

オープン系システムのメリットは以下のとおりです。

  • 開発と運用のコストを抑えやすい
  • システムの拡張やアップグレードをしやすい

オープン系システムはオープンソースソフトウェアを利用するため、システム開発・構築・運用管理のコストを抑制できます。そもそもオープンソースソフトウェアは誰でも自由に利用できるソフトウェアであり、基本的にライセンス料やサポート費用がかかりません。一定レベルの知識・経験を必要としますが、開発・運用面でのコストを大幅に抑えられるでしょう。

またオープン系システムの設計は、さまざまなハードウェアとソフトウェア、ネットワークとの互換性を保つことを主な目的の1つとしています。先述した、異なるシステム間での相互運用性の高さはもちろん、システムの拡張やアップグレードしやすさが長所と言えるでしょう。標準化されたインターフェースを使うことで、システムの拡張やアップグレードがしやすくなります。新しい技術やコンポーネントを既存システムに組み込む際でも、基本的に大きな変更を必要としません。将来的な技術変更にも柔軟に対応できるのは大きなメリットです。目的によっては、比較的安心して長期運用できることでしょう。

オープン系システムの具体例

オープン系システムでは業務系システムが多く開発されます。

  • 会計管理システム
  • 受発注管理システム
  • 顧客管理システム
  • 生産管理システム
  • 社内SNS
  • グループウェア

代表的なものは、上記のような基幹システムになるでしょう。企業特有の業務プロセスがあったとしても、自社内の事情に合わせて開発できるため、使い勝手の良いシステムに改変できるでしょう。

またオープンソースをうまく組み合わせれば、社内のコミュニケーションに関するツールの開発も可能です。社内だけのコミュニケーションツールであれば、うっかり社内事情を外部に流してしまうリスクを低減できます。活発なコミュニケーションと同時に、セキュリティの向上も期待できるとなれば有用だと考えられます。

以上のことからオープン系システムは、企業内の業務管理システムの開発に用いるのが良いでしょう。

システム開発の種類その2|Web系

次はWeb系システム開発について解説いたします。

  • Web系システムとは
  • Web系システムに使われる言語
  • Web系システムのメリット
  • Web系システムの具体例

Web系システムとは

Web系システムとは名前の通り、インターネット上で動作し、Webブラウザを介してアクセスされるアプリケーションやサービスのことを指します。Webサイト・Webアプリケーション・スマホアプリなど、インターネットを通じて利用されるシステムはすべてWeb系システムに該当します。

デバイスとインターネット環境さえあれば、場所や時間を問わず利用できる点が大きな特徴と言えるでしょう。簡単な例を挙げれば、ECサイトや旅行の予約システムなどがあります。国内はもちろん、海外からも利用しやすいシステム形態と言えるでしょう。

Web系システムに使われる言語

Web系システムで使われる言語には、以下があります。

使用言語の一例特徴

Java

Web開発のほかにアプリ開発時に多用される言語

JavaScript

ブラウザ上のサイトに動的な装飾を付けられる言語

PHP

ブラウザ上を動的に装飾するサーバーサイドの言語

※開発目的や状況により使用言語は変わります。また上記言語は、他のシステム開発に使われることもあります。

Javaは、世界中で使われているプログラミング言語の1つです。Javaはマルチスレッドプログラミングをサポートしており、複数のスレッドを同時に実行することで、効率的なプログラムの動作が可能です。

JavaScriptとは、Webページを動的でインタラクティブにするために広く使われているプログラミング言語を指します。Webサイトの基本的な機能・アニメーション・フォームの入力チェック・ゲームなど、さまざまな用途に使われています。

またPHPも、WebアプリケーションやWebサイトの開発に広く使用されているプログラミング言語です。PHPはその使いやすさとWeb開発への適合性により、多くのウェブサイトやアプリケーションのバックエンド開発で広く使われています。

Web系システムのメリット

Web系システムのメリットは以下のとおりです。

  • マルチデバイスに対応している
  • アップデートとメンテナンスを一元化できる

Web系システムが運用されるのはサーバー上です。それぞれのデバイスやプラットフォームに合わせてシステムを構築する必要がありません。したがってマルチデバイスに対応できます。ブラウザをインストールできて、ネットに接続すれば、基本的にどのデバイスでも利用できます。

またWeb系システムがサーバー上で運用されているメリットに、アップデートとメンテナンスを一元管理できることも挙げられます。システムの仕様変更や不具合が起きた場合も、サーバー上で不具合箇所を確認し、ソースコードを修正するだけで済むのです。

そもそもシステム開発は開発完了をもって終わりではありません。継続的なメンテナンスやアップデートが必要になるため、一元管理できるWEB系システムは開発後の運用において利便性が高いと言えるでしょう。

Web系システムの具体例

Web系システムの具体例は以下の通りです。

  • 飲食店・サロンなどの予約サービス
  • サロン・ショッピングサイトなどの決済サービス
  • ネットバンキング
  • マッチングサービス
  • ブログサービス
  • ECサイト
  • SaaSなどクラウドサービス

上記は一例です。人々が日常的に利用するWeb系システムは多種多様でほかにもたくさんあります。実際にシステム開発時に「この機能もWeb系だったのか……!」と驚くこともあるかもしれません。

なおWeb系システムは、基本的に不特定多数のユーザーが対象ですが、業務系システムでも利用されています。代表的なものがクラウドサービスを使った、ユーザーライセンス式の基幹システムなどが挙げられます。

以上のことからWeb系システムは、インターネット上で商品やサービスを販売するプラットフォームなどの開発に用いると良いでしょう。

システム開発の種類その3|汎用系

最後に汎用系システムについて解説いたします。

  • 汎用系システムの特徴
  • 汎用系システムに使われる言語
  • 汎用系システムのメリット
  • 汎用系システムの具体例

汎用系システムの特徴

汎用系システムとは汎用機※に組み込むシステムのことです。

※汎用機とは、さまざまなタイプの計算処理やアプリケーションの実行が可能なコンピュータシステムのことです。メインフレームとも呼ばれます。

基本的に特定の業務や用途に特化するのではなく、幅広い用途に適用可能なシステムになっています。具体例に、ビジネスデータの処理・複雑な演算・データベース管理などが挙げられるでしょう。汎用系システムはさまざまなオペレーティングシステムやアプリケーションをサポートし、業種や業務内容を問わず幅広い用途に対応できます。

そんな汎用系システムの最たる特徴として、大規模なデータを高速処理できる点が挙げられます。膨大なデータを高速で処理することに特化して設計された汎用機を使用し、かつ事務処理に特化したプログラミング言語であるCOBOLを採用することが多いためです。COBOLの詳細は後述します。

汎用系システムに使われる言語

汎用系システムでは以下の言語が使われています。

使用言語の一例特徴

COBOL

既存汎用システムで多用され、事務処理に特化した言語

FORTRAN

世界最初の高水準言語※と呼ばれる数値計算用の言語

Python

人が書いたプログラムを、コンピューターが理解できる言語に自動で翻訳して実行する言語

※人にとって理解しやすいコンピューター言語・構文のこと

※開発目的や状況により使用言語は変わります。また上記言語は、他のシステム開発に使われることもあります。

COBOLとは事務処理用に設計されたプログラミング言語のことです。大量のデータを処理するだけではなく、金額計算など事務処理に特化しています。小数点の処理も得意としているため、ほかのプログラミング言語では対応が難しいシステム開発で大いに活躍してくれるでしょう。

FORTRANは科学技術計算に特化したプログラミング言語です。言語内に組み込み関数・複素数など、数値計算に便利に使える機能があらかじめ組み込まれています。特に数学や工学分野で利用されることが多いでしょう。

Pythonは高水準な汎用プログラミング言語です。簡潔で読みやすい構文・標準ライブラリ・幅広い応用範囲により、多くの場面で使われています。Web開発・データサイエンス・人工知能・科学計算・自動化スクリプトなど、幅広い用途に使われます。

汎用系システムのメリット

汎用系システムのメリットは以下の通りです。

  • 多目的性が高い
  • 安定性が高い

汎用系システムは、1つのシステムのみで複数の機能や業務をカバーできるように設定されています。それぞれの分野に適したソフトウェアを用いれば、多岐にわたる業務プロセスへも対応できると考えられるでしょう。1つのシステムで複数の業務をカバーできることもあり、システムの導入やメンテナンスに関わるコストも抑えることも期待できます。

また汎用系システムは、安定性が高い傾向にあります。具体例は後述しますが、そもそも汎用系システムは24時間365日、安定した稼働が求められる業務に使われることが大半です。重要なコンポーネントは2つ以上搭載し、仮に片方が故障したとしても、もう片方でシステムを継続できるように設計されていることが多いです。その他にもシステムによっては、問題を自動的に診断し修復する機能を備えていることもあります。これらにより汎用系システムは、他のシステムに比べて安定性が高い傾向にあります。

汎用系システムの具体例

汎用系システムは、基本的に機密度や重要度が高く、膨大なデータを迅速に処理すべき場面で使われます。具体例は以下が挙げられるでしょう。

  • 銀行の勘定系システム
  • 行政の社会保障給付システム
  • 官公庁におけるその他基幹システム
  • 鉄道の運行管理システム
  • 航空機の予約システム

銀行の勘定系システムとは、主に会計勘定系の処理を行うシステムです。身近な例を挙げると、ATMで預金を引き出す際に預貯金の流れを処理・記録するシステムなどを指します。

行政の社会保障給付システムは、オフライン・オンライン申請サービスなどに用いられます。給付が正しくなされたかの記録などがメインと考えられるでしょう。

また官公庁における基幹システムとは、地方自治体などで管理される戸籍・福祉関係などの情報を扱うシステムです。公共サービスの提供・行政管理・市民とのコミュニケーションをサポートする重要な役割を果たしています。

鉄道の運行管理システムは、鉄道の事業内容で最も重要な運行を管理するシステムです。計画ダイヤに基づいて列車の集中制御を行っているとされます。

航空機の予約システムも、汎用系で運用されています。いつの便に何人が予約をしたのか、というデータだけではなく、座席の割り当てなども含まれるためデータ量も膨大になると言えます。

以上のことから汎用系システムは、大規模な計算能力やデータ処理能力を要求されるシステムの開発に利用するのが良いでしょう。

システム開発の手法にてよくある質問

システム開発の手法にて、よくある質問への回答をご紹介いたします。

  • 制御系・組み込み系・モバイル系システムとは何ですか?
  • そもそもシステム開発とは何ですか?

制御系・組み込み系・モバイル系システムとは何ですか?

制御系・組み込み系・モバイル系システムの特徴は以下の通りです。

開発名特徴

制御系

機器を正確に制御する

組み込み系

機器に機能を付与する

モバイル系

モバイル上で動作する

制御系とは文字通り、機器に搭載されている機能を適切に動作させるための制御を行うシステムのことを指します。電気製品がそれぞれ持っている機能を目的に合わせ、動作させるためにこの制御系システムが利用されています。

組み込み系とは、身近な例を挙げれば、洗濯機や炊飯器・電子レンジ・自動運転システムが搭載された車などの独立した機器の内部に組み込まれているシステムのことを指します。製品機能として必要となる動作を実行させるために、機器内部に組み込まれています。

モバイル系はスマートフォンや携帯電話のブラウザで動作するシステムを指します。ビジネス・エンターテインメント・教育・健康管理など、多岐にわたるジャンルのアプリケーション開発に用いられています。

そもそもシステム開発とは何ですか?

システム開発とは、特定のビジネス要件やユーザーのニーズを満たすために、ソフトウェアやハードウェアを設計・実装・テスト・配備することを指します。簡単に言えば、新たな付加価値を備えた情報システムを作ることと同義です。新しくシステムを作ることによって、個人や組織が抱える課題や問題を解決します。

システム開発の具体例として、先述した会計管理システム・生産管理システムなどが挙げられるでしょう。これらを人の手で処理すると、入力間違いや見落としなどミスが生じやすくなります。また入力そのものはコア業務とは言えません。本来の業務以外に時間を取られると、間接的に生産性の低下にもつながることでしょう。

このような課題を解決するために、システムを開発します。会計管理システム・生産管理システムの例では、システム開発で以下のような効果が期待されます。

  • 請求書の内容を会計システムで自動入力できる
  • 生産物の数値を自動更新・管理できる

自動化や効率化を実現することで、企業課題を解決しやすくなることでしょう。

なおシステム開発の工程の詳細は以下の記事をご参考ください。
システム開発の工程は?流れやウォーターフォールモデルなどの種類を解説

まとめ

ここまでシステム開発の種類について解説しました。システム開発の種類は、開発の目的によって選ぶべき手法が変わります。 適切な開発方法を選ぶことで、理想のシステムに一歩近づけるでしょう。もし自社に最適な開発方法がわからない場合は、必要なプログラミング言語・メリット・具体例を確認し、総合的に判断してください。

しかし、それでも自社に最適な方法を選べないことがあるかもしれません。正しい選択をするには、より多くの知識と経験が必要になるためです。仮に判断できても「自社で実行するのは難しい」ことが明らかになるかもしれません。その際は、ぜひ当社にご相談ください。

残してきた実績

設立から48年。
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