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IoT技術はインフラにも活用されている!メリットやスマートシティも解説

IoT技術はインフラにも活用されている!メリットやスマートシティも解説

目次

「社会インフラへのIoTの導入を検討しているけれど、具体的にどう活用するのかイメージできない」
「IoTをインフラに活用するメリットを知りたい」

IoTの導入を検討している方の中には、上記のような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。IoTはあらゆるモノをインターネットにつなぐ技術であり、さまざまな場面で活用されているものです。インフラにおいても活用が広がっており、駅や空港など身近なインフラにもIoTは用いられています。

IoTの活用により、インフラ設備の状態を人が直接目視確認する必要がなくなったり、リアルタイムで状況を把握したりすることが可能です。これにより、従来維持管理にかかっていた手間や負担を大幅に軽減することにつながっています。トラブルの防止や万が一発生した際にも迅速に対応できるため、インフラのトラブルによる影響を抑えることもできるでしょう。

本記事ではIoTが導入されているインフラの事例・IoTを用いるメリット・インフラ基盤を確立させるために必要な要素を解説いたします。IoTのインフラに関するよくある質問も解説するため、IoTについて悩んでいる方はぜひご参考ください。


 IoT技術が導入されているインフラを解説

IoT技術は以下のインフラでも活用されています。

  • インフラへのIoT導入事例その1|駅(鉄道)
  • インフラへのIoT導入事例その2|空港(航空)
  • インフラへのIoT導入事例その3|電力
  • インフラへのIoT導入事例その4|水道


インフラへのIoT導入事例その1|駅(鉄道)

駅(鉄道)にIoT技術を導入した事例があります。

鉄道・航空
例)運転間隔の調整

引用元:特許庁|IoT関連技術等に関する事例の充実化について|5ページ目(2024年2月21日時点)

IoTセンサーからのリアルタイムデータを活用して、列車の位置や速度を正確に把握し、運転間隔を最適化します。これにより、安全性を保ちつつ、運行効率を向上させることができます。列車間の安全距離を常に監視し、必要に応じて自動的に速度調整を行うことで、列車間の衝突を防げるでしょう。


インフラへのIoT導入事例その2|空港(航空)

先述したように、運転間隔の調整は空港(航空)にも取り入れられています。高度なセンサー技術を利用して、航空機同士の安全距離を維持し、衝突のリスクを最小限に抑えられるでしょう。

また上記の事例とは少し話が変わりますが、IoT技術を活用することで、荷物の追跡も可能です。IoTタグを利用して、乗客の荷物をリアルタイムで追跡し、紛失や遅延を大幅に減少させられるでしょう。


インフラへのIoT導入事例その3|電力

電力分野では発電所の効率的な運転や保安技術の向上のためにIoTの活用が注目されています。実証事業ではありますが、この分野における主な成果として、以下のものがあります。

1.熱効率向上① 
噴射する空気/燃料比をNOx値、CO値などの制約下でリアルタイム最適制御

2.熱効率向上② 
ボイラー燃焼とストーブロー動作(煤やダストの除去)の最適制御による熱効率の向上

3.ボイラー燃焼最適制御
外的変化もふまえたNox値SOx値の最小化運転パラメータのリアルタイムで特定し、常時最適な運転を達成。

4.脱硝効率の向上
噴射するNH3量を、燃料の性質やリアルタイムの発電状況を踏まえて、最適化。

5.補機の最適制御による電力使用量の削減
炭の性状や運転モードに合わせたミルの最適制御等による補機の電力消費量の削減を実現

引用元:資源エネルギー庁|電力分野におけるデジタル化について|8ページ目(2024年1月22日時点)

この取り組みでは電力会社・メーカー・IT企業が協力し、火力発電の運転データやノウハウに関するデータを収集しました。収集したデータをもとに最適な運用や制御を確立し、効率的な電力発電を実現しています。また、ボイラーの状況をリアルタイムで把握することにより、常に最適な運転を達成しているのです。

そもそも火力発電では、光化学スモッグの原因となる大気汚染物質を排煙から取り除く必要があります。発電に使用した燃料や実際の発電状況を踏まえ、大気汚染物質に含まれるNH3量を計測。計測したデータをもとに最適に運転することで、脱硝効率の向上にもつながっているのです。


インフラへのIoT導入事例その4|水道

水道事業では、IoTを活用したスマートメーターの導入による検針の効率化や水道使用量の可視化を目指す事例があります。概要は以下の通りです。

豊橋市上下水道局では、市内全域の水道メーター検針の自動化に向けた先行取組として、工場跡地の宅地開発エリアにおいて、全戸にスマート水道メーターを設置(約410個予定)。

電力・ガスの事業者と連携し、水道・電気・ガスの共同検針を導入することにより、検針業務の効率化を実現。

取得したデータは、使用者に対しWebによる使用水量や水道料金等の見える化サービスを提供するとともに、漏水の早期発見など、上下水道局が利活用。

将来的に検針・料金徴収等の類似業務における連携・統合等業界を超えた新たな業務モデルの構築につなげることを視野。

引用元:厚生労働省|愛知県豊橋市水道事業(2024年1月22日時点)

この事業で活用しているのが、IoTを用いたスマート水道メーターです。従来、水道メーターは人が目視確認を行っていました。スマート水道メーターは遠隔での検針値のデータが取得できるメーターであり、人が直接検針する手間が省けます。指定した時間や使用量にあわせてデータ送信ができるものもあり、水道使用量のデータの蓄積も可能です。

また、電力・ガス事業者と連携した共同検針の導入による効率化にもつなげています。3社がシステムを共有することで、経費削減や電力・ガス・水道の既存インフラに関するデータの活用もできます。

この事例では、水道使用量を利用者がパソコンやスマートフォンで確認できるようにしている点も特徴です。どのくらい使用しているかを随時確認できるようにすることで、水道使用量や料金の可視化ができます。水道使用量が通常よりも多い場合にも気づきやすく、漏水などのトラブルの早期発見にもつながるでしょう。


保全管理に有効!インフラ設備にIoTを用いるメリット

インフラ設備にIoTを用いるメリットは以下の4つです。

  • インフラ設備の状態監視をしやすくなる
  • 遠隔操作で機器を制御できる
  • 管理業務の効率化を実現できる
  • 効率的なデータ分析ができる


インフラ設備の状態監視をしやすくなる

IoTを活用すれば、インフラ設備の状態監視をしやすくなります。IoTでは機器に搭載したセンサーによってモノの状態をリアルタイムでの把握が可能です。

 インフラ設備は長く利用していると老朽化により破損するおそれがあります。破損の兆候を捉えて対処するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。しかし、設備を点検するには専門の作業者が現地に赴く必要があります。

例えば、橋の点検であれば作業者が直接橋へ赴き、ひび割れや路面の凹凸、ボトルの脱落などを目視で点検します。こうした目視確認の場合、状態を正確に把握するのは専門知識や技術が必要でした。また、場所によっては人が容易に近づけず、点検が難しいこともあります。

IoTを導入すれば、インフラ設備の状態をセンサーによって数値や画像などのデータで取得できます。これにより、作業者の専門知識や技術に頼ることなくインフラ設備の状態の把握が可能です。また、リアルタイムでの状態監視ができるため、異常があればすぐにメンテナンスが行えます。


遠隔操作で機器を制御できる

遠隔操作で機器を制御できる点も、インフラ設備にIoTを用いるメリットの1つです。IoTではモノ同士を、インターネットを介して通信することにより機器の動作制御ができます。

従来の機器は人が直接操作して作動させていました。インフラ設備も同様であり、正常に作動しているかを現場で確認することが欠かせません。しかし、作動状況の確認には時間も手間もかかり、緊急時には夜間や休日にも対応する必要があります。

IoTを導入すれば、モノの状態をリアルタイムで把握し、異常があればすぐに検知できます。インターネットを介した通信により、検知したデータを他のIoT機器に送信して機器の制御も可能です。これにより人がその場にいなくても迅速に異常へ対応できます。

例えば、豪雨時に河川の水位計からリアルタイムで水位データを取得し、氾濫危険水位に達したら自動で警報の発報が可能です。橋に設置した計測機のデータから、破損の危険性を察知し知らせることもできるでしょう。また、人が近づけなかった場所を、ロボットに搭載したカメラを操作して点検することもできます。

人が直接その場で介入しなくても遠隔で機器を制御できることで、機器の制御にかかっていた負担を軽減でき、効率的に管理できるようになります。


管理業務の効率化を実現できる

IoTを導入すれば、管理業務の効率化を実現できます。従来は人に頼っていた部分をIoT機器により自動化でき、効率的な管理が可能になります。

従来、インフラ設備を管理するには作業者が目視で点検する方法が行われてきました。しかし、先述した通り目視点検は手間や負担が大きいものです。また、作業者の経験や技術に頼る部分も多く、担当者によって精度にばらつきがあります。人が行う作業のため、どれだけ注意していてもミスや見落としが発生するリスクも否定できません。

IoTによって管理を行えば、収集した客観的なデータをもとに管理できます。人に頼っていたものを、データをもとに自動化できるため効率的な管理の実現につながるでしょう。

また、人によって判断が異なっていたような場面でも、統一された基準をもとに判断が可能です。これにより管理業務が標準化され、個人の経験や技術に頼らない管理ができるようになります。


効率的なデータ分析ができる

効率的なデータ分析ができる点も、IoTを導入するメリットの1つです。クラウドやサーバー上にデータが蓄積されるため、現状や課題をまとめて可視化できます。

インフラ設備の状態を正しく把握するには、使用状況や気象による影響などさまざまなデータを分析しなければなりません。しかし、これらのデータの継続的な計測は、人が行うと膨大な手間や時間が必要です。そのための人材確保も必要になり、コストもかかってしまうでしょう。

IoTを導入すれば、リアルタイムでの計測データを継続的に取得できます。これによりインフラ設備の状態を正確に把握でき、効率的にデータ分析が可能です。

また、データ処理に関するアプリケーションと連携させれば、データ処理や分析の自動化もできます。人が分析する際に発生しやすいミスを防ぐことにもつながり、効率的で正確なデータ分析ができるようになるでしょう。これにより、インフラ設備をより適切に維持管理できるようになります。


社会インフラに貢献!IoTに必要な要素

IoTでインフラ基盤を確立させるために必要な要素は主に以下の3つです。

  • 安定性
  • 持続性
  • セキュリティの堅牢性


安定性

インフラ基盤を確立させるために必要な要素の1つは安定性です。IoTが安定して稼働していない場合、正確なデータが収集できません。

センサーの反応が弱かったり電力共有が途絶えた際に作動しなくなったりすると、データの送受信が停止してしまいます。これによりインフラ設備の状態を正確に把握できなくなってしまうでしょう。

また、インターネットの接続状況が不安定になり、遠隔操作で出した指示が機器に伝わらないおそれがあります。トラブル発生時にインターネットへの接続が安定していないと、IoT機器での対応ができず人が直接現場に赴く必要性がでてしまいます。IoTを導入してもいざというときに活用できないおそれがあるのです。

そのため、インフラ基盤を確立させるためには安定性を重視する必要があります。さまざまな状況を考慮し、いつでも安定して利用できるものを選択することが大切です。導入前には具体的に利用する場面を想定し、その状況下で安定して利用できるかどうかを確認しましょう。


持続性

持続性もIoTでインフラ基盤を確立させるために必要な要素です。長く使用されるインフラを支えるために、IoTもコスト効率や環境への影響などを踏まえたうえで長く活用できるものである必要があります。

環境への影響を考え、環境に優しい材料の使用やリサイクル可能なデザインが望まれます。製造から廃棄までライフサイクル全体での環境への影響を考慮することも重要です。

さらに、システムの使いやすさも持続性に関係します。高度な知識や技術が必要なシステムの場合、担当者の交代も容易ではなくなります。システム運用の属人化が進んでしまうおそれもあるでしょう。属人化を防ぐには、IoTが誰にも使いやすく標準化されている必要があります。

インフラ設備そのものの経年劣化や取り巻く環境の変化にも対応できる、持続性のあるIoTを導入すれば、新設から撤去までの維持管理がより容易になるでしょう。


セキュリティの堅牢性

セキュリティの堅牢性もIoTでインフラ基盤を確立させるために必要な要素です。インターネットに接続すればサイバー攻撃のリスクが高まるため、セキュリティ対策が欠かせません。

IoTはインターネットに接続することにより、外部からサイバー攻撃を受けたり情報漏洩したりするリスクが高まります。外部からの乗っ取りによって不正な遠隔操作が行われてしまう可能性も否定できません。


スマートシティなどIoTのインフラにてよくある質問

IoTのインフラに関するよくある以下の2つの質問を解説します。

  • スマートシティとは何ですか?
  • 社会インフラの高度化のために政府はどのようなことをしていますか?


スマートシティとは何ですか?

スマートシティとはデジタル技術を活用し、新たな価値の創造や社会課題の解決を図ることを目指す都市や地域のことを指します。スマートシティでは、生活のさまざまな場面でインターネットに接続したICTを活用し、社会問題の解決や最適な都市運営を行うことを目指しています。そのために必要なのが、環境や住民の行動データなどさまざまなデータの収集・分析です。

インターネットに接続できるセンサーやカメラなどを都市内に導入してデータを集め、都市の状況や住民のニーズを分析します。スマートシティでは、分析した内容をもとにした最適な都市運営を実現するための取り組みが行われています。


社会インフラの高度化のために政府はどのようなことをしていますか?

社会インフラの高度化のために、政府は以下のような取り組みを行っています。

港湾関連データ連携基盤(港湾物流分野)の構築
「港湾関連データ連携基盤」を構築し、貿易手続など全ての港湾情報を電子的に取り扱うことを標準とする環境を実現
「CONPAS(新・港湾情報システム)」をはじめとする各種施策を一体的に推進することで、「ヒトを支援するAIターミナル」を実現し、世界最高水準の生産性と良好な労働環境を創出
これらにより、港湾に関する様々な情報が有機的に連携した「サイバーポート」を実現

引用元:国土交通省|インフラ分野のDXに向けた取組紹介|24ページ目(2024年1月22日時点)

この事例はサイバーポートの構築です。サイバーポートとは、港湾運営における行政手続きや調査統計作業をデジタル化し、効率を高める取り組みのことです。業務プロセスを全面的にデジタル化することで、関係者の作業負荷を軽減し、業務をより効率的に行うことを目指しています。

この事例においては、IoTを活用することにより、予約制度の導入および搬出入票情報の自動照合を実現しました。その結果、ゲート処理を迅速化できたとのことです。IoTは自治体や一般企業だけではなく、国にも重宝されていることがわかります。今後IoTの活躍の場は、官民を問わずさらに広がるかもしれません。


まとめ

人々の生活を支えているインフラにおいても、IoTはさまざまな場面で活用されています。従来は人によって維持管理されていたインフラにIoTを取り入れることで、管理業務の手間を省き、利用者の利便性向上にもつなげられます。作業担当者の知識や経験に頼っていたインフラの管理も、客観的なデータをもとにした管理ができるでしょう。

そしてインフラでIoTを活用する場合は安定性・持続性・セキュリティの堅牢性という3つの要素が欠かせません。整備後は何十年と利用するインフラを、安心・安全に維持管理するために必要な要素を備えているIoTを導入することが大切です。

IoTのことでお悩みの場合は、ぜひ当社へご相談ください。


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