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IoTゲートウェイとは通信中継機器のこと!仕組み・産業への導入事例を解説

IoTゲートウェイとは通信中継機器のこと!仕組み・産業への導入事例を解説

目次

「IoTゲートウェイがどのようなものかわからない」
「IoTゲートウェイを選ぶポイントを知りたい」 

IoTの導入を検討している場合、上記のような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。 まずIoTゲートウェイとは、データの送受信や機器の動作制御などの役割を担う装置のことです。センサーが取得したデータを、インターネット上で通信できる状態に変換します。これにより、サーバー・クラウドとの通信ができるようになります。そのため、IoTゲートウェイを選ぶ際は、処理速度や対応している通信規格の多さなどに注意します。

本記事ではIoTゲートウェイの役割・仕組み・製品を選ぶ際のポイント・導入事例・IoTゲートウェイに関するよくある質問について解説いたします。ぜひご参考ください。


IoTゲートウェイとは?役割や仕組みを解説

IoTゲートウェイとはどのようなものか、以下の3項目で解説します。

  • IoTゲートウェイ(Gateway)とは?
  • IoTゲートウェイ(Gateway)の仕組み
  • そもそもIoTとは?


IoTゲートウェイ(Gateway)とは?

IoTゲートウェイ(Gateway)とは、IoT機器のデータの送受信を中継する装置のことです。IoT機器と、IoT機器が取得したデータを蓄積するサーバーやクラウドをつなぐ役割を担っています。

それだけでなく、IoTゲートウェイには以下3つの役割もあります。

  • データ変換
  • データ処理
  • セキュリティの確保

データ変換では、センサーが取得したさまざまなデータをインターネット上で通信できる通信プロトコルへ変換します。変換したデータをサーバーやクラウドへ送信することで、システム管理者はデータを確認できるようになります。

データの分析や、分析内容をもとにした機器の作動制御もIoTゲートウェイの役割です。IoTゲートウェイがデータ処理を行うことで、よりスムーズな通信や作動が実現できます。

また、IoTはインターネットを利用する以上、サイバー攻撃などのリスクを考慮しなければなりません。そのため、データの暗号化や認証プロセスの実行など、安全な状態で通信できるようセキュリティを確保する役割も担います。

このように、IoTゲートウェイはさまざまな役割を担う装置です。データの送受信や機器の動作制御、セキュリティに大きく関係しているため、IoT導入時にはIoTゲートウェイの性能にも注意が必要です。

余談になりますが、ゲートウェイは『玄関・出入口』などの意味を持つ言葉です。そのためIoTゲートウェイは、『IoTシステムにおけるデータの出入口』という意味を持つ名称になっています。


IoTゲートウェイ(Gateway)の仕組み

IoTゲートウェイの仕組みは、基本的に以下のようになっています。

流れ具体例
IoTデバイスからデータを授受モーションセンサーなどで蓄積されたデータを受け取る
プロトコルを変換データを標準プロトコル化もしくはクラウド向けなどのデータ形式に変換する
データを前処理※データのフィルタリング・分析・圧縮などを実行する
セキュリティ面を処理データの暗号化や認証プロセスを実行する
サーバーもしくはクラウドに送信変換および処理したデータを送信する

※基本的にエッジゲートウェイ(エッジコンピューティングを搭載したIoTゲートウェイ)のみ実施します。従来のIoTゲートウェイは、主にデータの受け取り・プロトコル変換・転送を担うことが多いです。エッジゲートウェイの詳細は後述参照。


IoTゲートウェイがまず行うのが、センサーが取得したデータの集約です。次に、集約したデータをインターネット上で通信できるように通信プロトコルの変換して、機器とサーバー・クラウドの相互通信を可能にしています。IoTゲートウェイでデータを処理して、処理後のデータをサーバーやクラウドに送信する場合もあります。

通信時には、データの暗号化や認証プロセスの実行などのセキュリティ面を処理します。外部から情報を抜き取られたり不正に書き換えられたりするなどのサイバー攻撃を防ぐためには欠かせないプロセスです。

セキュリティ面も処理された状態で、サーバー・クラウドにデータを送信します。このように、機器とサーバー・クラウドの間にIoTゲートウェイが入って中継することにより、滞りなくデータを送受信します。


そもそもIoTとは?

IoTとは、モノとインターネットをつなぐ仕組みのことです。さまざまなモノをインターネットにつなげ、遠隔で操作や監視などができるようになります。

以前は、インターネットにつなげられるのはパソコンやスマホなどコンピューターのみでした。ITが進歩し、機器が小さくなったことでさまざまなモノへ通信機器を組み込めるようになり、それに伴って身近な製品がインターネットにつなげられるようになってきました。

例えば、自動で温度調整するエアコンや遠隔で操作できる掃除機など、生活家電製品にもIoTが実用化されています。公共交通機関では、IoTを活用し、路線バスの現在地情報をリアルタイムで知らせてくれるサービスなども見られるようになってきました。このように、IoTは生活のさまざまな場面の利便性向上に活用されています。

また、ビジネスでも以下のようなさまざまな分野で活用されています。

  • 製造業
  • 物流
  • 医療
  • 農業
  • 飲食

IoTの活用により、従来は人が行っていた業務の自動化や効率化が可能です。IoTを有効活用すれば、生産性の向上も期待できるでしょう。

IoTの詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTとはモノのインターネットのこと!仕組み・実現できること・導入事例を解説


IoTゲートウェイ製品を選ぶポイントを解説

IoTゲートウェイ製品を選ぶポイントは以下の4つです。

  • 処理速度の速さ
  • 対応通信規格の多さ
  • 接続インターフェース数の多さ
  • トラブル発生時の柔軟性


処理速度の速さ

IoTゲートウェイ製品を選ぶ際には、処理速度の速さを確認しましょう。処理速度によってシステム全体の作動時間が変化します。

処理速度が遅い場合、集約したデータのプロトコル変換や中継に時間がかかります。例えば、センサーがデータを取得してからサーバーやクラウドへ送信するまでにタイムラグが生じるかもしれません。サーバーやクラウドから指示を出す際にも、処理に時間がかかり、作動するまでに時間がかかります。こうなると、意図したタイミング通りに作動できないでしょう。

IoT機器は、データ収集や遠隔での指示出しがリアルタイムでできるシステムです。しかし、処理速度が遅ければリアルタイム性が損なわれかねません。

逆に処理速度が速ければ、スムーズなデータ処理が可能です。データの送受信をスムーズに行えるようになり、IoT機器の指示出しから作動までにかかる時間も短縮できます。リアルタイム性を保持してIoTを活用するために、導入時には処理速度をチェックしましょう。製品ページに記載がない場合は、企業に問い合わせてください。


対応通信規格の多さ

対応通信規格の多様さもIoTゲートウェイを選ぶ際のポイントです。対応通信規格が多ければ、その分通信できるプロトコルの種類が増えます。

通信規格とは、通信機器同士が通信する際のルールのようなものです。規格ごとに処理速度や周波数などが異なり、規格が異なると通信できません。

インターネット通信では、この規格に合わせた通信プロトコルを持つデータをやり取りします。対応する通信規格が少ない場合、対応する通信プロトコルに変換できません。これにより、送受信ができるデータや通信できる機器が限られてしまうおそれがあります。

異なる通信規格であっても、規格に互換性があれば通信はできます。ただし、通信に負荷がかかることで通信速度が遅くなるかもしれません。このような状態で運用を続けると、システム全体の作動が遅くなるでしょう。

複数の対応通信規格に対応していれば、それぞれの通信規格に対応した通信プロトコルへデータを変換し送受信できます。通信できるデータや機器の種類が増え、多種多様なデータのやり取りができるため制約が少ない状態で運用できるでしょう。

また、通信規格へ対応した通信プロトコルへ変換されるため、通信への負荷もかかりません。これにより、通信速度の安定化もできます。IoT導入時には、多様なデータを扱えるよう対応する通信規格の多さにも注目しましょう。


接続インターフェース数の多さ

接続インターフェース数の多さも確認しましょう。接続インターフェース数が多ければ、接続できる機器の種類が増えます。IT分野では異なる機器やシステムをつなぐ接続部分やデータをやり取りするための規格のことを指します。代表的な接続インターフェースは以下の通りです。

  • HDMI
  • USB
  • LAN
  • DI/DO

接続インターフェースが異なる機器同士はつなぐことができません。例えば、Apple製品のLightningケーブルは、対応するインターフェースを持つiPhoneやiMacなどに接続できます。しかし、AndroidのスマホはLightningケーブルを接続できるインターフェースがないため接続できません。機器同士で対応する接続インターフェースを備えていることの確認は重要です。

接続インターフェース数が多ければ、接続方法や規格が異なる複数の機器との接続ができます。IoTで実現できる機能の幅も広がるため、さまざまな機器やシステムと接続できるように接続インターフェース数が多いものを選ぶとよいでしょう。


トラブル発生時の柔軟性

トラブル発生時の対応の柔軟性も確認すべきポイントです。トラブルにも柔軟に対応できるものであれば、システムの安定的な運用ができます。

IoTも機器であるため、さまざまな理由で機器本体やシステムに不具合を起こす可能性があります。機器本体の劣化などにより接続するシステム全体に影響を及ぼしえます。停電によって急に電力供給が途絶えた場合には、IoTそのものが停止するだけではなく、電力回復後の作動に不具合が起きるおそれもあるでしょう。

トラブルへ柔軟に対応できるIoTゲートウェイであれば、自己診断によって自律的な回復が可能です。停電の例でいえば、電力回復後に機能を自己回復して人が調整することなく正常作動に復帰させることもできるでしょう。

トラブルに対して自律的に対応できるものであれば、人が調整や修理をする必要がなくなります。トラブル対応の効率化や迅速な解消にもつながり、安定したシステム運用が期待できるでしょう。

トラブル発生時の対応の可否は、製品の導入事例を確認するのがおすすめです。導入事例では、想定されるトラブルへの具体的な対応内容が記載されている場合があります。具体的な事例と合わせて確認することで、自社で想定されるトラブルに当てはめて検討しやすくなるでしょう。


IoTゲートウェイにてよくある質問を解説

IoTゲートウェイに関するよくある4つの質問を解説します。

  • IoTゲートウェイ(Gateway)とbluetoothは何が違うのですか?
  • IoTゲートウェイ(Gateway)とルーターは何が違うのですか?
  • エッジゲートウェイとは何ですか?
  • IoTセキュリティガイドラインとは何ですか?


IoTゲートウェイ(Gateway)とBluetoothは何が違うのですか?

IoTゲートウェイとBluetoothの違いは、役割・機能の違いにあります。具体的には以下の通りです。


役割機能
IoTゲートウェイ複数のIoTデバイスとサーバー間のデータの中継
  • データ中継
  • データプロトコル変換
  • データ処理
  • セキュリティ処理
  • デバイス管理
Bluetoothデバイス間の低エネルギーでのデータ伝送
  • データ通信
  • 音声通信

IoTゲートウェイは、データの中継や通信プロトコルの変換などを行う装置本体のことです。製品によって性能が異なるだけではなく、通信方法や接続方法は有線と無線の両方があります。対応している通信規格も製品によって異なります。また通信だけでなく、データのプロトコル変換・データの前処理・セキュリティ面の処理・デバイス管理など、複数の機能を担います。

一方、Bluetoothは近距離で無線通信する規格の1つです。規格は国際標準規格で定められており、Bluetooth対応機器であれば異なるメーカー同士の機器でも接続できます。スマホやイヤホンなど、身近な家電製品にも搭載されています。同規格のみで通信するため、他の通信規格のモノとは通信できません。そして、Bluetooth自体はデータ処理機能を持たず、担うのはデータ伝送のみです。この点が両者の大きな違いと言えるでしょう。

なおIoTゲートウェイによっては、Bluetoothに対応しているものもあります。Bluetoothに対応するIoTゲートウェイの場合、機器とIoTゲートウェイとの間、またはIoTゲートウェイとサーバー・クラウドとの間の通信をBluetoothで行います。


IoTゲートウェイ(Gateway)とルーターは何が違うのですか?

IoTゲートウェイとルーターは似た役割を担うものですが、厳密には以下のように異なります。


役割機能
IoTゲートウェイ複数のIoTデバイスとサーバー間のデータの中継
  • データ中継
  • データプロトコル変換
  • データ処理
  • セキュリティ処理
  • デバイス管理
ルーター
異なるネットワーク間の通信を中継
  • ネットワーク間の通信経路を決定
  • データの送信先を決定
  • 通信時のセキュリティ保持

IoTゲートウェイは、IoTデバイスとクラウド間の通信を中継する役割を担い、データをやり取りするために必要な処理全般を行う装置です。集約したデータをネットワーク上で通信できるようにプロトコルの変換などを行います。また、IoT機器の動作制御や自律回復なども行います。

一方、ルーターは異なるネットワーク間の通信を中継する役割を担うものです。IPアドレスをもとにデータの通信経路を決定してデータの転送を行います。IPアドレスとはインターネット上で割り振られる住所のようなもので、データの送信元や送信先を識別するためのものです。ルーターではIPアドレスをもとに送受信する経路を決定して中継し、データの変換などは行いません。

どちらもデータの中継を行うもののため、同じ役割を担うものとして扱われることがありますが、このような違いがあります。


エッジゲートウェイとは何ですか?

エッジゲートウェイとは、サーバーやクラウドへデータ送信をする前にデータを処理する機能を備えたゲートウェイのことです。処理済みのデータをインターネット上でやり取りするため、通信への負荷軽減やリアルタイム性の向上などが期待できます。

エッジゲートウェイに用いられているのは、エッジコンピューティングという技術です。エッジコンピューティングとは、ネットワークの周辺機器で一度データを処理してからデータを送信する技術のことを指します。

従来、データ処理はサーバーやクラウドで行われていました。データを処理するには、すべてサーバーやクラウドへ送信する必要があります。しかし、データ送信の度に通信への負荷がかかったり、やり取りに時間がかかったりする問題がありました。また、インターネット上でのやり取りはサイバー攻撃を受けるリスクもあります。

エッジコンピューティングでは、データを送信する前に処理し、サーバーやクラウドには必要なデータのみを送信します。これにより通信への負荷やデータの送受信にかかるタイムラグの低減が可能です。データをIoTゲートウェイで処理することで、セキュリティリスクを軽減およびプライバシーの保護につながるでしょう。


IoTセキュリティガイドラインとは何ですか?

IoTセキュリティガイドラインとは、総務省がとりまとめたIoTのセキュリティ対策に関するガイドラインです。

IoTの普及に伴い、IoT機器がサイバー攻撃の標的になるケースが増えています。さらに、IoT機器を悪用し、機器につながっているサーバーへ負荷をかける DDoS攻撃も報告されています。インターネットにつながっているIoT機器は、こうしたサイバー攻撃の脅威にさらされています。

脅威に備え、安全に運用するにはセキュリティ対策を施す必要があります。ガイドラインではIoTのセキュリティを確保する取り組みを促し、安心してIoT機器やサービスを利用できる環境構築につなげることを目的に策定されました。

ガイドラインでは、セキュリティ対策における以下の5つの指針を掲げ、それぞれの要点を記載しています。

本章は、IoT機器の開発からIoTサービスの提供までの流れを、「方針」、「分析」、「設計」、「構築・接続」、「運用・保守」の5つの段階に分けた上で、それぞれの段階に対するセキュリティ対策指針を示した。

引用元:総務省|IoT セキュリティガイドラインver 1.0|12ページ目(2024年1月24日時点) 

IoTで想定すべきリスクが解説されており、リスクの詳細を具体的にイメージできます。セキュリティの観点で取り入れるべきシステムなども示されており、具体的な対策方法の検討に役立つでしょう。


まとめ

IoTゲートウェイはIoT機器とサーバー・クラウド間でのデータの送受信を中継し、動作制御やデータ共有などの役割を担います。IoT機器のセンサーでは、多種多様なデータを取得します。それらのデータをスムーズに通信できるようにするために、データ変換などの処理を行うIoTゲートウェイが欠かせません。

IoTゲートウェイは、製品によって対応している通信規格や接続インターフェース数などが異なります。IoTをうまく活用するには、導入するIoTに合わせたものを選択することが大切です。導入前には製品を比較し、それぞれの特徴と導入するIoTに必要な性能を把握したうえで選択しましょう。IoTゲートウェイ選びで悩んでいる方は、ぜひ当社へご相談ください。


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