フォーカスノート
IoTシステムの開発費用は?相場・費用を下げる方法・発注先の選び方も解説
目次
「IoTシステムの開発費用はどれぐらいなのかな」
「IoTシステムの開発費用を下げるコツは?」
このような疑問を持つことがあるかもしれません。詳しくは後述しますが、IoTシステムの開発にかかる費用は、システムの規模や機能の数などによって大きく異なります。数百万円~数億円になるケースもあり、一概には言えません。これは自社開発に限らず、外注も例外ではありません。市販のIoTシステムを利用しても、数百万になるケースがあります。
また、相見積もりを取るなどして仮に費用を把握できたとしても、予算を超える金額が提示されるかもしれません。そのときは、開発費用を下げる工夫が必要です。
そこで本記事では、IoTシステムの開発費用・内訳・開発費用を下げるコツ・発注先の選び方を解説いたします。「IoTシステムの開発費用相場を知ったうえで、プロジェクトを進めたい」と考えている方は、ぜひご参考ください。
IoTシステムの開発費用を解説
ここではIoTシステムの開発費用について解説いたします。
- イチから自社開発する場合の相場
- 外注する場合の相場
なおIoTの詳細は以下の記事をご参考ください。
IoTとはモノのインターネットのこと!仕組み・実現できること・導入事例を解説
イチから自社開発する場合の相場
イチから自社開発する場合の費用は、システムの規模や目的によって大きく異なります。そのためIoTの開発費用は一概には言えません。正確な費用を把握したい場合は、相見積もりを取るのが良いでしょう。
外注する場合の相場
IoTシステム開発の外注においても、システムの規模や納期などの条件によって、費用は異なります。基本的には数百万円かかることが多いです。
外注の場合、イチから開発したケースに比べて、費用を抑えられる可能性があります。自社開発費用があまりに高額な場合は、外注もしくは市販されているIoTシステムの利用を検討した方が良いでしょう。ただし、開発内容によっては自社開発したときと同じように高額になるかもしれません。ご注意ください。
なお、システム開発を外注、もしくは既製品を利用する場合、システム開発の専門家からの意見を聞けるというメリットがあります。課題解決に必要なシステムについて、自社だけでは思いつかないアイデアを出してもらえるかもしれません。最短で課題解決までのルートを見つけてもらえることも期待できるでしょう。また開発に自社のリソースを割かなくて良いため、コア業務に集中できるかもしれません。
自社開発をするか、外注をするかは、費用だけでなく開発内容や状況に応じて選びましょう。
IoTを開発する場合の費用内訳を解説
IoTを開発する場合の費用内訳は、以下の3つに分けられます。
- IoT機器の導入費用
- システム開発費用
- 運用と保守費用
IoT機器の導入費用
IoT機器を開発、もしくは導入する場合、以下のような費用が考えられます。
- センサーの費用
- 通信機器の費用
- サーバーの費用
センサーはIoT機器の基本的な要素であり、環境からのデータ収集を担います。温度・湿度・圧力・動き・音・光など、さまざまな物理的条件を検出し、デジタルデータに変換する役割を持ちます。例えば、農業での土壌湿度の監視・スマートホームでの温度調整などが挙げられるでしょう。
IoT機器がセンサーで収集したデータを他のデバイスやサーバーに送信するには、通信機器が必要です。これにはWi-Fi・Bluetoothなどの通信技術があります。通信機器は、データの収集だけでなく、リモートからのデバイス制御・ファームウェアのアップデート・クラウドサービスとの連携にも必須です。
収集されたデータを処理・分析・保存するにはサーバーが必要です。サーバーは、データの集約・分析・アクション(自動応答やユーザーへの通知など)を行います。これは物理的なサーバーであることも、クラウドベースのサーバーであることもあります。クラウドであれば、初期費用を抑えられるかもしれません。
システム開発費用
続いて必要になる費用が、システム開発費用です。主に以下のようなものがあります。
- ソフトウェア開発費用
- 各人件費
- テスト費用
ソフトウェア開発費用とは、IoTシステムのソフトウェアコンポーネント(独立して機能するソフトウェアの部品やモジュール)などの開発費用を指します。これにはデバイスのファームウェア・分析ソフトウェア・ユーザーインターフェースを提供するアプリケーション開発などが含まれます。また、デバイス間の通信を管理するソフトウェアや、クラウドサービスとの統合を担うAPIの開発も含まれる場合があります。開発内容によって、費用は大きく変わるでしょう。
各人件費に関しては、ソフトウェアエンジニア・プロジェクトマネージャー・デザイナー・セキュリティの専門家などが挙げられます。プロジェクトの期間中、関わる人材の人数・スキル・実績などによって大きく変動するでしょう。また大規模なプロジェクトになれば、それに比例して関係者が増えることが予想されます。その場合だと、人件費が高騰するかもしれません。
テスト費用は、システムの品質保証と信頼性を確認するためのテスト活動にかかる費用です。これには単体テスト・統合テスト・システムテスト・負荷テスト・セキュリティテストなど、開発ライフサイクルの各段階で行われるテストが含まれます。テスト回数が増えるほど、費用がかさばるかもしれません。
運用と保守費用
運用と保守にも費用がかかります。主に以下のような費用が発生するでしょう。
項目 | 具体例 |
運用 | 通信費用 運用における人件費 |
保守 | デバイスのメンテナンスと修理費用 データのバックアップと復旧費用 |
通信費用は、デバイス間やデバイスとクラウドサービス間のデータ転送にかかる費用を指します。これらの費用は、使用する通信技術・データ量・通信頻度・サービスプロバイダーの料金体系によって大きく異なります。また運用ということで、担当者の人件費がかかるでしょう。
保守に関しては、主にメンテナンスおよび修理費用が挙げられます。IoT機器は定期的なメンテナンスや故障時の修理が必要です。これには、予防保全・障害の診断・部品の交換などが含まれます。使用環境によっては故障が多くなり、それに伴い費用がかさむかもしれません。
またIoTで取り扱う情報は機密情報になることもあります。そのためデータの損失を防ぎ、事故や障害から迅速に回復するためデータのバックアップ・復旧サービスを利用することがあるかもしれません。その場合だと、さらに一定の費用が発生します。
IoTシステムの開発費用を下げるコツ
IoTシステムの開発費用を下げるには、以下4つのコツがあります。
- 搭載する機能を絞り込む
- 各機能の開発内容を極力シンプルにする
- 対象範囲を可能な限り小規模にする
- 相見積もりを取る
搭載する機能を絞り込む
搭載する機能を絞り込むことで、システム開発の費用を抑えられます。開発期間が短くなるからです。機能が少ないほど、設計・開発・テストに必要な時間が減ります。それに伴い人件費を抑えられるでしょう。
必要な機能を絞り込む際は、まずIoTシステムの導入目的を考えてください。導入目的が明らかになれば、必要な機能がわかります。目的達成のために必要な機能だけになるよう、絞り込みましょう。
もし自分1人で導入目的を明らかにできない場合は、経営陣・現場責任者などにヒアリングを行いましょう。目的のみならず、具体的な目標数値まで明らかにできるかもしれません。搭載すべき機能が、一気に見えてきます。
各機能の開発内容を極力シンプルにする
各機能の開発内容を極力シンプルにすることでも、開発費用を下げることができます。デバッグとテストが容易になるからです。
例えば、シンプルなコードは理解しやすく、問題が発生した場合にバグを特定しやすくなります。複雑なコードに比べてデバッグ時間が大幅に削減されるため、開発費用を下げられます。また、シンプルな機能はテストしやすいため、確認のプロセスがスムーズになります。テストにかかる時間と費用が削減されるでしょう。
開発内容をシンプルにするコツとして、まずはプロトタイプを開発しましょう。必要最小限の機能を備えたプロトタイプを開発して、各機能に過不足がないかを確認します。実際に使ってみると、いくつかの機能は不要であることが判明するかもしれません。これにより、当初の予定よりも開発内容をシンプルにできるでしょう。
もちろん、機能が不足している場合は追加する必要があります。その場合は費用がかさむかもしれません。経営陣や各関係者に確認をした方が良いでしょう。
対象範囲を可能な限り小規模にする
開発の対象範囲や規模を可能な限り小規模にすることで、開発費用を抑えられます。全範囲を対象に開発した場合に比べて、必要な機器や人数を抑えられます。
そもそも導入規模や範囲が大きくなるにつれ、開発に必要となる予算は増加しがちです。大規模な工場であれば、数百ものセンサーが必要になるかもしれません。それに応じて必要となる人数や日数、つまりは人件費も多くなるでしょう。しかし特定の箇所だけに範囲を限定すれば、費用を抑えられます。まずは小さい規模で開発し、様子を見ながら徐々に対象範囲を拡大していくのが良いでしょう。
小規模にする際のコツとしては、対象範囲に対して優先順位を定めましょう。優先順位を定める際のポイントは以下の通りです。
- 費用対効果
- 実現性
上記2点を確認することで、優先的に導入すべき個所を特定できます。その箇所で一定の成果を得られたら、範囲を徐々に広げていきましょう。
相見積もりを取る
相見積もりを取ることで、開発費用を下げられるかもしれません。相見積もりを取ることで、おおよその相場を理解できます。過剰な価格で契約するリスクを減らせるでしょう。
なお、相見積もりを取る際は、プロジェクトの要件・仕様・期待される成果物を明確にしておくことが重要です。これにより、提供される見積もりが同じ基準で行われ、比較しやすくなります。費用だけでなくサービス内容なども確認し、総合的に判断しましょう。
IoTシステムの開発を外注する場合の発注先選び方
IoTシステムの開発を外注する際は、費用だけを意識するのではなく以下も確認しましょう。
- 見積書の透明性
- 開発実績の豊富さ
- 得意とする開発言語
- セキュリティ対策の内容
見積書の透明性
見積書の透明性を意識しましょう。見積書が透明であれば、どのような作業にどれだけの費用がかかるのかを正確に理解できます。
透明性が高い見積書であるかを判断するには、以下のような項目が記載されているかを確認してください。
- 要件定義費用
- 設計費用
- デザイン費用
- システム開発費用
- テスト費用
- 機器費用
- 導入支援費用
- 交通費費用
- 保守費用
- ディレクション費用
このような費用が明確に提示されていれば、費用の内訳を理解し、サービスが自分の予算やニーズに適しているかどうかを判断しやすくなります。後で誤解や不一致が生じる可能性も低くなるでしょう。
ただし注意点として、追加料金の有無もこの時点で確認しなければなりません。追加料金がある場合は、その条件を事前に確認しておきましょう。
開発実績の豊富さ
開発実績の豊富さもポイントです。実績が豊富であれば技術的専門知識を深いレベルで有している可能性があり、信用しやすくなります。また要件定義の段階で、新たなアイデアを提案してくれる可能性もあるでしょう。
ただし、強みとする分野はシステム開発会社ごとに異なります。苦手分野の依頼だと、実力を発揮できないかもしれません。実績の豊富さはもちろんですが、自社と同業界で開発内容が似ている実績があるかも確認しましょう。ある場合は、導入効果や費用をチェックしてください。もし、候補の開発企業のホームページに実績が公開されていない場合は、問い合わせましょう。
得意とする開発言語
得意とする開発言語も重要です。自社が望んでいるシステム開発に必要なプログラミング言語を不得意としていた場合、想定よりも低いレベルのシステムが開発されるかもしれません。どのような言語を得意としているかは、必ず確認しておくべきでしょう。
なお、IoTシステム開発に適しているとされる開発言語は、主に以下になります。
言語名 | 概要 |
C++ | C言語の機能を拡張した汎用性の高い開発言語 |
Java | 汎用性が高く基本的に開発環境を問わない開発言語 |
Python | 主に科学技術分野で使用される開発言語 |
※IoTシステム開発において最も適しているとされるプログラミング言語は、用途・デバイスの種類・プロジェクトの要件などによって異なります。
C++は、IoTデバイスのファームウェアやシステムプログラミングに広く使用されます。主にアプリケーションの開発に適しており、メモリ管理やシステムリソースなどの細かい制御が可能です。また、ポータビリティが高く、多種多様なプラットフォームやデバイスに対応しています。
Javaは初心者にも扱いやすいシンプルな構文のプログラミング言語です。データ集約型のアプリケーション・機械学習・プロトタイピングなどに適しています。多様なライブラリやフレームワークを有し、データ分析・機械学習・ネットワーキングなどのタスクを実行可能です。また、スクリプティング言語としての柔軟性を持つため、多くのIoTデバイスで用いられるかもしれません。
Pythonはコードの記述が短く、簡単なコードであらゆるプログラミングを実現できるとして、近年人気が高いプログラミング言語です。リアルタイムWebアプリケーションやIoTアプリケーションの開発などに適しています。
自社の開発予定のシステムに最適なプログラム言語を把握し、その言語を得意としている開発会社を探すのが良いでしょう。
セキュリティ対策の内容
セキュリティ対策の内容もしっかりと確認しましょう。IoTはモノとインターネットをつなげるため、サイバー攻撃を受けるおそれがあります。実際に以下のような事例が発生しています。
利用中のルーターや防犯カメラ等を乗っ取られ、
盗撮
ウイルス拡散
他の企業への攻撃の踏み台
に悪用されるといった被害が確認されてます。
引用元:北海道警察|まさに、IoT危機(機器)!?~IoT機器が乗っ取られる可能性が~(2024年2月8日)
開発した機器が、このような犯罪に遭わないためにもセキュリティ対策は必須です。発注先がどのようなセキュリティ対策を施すのかを、事前に必ず確認しましょう。
またIoTに関しては、主に以下のようなセキュリティを施すのが一般的です。
セキュリティ対策例 | 内容 |
タンパー検出 | 改ざんなどを検出 |
データの暗号化 | データの機密性を保護 |
デバイス認証 | 信頼できる機器のみネットワークに接続可能 |
上記はあくまで一例ですが、外注をする際はこのようなセキュリティを備えさせた方が良いでしょう。安心して利用できます。
もちろん自社開発を行う際も、セキュリティ対策は必須です。各関係者と協議し、決めてください。自社で判断できない場合は、外部の専門家に相談するのが良いでしょう。
まとめ
IoTのシステム開発費用はシステムの規模や機能によって大きく異なります。数百万円~数億円と非常に幅広いため、一概には言えません。自社の予算やリソースを確認したうえで選択すると良いでしょう。
そして、開発費用を可能な限り抑えたい場合は、機能を絞り込む・開発内容をシンプルにするなどを意識するのがおすすめです。また相見積もりを取ることで、求めるシステム開発の費用相場を確認できます。予算内、かつ最も適切なシステム開発会社を選べるでしょう。
しかし、システム開発会社は数多くあり、迷うことがあるかもしれません。迷ったときは、ぜひ一度当社にご相談ください。