クラウド化のメリット10選!低コストでBCP対策をできるがデメリットもある

クラウド化のメリット10選!低コストでBCP対策をできるがデメリットもある

目次

「クラウド化させると、どのようなメリットがあるんだろう?」
「デメリットはあるのかな」

このような疑問を持つことがあるかもしれません。クラウド化には、多くのメリットがあります。 オンプレミス型で満足できていない方、リモートワークの促進を目指している方などは、クラウド化を検討してみてください。ただし、クラウド化にはデメリットもあります。導入する際はメリットだけでなく、連携面などのことも確認し、総合的に判断しましょう。

そこでこの記事では、クラウド化させるメリット・デメリット・よくある質問を解説いたします。ぜひご参考ください。

BCP対策など利点がたくさん!クラウド化のメリット

ここではクラウド化のメリットについて解説いたします。

  • オンプレミス型に比べて導入コストを抑えられる
  • オンプレミス型に比べて運用と管理の負担が少ない
  • オンプレミス型に比べてトラブル発生時の負担が少ない
  • オンプレミス型に比べて企画から運用までの期間が短い
  • 自社に合わせてスケールアップ・ダウンをさせやすい
  • 常に最新の機能を利用できる
  • BCP対策になる
  • リモートアクセスを実現できる
  • サーバーの設置場所が不要になる
  • 社外への共有や共同作業をしやすくなる

オンプレミス型に比べて導入コストを抑えられる

クラウド化することで、オンプレミス型に比べて導入コストを抑えられます。クラウド型であれば、サーバーなどの機器を自社で用意する必要がありません。

そもそもオンプレミス型は、システムの規模に合わせて機器やソフトウェアなどを自社で用意する必要があります。そのため、システムの規模が大きくなるほど、初期費用も大きくなります。ケースによっては、数百万円から数千万円の費用がかかるかもしれません。

一方、クラウド化では、ソフトウェアなどを自社で用意する必要がないため、初期費用を抑えられます。さらに、利用状況に合わせてプランを変更することも可能であり、ランニングコストも比較的抑えやすいでしょう。

オンプレミス型に比べて運用と管理の負担が少ない

クラウド型は、オンプレミス型に比べて運用と管理の負担が少ない傾向にあります。機器やソフトウェアの管理を、クラウドサービス事業者がすべて行うためです。

例えば、大規模なサーバーを自社で運用する場合、数百から数千におよぶ物理サーバーおよび仮想サーバーを組み合わせて利用しているケースがあります。これらのサーバーは異なる役割を持ち、互いに連携してサービスを提供しているため、システム全体が複雑になりやすい傾向にあります。

そうなると、運用をするには専門的な管理ツールおよび高度な技術スキルを持った運用チームが必要です。適切なツールを使用して、システムを監視・管理することが求められます。専門性の高い人材の採用・教育などが必要であるため、一筋縄ではいかないでしょう。

クラウド化では、基本的にこのようなことはありません。クラウドサービス事業者が対応してくれるためです。現場の負担を軽減しつつ、コア業務にリソースを集中させられるでしょう。

オンプレミス型に比べてトラブル発生時の負担が少ない

クラウド化は、基本的にオンプレミス型に比べてトラブル発生時の負担が少ないです。先述したようにクラウドサービス事業者が機器やソフトウェアの保守・運用を担うためです。

オンプレミス型では、企業が自社で機器やソフトウェアを保有・管理するため、トラブルが発生した場合には、自社が原因調査や復旧作業を行う必要があります。そのため、手間・コストなどの負担が大きく、業務への影響も大きくなりがちです。

一方クラウド化をすると、トラブルが発生した場合には、クラウドサービス事業者が原因調査や復旧作業を行います。そのため、企業はクラウドサービス事業者に連絡するだけで済み、時間・コストなどの負担を抑えることが可能です。

また、クラウドサービス事業者によっては、24時間365日の監視体制や、障害発生時の早期復旧体制を整えている場合もあります。そのため、トラブル発生時のリスクをさらに低減できるでしょう。

オンプレミス型に比べて企画から運用までの期間が短い

クラウド化は、オンプレミス型に比べて、企画から運用までの期間が短い傾向にあります。自社でサーバーなどを選定・購入・設置・システム構築を行う必要がないためです。

従来のオンプレミス型では、機器やソフトウェアを自社でイチから用意する必要があります。そのため、調達リードタイムが発生します。サーバーを運用するために必要な通信環境が整っていない場合、ここにも留意する必要があるでしょう。

一方、クラウド化では、クラウド事業者が機器やソフトウェアを用意するため、調達リードタイムは基本的に発生しません。利用するサービスや内容にもよりますが、1週間前後で運用をスタートできるかもしれません。オンプレミス型では考えられないスピード感です。

またクラウド型は多くの場合、使いやすい管理ダッシュボードや自動化ツールを提供しており、インフラストラクチャの設定やスケーリングを簡単に行えます。これにより、システムの設定とテストにかかる時間が短縮されるかもしれません。

自社に合わせてスケールアップ・ダウンをさせやすい

クラウド化のメリットとして、自社に合わせてスケールアップ・ダウンをさせやすい点が挙げられます。契約内容にもよりますが、使う機能などを簡単に変更できるためです。

そもそもオンプレミス型の場合、ITインフラを自社で構築・運用することが前提です。そのためスケールアップ(サーバーの増強など)やスケールダウン(サーバーの削減など)を行う場合、機器の購入もしくは処分・再設定・検証などが必要になります。この際の手間やコストを考えると、オンプレミス型だとスケールアップ・スケールダウンは簡単にはできないでしょう。

その一方でクラウド化では、リソースを必要なときにのみ利用できます。例えば、企業が運営するアプリケーションがあるとしましょう。プロモーションやイベントによりアクセス数が一時的に増加することが予想される場合、クラウドサービスを利用してサーバーの計算能力や帯域幅を一時的に増強できます。イベントが終了しアクセス数が通常に戻ったら、リソースを元の状態に戻すことも可能です。ここまで柔軟に変更できるのは、クラウド型の強みです。

ただし、柔軟に変更できるかはクラウドサービスや契約内容によります。年間契約などの場合だと、簡単には変更できないかもしれませんのでご注意ください。

常に最新の機能を利用できる

利用するクラウドサービスにもよりますが、クラウド化することで常に最新の機能を利用できます。基本的に、アップデートもクラウドサービス事業者が担当するためです。

例えば、オンプレミス型では、ソフトウェア事業者からのアップデートや新機能に関する情報を定期的に確認する必要があります。そして必要に応じて、追加のライセンス購入や既存ライセンスの更新が必要な場合があります。アップデート内容によっては、既存システムとの互換性や影響を確認するために、テストを実施する必要もあるでしょう。常に最新の状態を保つには、企業の積極的な取り組みと投資が必要ということです。

しかしクラウド型だと、このような作業をクラウドサービス事業者がすべて行ってくれます。自社で行う必要はありません。簡単な更新作業を行うだけで、最新の機能を利用できるでしょう。クラウドによっては自動更新機能もあり、新機能の利用だけでなく、セキュリティ強化も迅速に行えます。基本的に、即日で最新機能を利用できるでしょう。

ただし、実際にどの程度の頻度で新機能が提供されるか、また利用者がそれらをどのように活用できるかは、選択したクラウドサービス・契約内容などによって異なります。導入する前に必ず確認しておきましょう。

BCP対策になる

クラウド化は、BCP対策につながります。自社にサーバーを設置しないため、自然災害などに遭っても迅速な復旧を期待できます。

例えばオンプレミス型の場合だと、自社にサーバーを設置します。地震などの自然災害が発生した場合、自社のサーバールームやデータセンターが故障、最悪の場合だと全壊するかもしれません。バックアップが適切に管理されていない限り、重要なビジネスデータが失われるおそれがあります。

その一方で、クラウド化した場合、データは複数のデータセンターに分散して保管されることが一般的です。そのため、自社もしくは特定のデータセンターが災害などに遭った場合でも、データの損失を高確率で防げます。また、複数のシステムやサーバーが冗長構成(バックアップとして予備装置を設置する構成)で運用されているため、システムやサーバーの一部が故障しても、事業を継続させやすいです。オンプレミス型に比べて、迅速な復旧を期待できるでしょう。

ただし、BCP対策としてクラウド化するのであれば、災害対策に力を入れているクラウドサービスを選ぶ必要があります。導入前にしっかりと確認しておきましょう。

リモートアクセスを実現できる

クラウド化のメリットとして、リモートアクセスを実現できることが挙げられます。インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできます。

例えば、営業担当者は顧客訪問や出張中でも、クラウドに保存された最新の顧客情報や商談資料にアクセス可能です。顧客とのミーティング直前でも、重要な情報をリアルタイムで確認したり、提案書を最終確認したりできます。顧客からの質問にも、クラウド上の情報を参照しながら、迅速に対応できます。

またITサポートスタッフであれば、オフィスにいなくてもリモートで社内システムの管理やトラブルシューティングを行えます。在宅中や移動時間など、社外にいる時に発生したシステム障害に対しても迅速な対応が可能です。。柔軟なワークスタイルを実現しやすいでしょう。

サーバーの設置場所が不要になる

クラウド化すれば、サーバーの設置場所が不要になります。オンプレミス型のような物理的なサーバーが不要になるためです。

従来のオンプレミス型だと、自社のオフィス内に物理的なサーバーを設置して、業務に必要なアプリケーションやデータベースを運用するケースがありました。大規模なサーバーを設置するのであれば、それ相応のスペースが必要になります。必然的に大きいオフィスが必要になるでしょう。それに伴い、賃料が上昇することも考えられます。

しかしクラウド化すれば、このようなことはありません。サーバーの設置すら必要ないためです。オフィススペースをより効率的に使用できるでしょう。例えば、空いたスペースは従業員のためのワークスペースや会議室として利用できます。プロジェクトのブレインストーミングやクライアントとのミーティングに役立つでしょう。

社外への共有や共同作業をしやすくなる

クラウド化のメリットとして、社外への共有や共同作業をしやすくなる点も挙げられます。クラウドサービスにもよりますが、プロジェクトの進行状況や変更事項をリアルタイムで共有できるためです。

先述したように、クラウド化するとインターネットを介してどこからでもアクセス可能です。社外のリモートワーカー・クライアントが、共有ファイルやアプリケーションに簡単にアクセスできます。コメントや要望を、直接かつリアルタイムで伝えることも可能です。地理的な制約がなくなることもあり、プロジェクトの進行や情報の共有がスムーズになるでしょう。

またクラウド型では、変更がすぐに関係者全員に共有されるのが一般的です。最新の情報で作業が進められ、バージョンの不一致や情報の齟齬が減少するでしょう。共同作業をしやすくなります。

システムの連携性は?クラウド化させる際のデメリット

ここではクラウド化のデメリットについて解説いたします。

  • 既存システムと連携できないかもしれない
  • サイロ化を促進させてしまうかもしれない

既存システムと連携できないかもしれない

クラウド化のデメリットとして、既存システムと連携できない可能性が挙げられます。クラウドサービスと既存システムは、異なるアーキテクチャを採用しているかもしれません。

例えば、既存システムが特定のプログラミング言語やフレームワークに依存している場合、クラウドサービスとの連携が技術的に難しい場合があります。具体的には、もし既存システムがCOBOLなど旧来の技術を使用して構築されている場合、現代のクラウドサービスとの互換性が低いかもしれません。近年のクラウドは、近代的な通信プロトコル・コンテナ技術・アーキテクチャなど、現代の開発標準に基づいて構築されていることが多いためです。そうなると、クラウド化をしても連携は難しいかもいれません。

対策としては、クラウドサービス事業者の統合ツールを利用すると良いでしょう。主要なクラウドサービス事業者は、既存のレガシーシステム(旧来の技術で構築されたコンピューターシステム)をクラウド環境と連携するためのツールやサービスを提供していることがあります。このようなツールを使えば、連携を可能とすることはもちろん、移行プロセスを簡素化できるかもしれません。

サイロ化を促進させてしまうかもしれない

クラウド化することで、サイロ化※を促進させてしまうかもしれません。

※サイロ化とは、情報・リソース・目標が部門やチーム間で分断され、共有されにくい状態を指します。農業で穀物を分けて保管する『サイロ』が由来と言われています。

各部門で、独立したクラウドを運用する可能性があるためです。

そもそも会計・営業・事務など、各部門は業務内容がまったく異なります。業務内容が異なるため、クラウドに求める機能も必然的に変わります。そうなると、各部門において最適なクラウドツールはバラバラになる可能性が極めて高いです。

もし部門間で使用するクラウドが異なれば、データやアプリケーションの共有が困難になるでしょう。部門間のコミュニケーションや協力体制の構築が、なかなか上手くいかないかもしれません。まさに分断されている状態と言えます。

サイロ化を防ぐうえで最も効果的な方法は、組織全体でデータを統合的に管理する体制を構築することです。例えば、以下のような施策が考えられます。

  • 組織全体のビジョンと目標を明確にする
  • 部門間の壁を越えたチームを編成する
  • 統一されたクラウド(統合型データ管理システムなど)を採用する
  • データ統制と管理に関するポリシーやルールを明示する
  • データガバナンス体制を整備する
  • 定期的な会議および情報共有を行う

ここまで行うことで、部門間の情報共有を促進できます。データの一貫性や透明性を確保する際に役立つでしょう。また必然的にコミュニケーションを取る回数が多くなり、相互理解の促進や協力体制の構築も行いやすくなるかもしれません。

クラウド化させる際によくある質問

ここではクラウド化させる際によくある質問について解説いたします。

  • クラウド化とは?
  • クラウドの種類を教えてください

クラウド化とは?

クラウド化とは、従来のオンプレミス環境で運用していたアプリケーションやデータを、インターネット経由で利用できるクラウドサービスに移行することを指します。具体的には以下のようなものがクラウド化の対象になります。

  • サーバー
  • ストレージ
  • ネットワーク
  • アプリケーション
  • データ

一言でクラウド化と言っても、状況によって対象が異なるかもしれません。必要性や重要性を考慮し、すべてをクラウド化させるのか、それとも一部だけにとどめるのかを決めましょう。

なおクラウド化の詳細は以下の記事をご参考ください。
クラウド化とは?オンプレミス型との違い・メリット・デメリット・導入事例を解説

クラウドの種類を教えてください

クラウドの種類は主に3つあります。

 
クラウドの種類
概要

パブリッククラウド

共同利用型のクラウド

プライベートクラウド

企業専用に開発・構築されたクラウド

ハイブリッドクラウド

パブリック型とプライベート型を組み合わせたクラウド

基本的には、パブリッククラウドを使うことが多いでしょう。自社に最適なパブリッククラウドが見つからなかったときは、プライベートクラウドもしくはハイブリッドクラウドでクラウド化させるかもしれません。

まとめ

ここまでクラウド化のメリットとデメリットを解説してきました。 クラウド化にはリモートワークの促進やBCP対策など、多くのメリットがあります。データアクセスの柔軟性向上・コスト削減・災害復旧の迅速化などを実現できるでしょう。

しかしその一方で、既存システムとの連携性やサイロ化などが懸念されます。クラウド化を果たしたとしても、既存システムと連携ができなかったり、各部門を分断したりしては元も子もありません。企業全体として見たときに、総合的にはマイナスな施策になるかもしれません。そのためクラウド化するのであれば、利点と課題を深く理解し、目的や要件に合わせて判断する必要があります。

クラウド化に関するお悩みがあれば、ぜひ当社にご相談ください。

残してきた実績

設立から48年。
大切なものにフォーカスしてきたからこその実績があります。
公共・民間ともに多数の実績を残してきました。

年間プロジェクト数

500PJ

年間取引先・顧客数

200

最長取引年数

47

延べ資格取得者数

1,740