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ファイルサーバーのクラウド化とは?メリット・導入時に確認すべきことを解説
目次
「ファイルサーバーのクラウド化って、なに?」
「ファイルサーバーをクラウド化するメリットを知りたい」
ファイルサーバーのクラウド化を検討している方の中には、上記のような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。 ファイルサーバーのクラウド化とは、従来のオンプレミス型ファイルサーバーの機能をクラウド上に移行し、インターネットを介してデータの保存・アクセス・共有を行うことを指します。クラウド型ファイルサーバーはインターネットを介して利用するため、導入コストを削減できます。
ただし、サービスによって利用できる機能・コスト・ストレージ容量・セキュリティ対策などが異なります。自社に最適なサービスを導入するには、クラウド型ファイルサーバーで実現したいことや求めるスペックなどを洗い出したうえで選ぶことが大切です。
本記事ではクラウド型ファイルサーバーの特徴やクラウド化させるメリット、導入時のポイントを解説いたします。クラウド型ファイルサーバーの導入でお悩みの方は、ぜひご参考ください。
ファイルサーバーのクラウド化とは?
ファイルサーバーのクラウド化について、以下3項目で解説いたします。
- ファイルサーバーのクラウド化とは?
- オンプレミス型とクラウド型の違い
- そもそもクラウド化とは?
ファイルサーバーのクラウド化とは?
ファイルサーバーのクラウド化とは、既存のファイルサーバーをクラウド上に構築されたファイルサーバーへ移行し、データの保存や共有などを行うことです。
従来のファイルサーバーでは、自社内に物理的なサーバーやストレージなどを設置していました。また、設置したサーバーなどにあわせたネットワーク環境の構築も必要です。そのため、導入コストが高いなどの問題がありました。
クラウド型のファイルサーバーでは、インターネット上の仮想ストレージである『クラウドストレージ』を利用します。インターネットにつながる環境であればすぐに利用でき、物理的なハードウェアの設置などが必要ありません。そのため、コストを抑えて迅速に導入できるでしょう。
ただし、インターネットを介して提供されるサービスのため通信障害やセキュリティ面での対策が必要です。ファイルサーバーのクラウド化を進める場合は、クラウド型のファイルサーバーの特徴を把握したうえで、導入するサービスを検討しましょう。
オンプレミス型とクラウド型の違い
オンプレミス型とクラウド型には主に以下の違いがあります。
比較項目 | オンプレミス型 | クラウド型 |
---|---|---|
サーバーの設置 | 必要有り | 必要なし |
導入コスト | 高額になりやすい | 抑えやすい |
運用・保守 | 自社で実施する | クラウドサービス事業者が実施する |
オンプレミス型の場合、先述した通り導入時にはサーバーやストレージの設置など利用するための環境構築が必要です。物理的なハードウェアの調達も行うため、導入コストが高額になりやすいでしょう。また、運用・保守も自社で行います。トラブルや不具合があれば自社で対応する必要があります。
クラウド型は、導入時にサーバー設置が不要で導入コストを抑えられる点が特徴です。運用・保守もクラウドサービス事業者が実施するため、運用中の手間やコストの負担も軽減できます。
ファイルサーバーを導入する際には、オンプレミス型とクラウド型それぞれの特徴を踏まえて選びましょう。
そもそもクラウド化とは?
クラウド化とは、自社で管理していたシステムやデータを、インターネットを介して利用できるサービスへ移行することです。インターネット経由で提供されるシステムへ移行するため、インターネットにつながる環境であれば手軽に利用できます。
クラウドサービスには主に以下があります。
- SaaS(Software as a Service)
- PaaS(Platform as a Service)
- IaaS(Infrastructure as a Service)
SaaSはインターネットを介してアプリケーションやソフトウェアを提供するサービスです。アプリケーションやソフトウェアのクラウド化ができ、システムはクラウドサービス事業者が管理します。
PaaSはアプリケーションやソフトウェアの開発に必要な環境を、インターネットを介して提供するサービスです。開発環境をクラウド化でき、自分たちで開発環境を用意することなくすぐに開発を始められます。
IaaSは仮想のハードウェアやネットワークなどを、インターネットを介して提供するサービスです。社内インフラをクラウド化してインターネット上で自由に構築できるため、自社に最適な環境が作れます。
このように、クラウドサービスは種類によって、クラウド化の対象が異なります。クラウドサービスを選ぶ際には、何をクラウド化するかを明確にしたうえで利用しましょう。
なおクラウド化の詳細は以下の記事をご参考ください。
クラウド化とは?オンプレミス型との違い・メリット・デメリット・導入事例を解説
社内ファイルサーバーをクラウド化させるメリット
社内ファイルサーバーをクラウド化させるメリットは以下の4つです。
- リモートアクセスが可能になる
- メンテナンスなどの運用工数を減らせる
- サーバーの設置場所が不要
- スペックの追加が容易である
リモートアクセスが可能になる
ファイルサーバーをクラウド化させると、リモートアクセスが可能になります。インターネットを介して利用するサービスのため、インターネットにつながる環境であれば社外からアクセスが可能です。
従来のオンプレミス型の場合、ファイルサーバーへは社内ネットワークを利用しなければアクセスできません。そのため、取引先での商談やリモートワーク時にファイルサーバー内の必要なデータの閲覧は基本的にできませんでした。
クラウド型の場合、インターネットにつながる環境であれば場所を問わずアクセスできます。社外からのアクセスが可能になり、必要な情報を必要なときに確認しやすくなるでしょう。
また、社員が自宅のPCからファイルサーバーにアクセス可能なため、テレワークもしやすくなります。クラウド型ファイルサーバーを導入していれば、働き方改革を進めやすくなるでしょう。
メンテナンスなどの運用工数を減らせる
メンテナンスなどの運用工数を減らせる点も、ファイルサーバーをクラウド化するメリットです。クラウドサーバーでは、運用時のメンテナンスやトラブル対応などをクラウドサービス事業者に任せられます。
先述した通り、オンプレミス型ではメンテナンスなどの運用・保守を自社で実施します。安定して運用するために定期的なメンテナンスやアップデート、トラブル発生時には復旧作業が必要です。運用・保守に関わる人員や、対応のための工数も確保しなければなりません。
クラウド型ファイルサーバーでは、こうした運用・保守をクラウドサービス事業者が行います。自社で行う必要がなくなるため、運用工数の削減につながるでしょう。工数が減る分、運用・保守に関わる担当者の負担軽減や業務の効率化につながります。
なお、メンテナンスのタイミングや運用体制などはクラウドサービス事業者によって異なります。安定して利用できるサービスを選ぶために、運用体制も確認しましょう。
サーバーの設置場所が不要
サーバーの設置場所が不要な点も、ファイルサーバーをクラウド化するメリットです。インターネット上で完結するサービスのため、自社内にサーバーを設置する必要がありません。
オンプレミス型でサーバーを設置する場合、サーバールームなどの専用の設置場所を確保する必要がありました。サーバーの機材が多ければその分広い場所を確保しなければなりません。また、サーバー情報が盗まれたり直接操作されたりしないよう、限られた人のみが近づけるようにセキュリティ対策を施すことも大切です。
クラウド型ファイルサーバーでは、サーバーの設置場所の確保で悩む必要がありません。場所の選定や確保にかかる工数やコストをなくし、設置場所へのセキュリティ対策も不要なため、スムーズな導入ができるでしょう。
スペックの追加が容易である
ファイルサーバーをクラウド化すると、スペックの追加も基本的に容易です。仮想的なサーバーやストレージのため、導入後に必要に応じた変更が可能です。
オンプレミス型では、物理的な機器で対応できるデータ容量には限りがあります。容量が不足した場合はストレージを追加するための機材を購入し、使っている環境に組み込まなければなりません。そのため、リソースの追加が簡単にはできないことが課題でした。
クラウド型ファイルサーバーの場合、サーバーやストレージなどはすべてインターネット上で仮想的に構築されています。そのため、使用量に応じてストレージ容量を増やすことが簡単にできます。導入後の使用状況に応じて柔軟にスペックの追加ができるため、最初は必要最低限のスペックのみにして後から徐々に追加することも可能です。
ただし、サービスによって後から追加できるスペックの内容は異なります。場合によっては後から追加できないケースもあるため、導入時には追加可能なスペックの内容を確認しましょう。
クラウド型ファイルサーバー導入時に確認すること
クラウド型ファイルサーバーの導入時に確認すべきポイントは以下の8つです。
- 提供機能
- 料金
- サポート体制
- セキュリティ対策
- ストレージ容量
- 通信速度
- 他ツールとの連携の可否
- 対応OS
提供機能
クラウド型ファイルサーバーを導入する際には、提供機能を確認しましょう。やりたいことが実現できる機能が揃っていれば、自社の業務で活用しやすくなります。
クラウド型ファイルサーバーの機能はサービスによって異なります。自社に必要な機能が備わっていないものを選ぶと、導入してもうまく活用できないかもしれません。別のファイルサーバーへ切り替えなければならない場合は、手間もコストも余分にかかってしまいます。
導入時には、クラウド型ファイルサーバーで実現したいことを洗い出し、必要な機能を整理することが大切です。自社に必要な機能が備わっているかを確認しながら選べば、ミスマッチを防げます。
料金
料金もクラウド型ファイルサーバーを選ぶ際に確認すべきポイントです。料金を事前に確認しておくことで、無駄なコストを抑えられます。
クラウド型ファイルサーバーは導入時だけではなく、導入後にランニングコストがかかります。サービスによって異なりますが、主な料金形態は以下の2つです。
- 月額制
- 従量課金制
月額制は毎月定額を支払う料金形態です。ストレージ容量が決まっているサーバー1台に対して金額が決まっています。従量課金制は、ユーザー数や使用ストレージ容量などによって、月ごとに支払い金額が変動する料金形態です。
決まったストレージ容量内での使用で問題ない場合は、月額制の方がコストを抑えられるかもしれません。ユーザー数やデータ量が少ない場合は、従量課金制の方が良いケースもあるでしょう。
また、スペック追加の料金も事前のチェックをおすすめします。具体的な料金はサービスによって異なるため、さまざまなサービスを比較したうえで導入するファイルサーバーを選びましょう。
サポート体制
クラウドサービス事業者のサポート体制も、クラウド型ファイルサーバーを導入する際にチェックしましょう。サポート体制が整っているサービスであれば、安心して利用できます。
先述した通り、クラウド型ファイルサーバーのメンテナンスやトラブル発生時の対応などは、クラウドサービス事業者が行います。何らかの理由によりサービスが利用できなれば、クラウドサービス事業者の対応を待たなければなりません。サポート体制が整っている場合は、トラブル発生時にも迅速に対応して復旧できる可能性が高まります。復旧が早ければ自社の業務への影響も少なくできるでしょう。
また、導入や利用方法に関する相談ができることもポイントです。例えば、従業員への基本操作のレクチャーなどがあれば、導入後スムーズに運用できます。これにより業務の効率化を促進できるでしょう。
サポート体制や内容はサービスによって異なり、場合によっては有料オプションの場合もあります。自社が受けたいサポート体制や内容が整えられているサービスを選びましょう。
セキュリティ対策
セキュリティ対策の内容も、クラウド型ファイルサーバーを選ぶ際にチェックしましょう。社内の機密情報などを保存するため、情報漏洩や不正アクセスなどに備えてセキュリティ対策が施されている必要があります。
クラウド型ファイルサーバーはインターネットに接続するため、外部からサイバー攻撃を受けるリスクがあります。また、内部の関係者によって機密情報が持ち出されないような対策も必要です。
例えば、具体的なセキュリティ対策として以下が挙げられます。
- 多要素認証
- ファイルの暗号化
- アクセス権限の管理
- アクセスログの取得
多要素認証はログイン時にパスワード以外にも生体認証などを要求し、ファイルサーバーへ容易にアクセスできないようにします。ファイルの暗号化はファイル内容を閲覧できないようにする技術です。万が一データが流出しても、暗号化されたファイル内のデータを第三者が閲覧できないよう保護できます。
また、特定のファイルへアクセスできるユーザーを限定したり、各ファイルへのアクセスログを取得したりするのもセキュリティ対策として有効です。『誰が・どのファイルに・いつアクセスしたか』が把握でき、異常に気づきやすくなります。
セキュリティを高めて安心して利用するためにも、セキュリティ対策の内容をよく確認したうえでサービスを選びましょう。
ストレージ容量
ストレージ容量もクラウド型ファイルサーバーの導入時にチェックしましょう。ストレージ容量が十分にあれば、不便なく利用できます。
ファイルサーバーで管理するデータ量に対してストレージ容量が少ない場合、後から容量を追加しなければなりません。しかし、追加時にコストがかかったり、追加しても足りなかったりするおそれがあります。ストレージ容量が足りなければデータの追加や変更などができず、業務に支障が出てしまうでしょう。しかしその逆に、容量不足を回避するためにストレージ容量が必要以上に大きいものを選ぶと、余分なコストがかかってしまうおそれもあります。
そのため、導入時にはデータ量に応じた必要なストレージ容量を、事前に把握することが大切です。ファイルサーバーで管理するデータ量を洗い出し、最適なストレージ容量を計算しておきましょう。
通信速度
クラウド型ファイルサーバーを導入する際は、通信速度もチェックしましょう。インターネット経由で利用するため、通信速度の早い方が利用しやすくなります。
通信速度が遅いと、データの送受信やアクセスがスムーズにできないかもしれません。1つ1つの動作での待ち時間は少なくても、利用する度に通信を待っていると、無駄な時間が積み重なってしまいます。また、通信を待つ度に作業が止まってしまうため、業務にも支障が出てしまうかもしれません。
通信速度が速いクラウド型ファイルサーバーであれば、通信の待ち時間が発生しないためストレスなくスムーズに運用できます。通信速度の遅さによって作業が止まることも基本的にないため、業務の効率化も進めやすいでしょう。
なお、通信速度はサービス側だけではなく自社の環境が関係しているケースもあります。自社で通信速度が遅い回線を利用していれば、通信速度が早いサービスを利用しても自社の回線以上の速度は出せません。通信速度が遅い場合は、自社のネットワーク環境も見直しましょう。
他ツールとの連携の可否
他ツールとの連携の可否も、クラウド型ファイルサーバーを選ぶ際にはチェックしたいポイントです。他ツールとの連携ができれば、データ移行や共有がしやすくなります。
既存のファイルサーバーからクラウド型ファイルサーバーへ移行する場合、データをすべて移行するには手間や時間がかかります。また、他ツールとの連携ができなければファイルサーバーと既存ツールにデータが分散し、データ管理にかかる手間が増えてしまうでしょう。
他ツールと連携できれば、データ移行の手間を軽減でき、スムーズなファイルサーバーの切り替えが可能です。データ管理にかかる手間も削減できるでしょう。
ただし、サービスによって連携できるツールや連携方法は異なります。連携したいツールを把握したうえで、連携の可否を確認しましょう。
対応OS
クラウド型ファイルサーバーの導入時には対応OSも確認しましょう。OSが対応していないとサービスを利用できません。
OSとは『Operating System』の略で、コンピューターを操作するために欠かせないソフトウェアです。パソコンで利用されている代表的なOSには以下の3つがあります。
- Windows※1
- Mac OS※2
- Linux※3
※1:Windowsは米国およびその他の国におけるMicrosoft Corporation の商標または登録商標です。
※2:Mac OSは米国およびその他の国におけるApple Inc.の商標または登録商標です。
※3:Linux は米国およびその他の国における Linus Torvalds の商標または登録商標です。
どのOSも担っている役割は変わりません。しかしOSによって仕組みが異なります。ソフトウェアやアプリケーションはOSに対応していないと利用できない点に注意が必要です。例えば、WindowsのOSが入っているパソコンに、Mac OS対応のソフトウェアを入れても動きません。
導入したクラウド型ファイルサーバーの対応OSと自社のパソコンのOSが異なっていれば利用できないため、契約や設定をし直す必要があります。それによって導入が遅くなったり余分な費用が発生したりするかもしれません。スムーズに導入を進めるためにも、対応OSは必ず確認しましょう。
まとめ
クラウド型ファイルサーバーはインターネットを介して手軽に利用できるサービスです。オンプレミス型と比べて初期費用を削減しやすく、短期間で導入できます。メンテナンスもクラウドサービス事業者に一任できるため、運用にかかる負担軽減もできるでしょう。
また、拡張性に優れておりスペックの追加や変更が容易な点も特徴です。利用状況にあわせて柔軟に変更できるため、導入後も自社に必要なスペックや機能を追加できます。
自社に最適なクラウド型ファイルサーバーを選ぶには、欲しい機能や予算などをあらかじめ厳密に洗い出すことが大切です。クラウド型ファイルサーバーの導入を検討している方は、ぜひ当社へご相談ください。