フォーカスノート
クラウド化の費用は?導入コストだけではなく運用管理費を下げる方法も解説
目次
「クラウド化する際にかかる費用って、どれぐらいなんだろう」
「クラウド化させる際のコストを削減したい」
クラウド化を進めている方の中には、上記のようなお悩みを持っている方もいるのではないでしょうか。 クラウド化する際にかかる費用は、サービスや機能によって変わります。機能が充実していれば、その分利用料が高くなる場合もあるでしょう。無駄なコストを発生させないためには、自社に最適なサービスを選ぶことが大切です。
本記事ではクラウド化にかかる費用、導入・運用管理コストの削減方法、クラウドサーバーを選ぶポイントを解説いたします。クラウド移行費用に関するよくある質問も解説いたしますので、クラウド化のコスト関係でお悩みの方はぜひご参考ください。
クラウド化の費用は?オンプレミス型と比較
クラウド化にかかる費用を以下の2項目で解説いたします。
- クラウド化の相場
- クラウド型とオンプレミス型のコストを比較
クラウド化の相場
クラウド化する際にかかる費用は、サービス・利用する条件・オプションなどによって変わります。例えば、使用するCPU・メモリ・ストレージの量など、消費するリソースの量に基づいて料金が計算されることがあります。自社に最適なプランを選んだうえで、かかる費用を算出する必要があるでしょう。
また、クラウドサービスの利用料は毎月支払う場合もあれば、年に1度支払う場合もあり、長期的な視点でコストを把握することが大切です。
クラウド型とオンプレミス型のコストを比較
利用条件などにもよりますが、クラウド型とオンプレミス型では、基本的にオンプレミス型の方が初期費用は高い傾向にあります。オンプレミス型では物理的なサーバー・ネットワーク機器・ストレージなどのハードウェアを購入する必要があるためです。さらに、これらの設備を運用するためのスペース・セキュリティ対策などの費用も考慮しなければなりません。
一方、クラウド型はサーバーの購入などが必要なく、オンプレミス型よりも初期費用を大幅に抑えられます。サービスの保守・運用はクラウドサービス提供事業者が行うため、自社での費用負担は基本的に発生しません。
このように、クラウド型とオンプレミス型ではかかるコストは異なります。初期費用を抑えたい場合は、クラウド型の方が良いでしょう。
クラウドサーバーなどを導入する際の費用内訳を解説
ここでは、クラウドサービスの一種であるクラウドサーバーを導入する際の費用内訳を、以下の6項目で解説いたします。
- 導入費用
- 月額基本料金もしくは従量課金
- オプション料金
- ライセンス費用
- 人件費
- 通信費
導入費用
クラウドサーバーを導入する際、まず導入費用が必要です。サービスの契約や初期設定費用などがかかる場合があります。
クラウドサービスの中には、導入費用が必要ないものも少なくありません。例えば、契約時に費用が発生せず、自社で初期設定などもできる場合は導入費を0円にできるでしょう。しかしサービスによっては、初期設定が複雑で自社では対応できない場合もあります。
こうした場合に活用できるのが、クラウドサービス提供事業者による有料での導入支援です。便利ではありますが、このようなサポートサービスを受けると、費用が発生するでしょう。
また先述した通り、クラウド型ではサーバーなどの購入や、システム構築などは必要ありません。高額な機材を購入する必要がないため、初期費用を抑えやすいでしょう。
月額基本料金もしくは従量課金
クラウドサーバーを導入した場合、月額基本料金もしくは従量課金によるランニングコストがかかります。月額基本料金は、サービスを利用するために最低限かかるコストです。サービスの利用状況にかかわらず、契約利用している限りは毎月一定額がかかり続けます。
従量課金では、主に以下の要素で金額が変動します。
- 利用データ量
- 接続端末数
- 利用時間
例えば、利用データ量が多くなればなるほどコストは膨らみます。利用頻度が高い場合にはコスト負担が大きくなるでしょう。逆に利用データ量を減らすことでコストが抑えられます。
サービスによっては月額基本料金と従量課金を組み合わせた料金体系になっている場合もあります。サービスを選ぶ際には料金体系がどのようになっているか確認しましょう。
オプション料金
クラウドサーバーを導入する際には、オプション料金が必要になる場合もあります。クラウドサーバーの場合だと、主なオプションは以下になります。
- メモリ増設
- ドメイン追加
- 回線のアップグレード
- セキュリティ対策
- 運用サポート
例えば、サービスの基本プランで設定されているメモリでは足りない場合に、オプションで増やすケースがあります。また、セキュリティ対策をより強化したり、運用のサポートを受けたりするためのオプションが必要なケースもあるでしょう。導入時だけではなく後から追加できるものもあるため、自社の利用状況に合わせて追加可能です。
オプション関連の費用を抑えたい場合は、最初はオプションをなくしたり最小限にしたりし、実際の利用状況を鑑みてから、適宜追加すると良いでしょう。
ライセンス費用
クラウドサーバーを導入するには、ライセンス費用もかかります。ライセンス費用とは、サービスを利用するために必要な費用です。サービスによって名称や種類は異なりますが、ライセンス費用には、主に以下の種類があります。
- 基本ライセンス
- ユーザーライセンス
基本ライセンスは1契約に対するライセンス費用です。契約したサービスを利用するための費用のため、利用人数などの条件では変動しません。
ユーザーライセンスは利用するユーザー数によって変動するライセンス費用です。登録するユーザー数が増えれば増えるほど費用は大きくなります。
ライセンス費用は1年に1回支払う年額制と毎月支払う月額制の場合があります。サービスによって異なるため、支払うタイミングを事前に確認しましょう。
人件費
システムを適切に運用するための人件費も必要です。具体的には、主に以下の人件費がかかります。
- システム管理者の人件費
- プロジェクトマネージャーの人件費
クラウドサーバーをうまく活用するには、ある程度のIT関連の知識が求められます。専門知識を有した人材がいれば、知識に基づきクラウドサーバーの適切な運用が可能です。クラウドサーバーを有効活用するために、人件費の確保も行いましょう。
通信費
クラウドサーバーを導入すれば、通信費がかかります。クラウドサーバーはインターネットを介して利用するサービスです。インターネットに接続しなければ利用できないため、インターネット回線の使用料などが毎月発生します。
通信費には主に以下が該当します。
- 回線使用料
- プロバイダー料金
- データ通信料
プロバイダーとはインターネット回線をつなげるサービスや事業者のことです。インターネットは回線をつなげるだけでは利用できず、プロバイダーを契約することで初めて利用できます。
回線とプロバイダーは別の場合と一体になっている場合があります。インターネット環境を整える際には、複数サービスを比較し、最適な回線やプロバイダーを選択しましょう。
また、クラウドサービスを利用すれば通信するデータ量が増加し、その分データ通信料が増える可能性があります。契約しているプランのデータ通信量の上限や、上限を超えた場合にかかるコストをあらかじめ確認しましょう。
導入・運用管理コストを削減する方法
導入・運用管理コストを削減する方法としては以下の4つが挙げられます。
- 必要な機能を事前に決める
- 予算を事前に設定しておく
- 使用状況を常にモニタリングする
- ライセンス数を調整する
必要な機能を事前に決める
導入・運用管理コストを削減するために、必要な機能を事前に決めましょう。事前に決めておくことで、機能が多く利用料が高いサービスを契約したり余分な機能を追加したりするのを防げます。
必要な機能を事前に決めていない場合、サービスを選ぶ基準が曖昧になってしまいます。基準がないまま、とりあえず多様な機能が搭載されているサービスを導入すると、利用料が高額になってしまうかもしれません。必要な機能を事前に決めておけば、こうした無駄なコストがかかるのを防げます。
必要な機能を決める際には、クラウド化する目的を明確にしましょう。導入して何を実現したいのかなどの目的を明確にすれば、その目的達成のために必要な機能を絞り込めます。不要な機能によって無駄なコストが発生しないよう、導入目的に基づき、あらかじめ必要な機能を決めましょう。
予算を事前に設定しておく
予算を事前に設定しておくことも、導入・運用管理コストの削減のために大切です。予算を決めておけば、予算内に収まるように調整してサービスを導入できます。
予算が決まっていない場合、クラウド化する際における費用の全体像を把握しないまま導入を進めてしまうおそれがあります。使用するかわからない機能をつけたり必要ないオプションを追加したりして、費用が膨れ上がってしまうケースもあるでしょう。
あらかじめ予算を設定しておけば、予算内で導入できるサービスを探したりオプションを吟味して必要なものだけに絞れたりします。これにより余分なコストが発生するのを防げるでしょう。
予算を決める際には、主に以下3つの指標に基づき算出しましょう。
- 利益予算
- 売上予算
- 経費予算
利益予算は売上から原価や経費を引いて算出する指標です。企業の業績の善し悪しを示す指標であり、利益率を高めることが企業の安定した運営や成長につながります。
売上予算は企業の営業活動によって得る売上目標のことです。市場の動向や過去の実績などに基づき、より高い数値を目標にします。
経費予算は企業が活動するうえで必要な原価以外の支出に関する指標です。企業が活動するには、人件費や光熱費などさまざまな費用が発生します。クラウド化にかかる費用や管理コストも経費に該当します。
これらの指標に基づき、予算を設定しましょう。
使用状況を常にモニタリングする
使用状況を常にモニタリングすることも、導入・運用管理コストの削減につながります。モニタリングすれば使用状況を把握でき、不要な機能の削除などのコストカットが可能です。
クラウドの場合、使用機能やデータ使用量などによって金額が変動します。そのため、どのようにサービスを利用するかを事前に想定し、機能やスペックを検討することが大切です。
しかし、導入前に必要な機能やストレージ量を吟味していても、実際に使用してみると必要なかったと判明することは少なくありません。必要ないとわかった機能やストレージ量をそのままにしていれば、その分コストがかかってしまいます。
使用状況をモニタリングしていれば、機能ごとの使用状況やデータ使用量などの可視化が可能です。これにより不要な機能の削除やストレージ量の調整などができ、コストカットにつながります。
なお、月によってデータ使用量が大幅に変動する場合や、使用頻度が高くなくても必要な機能などもあります。短期間の使用状況だけを参考にするのではなく、長期的な視点で調整しましょう。
ライセンス数を調整する
導入・運用管理コストを削減するには、ライセンス数を調整することも大切です。登録するユーザー数を絞ったり、使用していないライセンスを削除したりするなどの調整をすれば、ライセンス費用の削減につながります。
先述した通り、ライセンス費用の中には登録ユーザー数などによって変動するものもあります。これは、1度ライセンスを登録すれば削除するまでライセンス費用がかかり続けるものです。そのため、ライセンス登録する人数の上限をあらかじめ決めておくのが良いでしょう。上限を決めておけば、ライセンス数が増えすぎて、コストが膨らむのを防げます。業務に必要なライセンス数を確認し、増えすぎないように調整しましょう。
クラウドサーバーなどを選ぶ際のポイント
クラウドサーバーなどといったクラウドサービスを選ぶ際のポイントは、主に以下の2つです。
- 費用対効果で選ぶ
- 使いこなせるかをチェック
費用対効果で選ぶ
費用対効果に基づき選びましょう。費用対効果が高いものであれば、無駄な出費を抑えて効果的に利用できます。
例えば、無理にコストを抑えようとして機能が少ない安価なクラウドサービスを導入しても、必要な機能が備わっていなければ活用できません。活用できていないと、コスト面の負担だけが大きくなってしまうおそれがあります。費用対効果の高いクラウドサービスであれば、無駄なコストを発生させることなく活用できます。
そのためには、自社に最適な機能やスペックなどが揃っていることと、コスト面でのバランスが取れているか確認することが大切です。クラウド化によって実現したいことや、かけられる予算などを総合的に考慮し、費用対効果の高いサービスを選びましょう。
使いこなせるかをチェック
使いこなせるかチェックすることも大切です。使いこなせるクラウドサービスを選べば、業務で活用しやすくなります。
クラウドサービスによって機能や仕様は異なるため、使い勝手も違います。似たような機能であっても操作方法がわかりやすい場合もあれば、使いにくいと感じる場合もあるでしょう。使いにくいクラウドサービスを選択してしまうと、機能をうまく活用できないかもしれません。
そのため、導入前にクラウドの仕様や操作方法を確認し使いこなせるかチェックすることが大切です。中には、無料トライアルが利用できるものもあります。無料トライアルがある場合は、試験的に導入して使い勝手を確認しましょう。
クラウドへの移行費用にてよくある質問
ここでは、よくある質問について解説いたします。
- そもそもクラウド化とは何ですか?
- クラウドネイティブとは何ですか?
- システムインテグレーションコストとは何ですか?
そもそもクラウド化とは何ですか?
クラウド化とは、自社で管理していたシステムやデータを、インターネットを介して利用できるサービスへ移行することを指します。インターネットを介して提供されるサービスは『クラウドサービス』と呼ばれ、主に以下のようなサービスがあります。
- クラウドサーバー
- クラウドファイルサーバー
- クラウド型会計ソフト
- クラウド型顧客管理システム
- クラウド型生産管理システム
これらのサービスが登場する以前は、社内にサーバーを設置したりソフトウェアを構築したりしていました。しかし先述したように、サーバー設置などを行う場合は、環境構築のために膨大な費用や時間が必要です。
クラウドサービスであれば、自社でサーバーやソフトウェアなどを用意しなくても、インターネットがつながる環境であればすぐにサービスが利用できます。環境構築のための費用もかからず、短期間での導入が可能です。クラウド化を進めれば、ITシステム関連のコストや手間の軽減ができるでしょう。
なおクラウド化の詳細は以下の記事をご参考ください。
クラウド化とは?オンプレミス型との違い・メリット・デメリット・導入事例を解説
クラウドネイティブとは何ですか?
クラウドネイティブとは、クラウドの利用を前提としてシステムを開発する考え方のことです。クラウドネイティブは、オンプレミス型でできたことを、クラウドへ単に置き換えるだけが目的ではありません。クラウドならではの利点を活かしたシステムを構築するため、以下のメリットがあります。
- システムの修正や変更がしやすい
- 障害発生時の影響を抑えられる
クラウドネイティブでは、アプリケーションを機能ごとに細かく分け、それぞれを連携させるマイクロサービスという仕組みが取り入れられています。細分化されたアプリケーションの組み合わせを変えることで、柔軟なシステムの修正や変更が可能です。
また、細分化により障害発生時にはどこに原因があるか発見しやすくなります。他のアプリケーションは稼働させたままで障害や不具合がある部分だけピンポイントで対応が可能です。これにより、障害や不具合の影響を最小限に抑えられます。
システムインテグレーションコストとは何ですか?
システムインテグレーション(System Integration)コストとは、複数のソフトウェアやコンピューターを統合し、新たな1つのシステムを開発もしくは構築する際にかかるコストのことです。
複数のソフトウェアなどを組み合わせ、利便性や効率性の向上などを目指します。
システムインテグレーションを請け負うサービスは『SI』、事業者は『SIer』と呼ばれます。最適なコストでシステムインテグレーションを行うには、自社で行う場合と外注する方法があります。外注をする場合は、クラウドサービス提供事業者の比較を行いましょう。
なお当社はSIerです。システム開発に関する業務を幅広く請け負っておりますので、一度ご相談ください。
まとめ
クラウド化する際、さまざまな費用がかかります。 初期費用を抑えての導入が可能な一方で、月額基本料金や従量課金などのランニングコストがかかります。ランニングコストはサービスを利用している間はかかり続けるため、利用条件や規模などによってはコストの負担が大きくなるかもしれません。
導入・運用にかかる費用を最適化するには、機能を絞ったりライセンス数を調整したりすることが大切です。使用状況をモニタリングし、無駄なコストがかからないように、機能やスペックなどを適宜調整しましょう。クラウド化する際の費用にお悩みの方は、ぜひ当社へご相談ください。