フォーカスノート
業務効率化の事例5選|生産性向上などのメリットや導入を成功させるポイントを解説
目次
「業務を効率化できた事例を知りたいな」
「どのようなメリットがあるのだろう」
このような疑問を持つことがあるかもしれません。業務を効率化できた成功事例はいくつもあります。 例えばIoT・RPA・AI-OCRなどを用いて、業務を効率化できた事例があります(各ツールの解説は後述)。業務を効率化することにより、負担の軽減や人件費削減を期待できるでしょう。
ただし、業務を効率化させる際には、いくつかのポイントがあります。ポイントを踏まえてツールを導入することで、業務効率化の成功確率を上げられるでしょう。
そこでこの記事では、業務効率化の成功事例・メリット・導入を成功させるポイント・よくある質問を解説いたします。ぜひご参考ください。
アイデアの参考に!業務効率化の成功事例
ここでは業務効率化の成功事例を解説いたします。
- 業務効率化の成功事例その1|IoT
- 業務効率化の成功事例その2|RPA
- 業務効率化の成功事例その3|リモートワーク
- 業務効率化の成功事例その4|ナレッジ共有
- 業務効率化の成功事例その5|AI-OCR
業務効率化の成功事例その1|IoT
当社の事例で、IoT※を用いて業務を効率化させた事例があります。
※IoTは、モノのインターネットと訳され、家電製品・自動車・建物などがインターネットに接続され、データを収集・交換することで、より便利で効率的なシステムを実現する技術です。これにより、遠隔制御・自動化・リアルタイムモニタリングなどが可能になります。
【事業の成果】
1 子牛の「体調変化の前兆」と「推測される運動傾向」の異常値を発見
子牛の体調が悪化する前兆を検知することが可能になれば、早期の治療を開始する事が出来、子牛出荷までの病気による損耗率を低下させることが期待されます。2 カスタマイズできる位置表示アプリケーションを開発
位置表示アプリケーションの開発により、子牛の行動を遠隔地からでも観測することが可能となりました。 また、同アプリケーションは様々な産業のニーズに沿って、図面をカスタマイズすることも可能です。
引用元:株式会社フォーカスシステムズ|滋賀県近未来技術等社会実装推進事業でIoT位置測位技術を活用 ~ もっとたくさんの“近江牛”、食卓に届け ~(2024年2月16日時点)
子牛の体調が悪化する前兆を早期に検知できれば、速やかに治療を開始できます。これにより、病気による子牛の損耗率を効果的に低下させることが期待されます。食肉用牛・畜産規模100頭のケースで言えば、約90万円相当の出荷量増加・経営改善が期待されます。
また、位置表示アプリケーションの開発により、子牛の行動を遠隔地から観測することが可能となりました。従来のように子牛を探し回らなくて済むようになるでしょう。子牛の管理業務の効率化を期待できます。
業務効率化の成功事例その2|RPA
RPA※を用いて、業務の効率化に成功した事例もあります。
※RPAは、ソフトウェアロボットなどを用いて、人間の代わりに定型的な業務プロセスを自動化する技術です。主に繰り返し行われる単純作業に用いられ、効率化・コスト削減・ヒューマンエラーの低減などの効果を期待できます。
ある自治体では、文書やデータの整合性を人手でチェックする作業について、委託事業者の作業プロセスを報告内容や実績に基づき棚卸し・見直しを行い、一部業務をRPAにて代替させることで委託工数が軽減し、工数の低減によるコスト削減が可能となりました。
引用元:内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室|RPA導入実践ガイドブック|37ページ目(2024年2月16日時点)
人手で行っていた繰り返し作業をRPAに代替させることにより、作業の自動化を実現し、人的リソースの負担を軽減しました。RPAによる自動化は、人的ミスを減らし、作業の一貫性と正確性の向上を期待できます。これにより、データの整合性やチェックの品質が向上するかもしれません。作業の自動化により節約された人的リソースは、コア業務へと再配分できるでしょう。
業務効率化の成功事例その3|リモートワーク
リモートワークによって業務を効率化できたケースもあります。
生産性の向上、人材の確保
・顧客への迅速・的確な対応が可能になります。(営業職)
・計画的、集中的な作業実施によって、業務効率の向上を可能にします。(研究・開発職、スタッフ職、営業職など)
・柔軟な働き方は、知識・経験豊富な人材の離職防止・新たな人材の確保にもつながります。
オフィスコストの削減
オフィスペーパー、ペーパーコスト、通勤・交通コストを削減します。
事業継続性の確保(BCP)
非常災害時やパンデミック(感染症流行)時において、迅速に事業を継続することに役立ちます。
引用元:総務省|地域企業に学ぶテレワーク実践事例集~中小企業・小規模事業者によるテレワーク導入の取組~|2ページ目(2024年2月16日時点)
営業職は顧客からの要望に迅速かつ的確に対応できるようになりました。これにより業務の効率化はもちろん、顧客満足度の向上にもつながるかもしれません。研究職などの場合、計画的かつ集中的な作業を可能にする働き方は、タスクの効率化と生産性の向上を期待できます。研究や開発に集中できる環境を整えることで、大きな成果をもたらしてくれるかもしれません。
業務効率化の成功事例その4|ナレッジ共有
ナレッジ共有※で、業務を効率化できた事例もあります。
※ナレッジ共有は、知識・経験・ノウハウなどの共有を促進するプロセスや活動のことを指します。ナレッジ共有により、組織全体の知識基盤が強化され、イノベーションの促進や問題解決能力の向上を期待できます。
土木現場の施工・設計技術者の技術レベル向上・現場担当者数減少による技術レベル低下防止のために、過去の土木プロジェクトの情報や技術情報のデータベースを導入。また、施工・設計に関する質問に掲示板に登録すると知識を有する者からのアドバイスを受けられるシステムを構築。
引用元:国土交通省国土技術政策総合研究所|民間企業によるナレッジマネジメントの目的と概要|83ページ目(2023年2月16日時点)
この事例の組織では、現場担当者数の減少による技術レベルの低下を防ぐために、データベースと掲示板システムが導入されました。データベースなどを通じて、必要な情報や知識を迅速に取得できることは、時間の節約につながります。これにより、意思決定プロセスが加速し、プロジェクトやタスクの進行がスムーズになるでしょう。
業務効率化の成功事例その5|AI-OCR
AI-OCR※を利用することで、業務を効率化できた事例もあります。
※AI-OCRは、人工知能技術を活用した光学文字認識のことです。従来のOCR技術は単純な文字認識に留まっていましたが、AI-OCRは機械学習やディープラーニングを用いており、手書き文字・レイアウトが複雑な文書でも、高精度な文字認識が可能です。これにより、データの自動入力・アーカイブの効率化などが可能になります。
•AIを活用した最新技術をOCR(Optical Character Recognition)に付加し、文字認識技術と機械学習により、手書き文字の認識率を大幅に向上
•通常のOCRが50~70%のところを、機械学習を継続することで90%以上を実現(申請書の書式統一などのBPRにもつながる)
•港区コミュニティバス乗車券発行申請書の事務で本格導入済み
•RPAと組み合わせ、1業務で年間900時間削減
引用元:神奈川県|「港区AI元年」~AI・RPAによる区民サービス向上と働きやすい職場づくり~|33ページ目(2024年2月16日時点)
この事例では、AI-OCRと先述したRPAを組み合わせたことで、業務プロセスを自動化し、大幅な時間削減を実現しています。
まず、AI-OCRを用いて、手書きで記入された申請書から文字情報を読み取ります。そして、読み取った情報をデジタルのテキストデータに変換します。この変換プロセスによって、申請書に記載された情報がデータベースやシステムで扱える形式になります。
その後、変換されたテキストデータをRPAが受け取り、必要なシステムやデータベースへの情報入力作業を自動で行います。RPAは定義されたルールに基づき操作を自動化するため、人間の手作業によるデータ入力をなくし、900時間の作業時間削減につながりました。
業務を効率化させるメリットを解説
ここでは業務を効率化させるメリットを解説いたします。
- 生産性を向上できる
- 従業員が働きやすくなる
- コストを削減できる
生産性を向上できる
業務を効率化することで、生産性を向上できます。インプットを削減できるため、結果的に生産性が向上します。
例えば、製造業であれば、手作業による在庫管理やデータ入力に時間がかかりがちです。倉庫は広く、製品は膨大であることが多いからです。また手作業によるデータ入力は、入力ミスや情報の遅延が発生する可能性もあります。この状態では、生産性が高いとは言えないでしょう。
しかし、在庫データの収集・分析・報告を自動化するソフトウェアを導入すれば、在庫レベルのリアルタイムモニタリング・製品の需要予測・発注プロセスの自動化などが可能です。自動化により、データ収集と分析が迅速に行えます。
また在庫レベルと需要の正確な把握により、生産計画をより効率的に立てられます。過剰在庫や品切れのリスクが減少し、生産ラインの稼働率を向上できるかもしれません。
そして何より、業務効率化によって新たな価値を生み出せます。例えば、業務効率化によって生まれた余剰時間を、新たな事業やサービスの開発に充てることで、新たな価値を生み出せるでしょう。
従業員が働きやすくなる
業務を効率化することで、従業員が働きやすくなります。意思決定を迅速化できるからです。
例えば、ソフトウェアを自社で開発もしくは外注する場合、開発チーム・デザインチーム・マーケティングチームなどは、それぞれ異なる情報を持っているものです。そのため、各自が情報を確認・共有・意思決定するには、従来だとミーティングやメールのやり取りがその都度必要でした。この状態では、最新の進捗や変更点を把握するのに時間がかかりすぎます。やりたいこと・すべきことがあったとしても、すぐには行動できません。その結果、プロジェクトの進行も遅れやすいでしょう。
しかしプロジェクト管理ツールを導入すれば、タスクの割り当て・進捗状況・変更履歴をリアルタイムで一元管理できます。ツールによっては、自動更新も可能でしょう。各チームメンバーが必要な情報をいつでも確認でき、情報共有や意思決定を迅速にできます。これにより、プロジェクトやタスクの進行がスムーズになり、働きやすさが向上するでしょう。
また先述したように、業務の効率化によって、同じ量の業務をこなすために必要な労働時間を短縮できます。従業員は残業や休日出勤を減らすことができ、ワークライフバランスの改善が期待できるでしょう。ストレスレベルの低下を期待できるかもしれません。
コストを削減できる
業務を効率化することで、コストを削減できます。一定の成果を上げるために必要な時間を削減できるからです。
例えば、ある顧客サービスセンターでは、顧客からの問い合わせに対応するために、従業員が手動で顧客データベースを検索し、顧客履歴を確認していたとします。このプロセスでは時間がかかり、1件の問い合わせに対して平均10分を要していたとしましょう。
顧客管理システムを導入すれば、顧客の問い合わせ履歴や購入履歴を自動で一元管理・表示させることが可能になります。その結果、顧客からの問い合わせに対する対応時間を平均10分から5分に短縮できるかもしれません。その結果、1人の従業員が1時間に処理できる問い合わせ件数を大幅に増やせます。つまり、1件を処理する際に必要な人件費を減らせるということです。年間単位で考えると、大きなメリットと言えます。
また業務の自動化やプロセスの標準化は、ヒューマンエラーの減少にもつながります。ヒューマンエラー数が減ることで、修正にかかるコストの減少も期待できます。
業務効率化ツールの導入を成功させるポイント
ここでは業務効率化ツールの導入を成功させるポイントを解説いたします。
- 業務効率化の目的を明確にする
- 各業務に最適なツールを精査する
- 検証と改善を繰り返す
業務効率化の目的を明確にする
業務効率化ツールの導入を成功させるには、業務効率化の目的を明確にすることが必要不可欠です。 明確な目的を持つことで、達成したい目標に最適な業務効率化ツールを選べます。すべてのツールがすべての問題に対応できるわけではないため、目的に応じた最適なツールを選ぶことが重要です。
目的を明確にする際は、マインドマップを利用するのがおすすめです。マインドマップとは、中心のアイデアから放射状に枝分かれする形で情報を整理する視覚的ツールのことです。目的・目標・関連するアクション・リソースなどをマッピングすることで、全体像を把握しやすくなります。視覚的に把握することで、現状や課題を理解しやすいでしょう。
各業務に最適なツールを精査する
業務効率化ツールの導入を成功させるためには、各業務に最適なツールを精査することが必要です。各業務に最適なツールは、主に以下のようになります。
業務例 | ツール例 |
---|---|
経理 | 会計ツールなど |
営業 | 顧客管理ツールなど |
マーケティング | Webサイト分析ツールなど |
人事 | 従業員評価システムなど |
法務 | 契約管理ソフトウェアなど |
業務ごとに最適なツールが異なるのは、業務内容がまったく異なるためです。例えば経理であれば会計関連業務がメインになりますし、営業であれば顧客関連が中心になるでしょう。そうなると、ツールに対して求める機能も当然異なります。
また、仮に同系統のツールであったとしても注意が必要です。ツールごとに特徴が以下のように異なるからです。
ツールによって異なる点の代表例 | 具体例 |
---|---|
機能 | 分析 レポート作成など |
コスト | 導入費用 運用費用など |
利便性 | インターフェース アクセシビリティなど |
拡張性 | 機能の追加 既存システムとの連携など |
セキュリティ | データ保護 アクセス権限など |
サポート体制 | 導入後のサポート 出張サービスなど |
機能やコストに目が行きがちですが、確認する点は他にもあるということです。拡張性やセキュリティなども含めて、総合的に判断しなければなりません。各業務の現状を調査および分析し、本当に必要なツールを精査しましょう。
各業務を調査する際は、プロセスマッピングを行うことがおすすめです。プロセスマッピングは、組織の業務プロセスを視覚的に表現する手法です。プロセスの各ステップ・タスク・参加者・プロセス間の相互作用を図示することで、課題が明確になるでしょう。また、この際に関係者にヒアリングも行うこともおすすめです。現場の意見を聞くことで、別の課題が判明するかもしれません。
そして、判明した課題を解決し得るツールを複数ピックアップし、相見積もりを取りましょう。機能やコストだけでなく、利便性なども比較しやすくなり、自社に最適なツールを選びやすくなります。公式ホームページなどを確認して不明な点がある場合は、その際に質問すると良いでしょう。
万が一、相見積もりを取っても決断できない場合は、無料トライアルを試してみると良いかもしれません。実際の使用感を確かめることで、自社に最適なツールか否かを判断できます。導入後に後悔がないよう、この段階でしっかりと精査してください。
検証と改善を繰り返す
業務効率化ツールの導入を成功させるには、検証と改善を繰り返すことが重要です。導入しただけで満足せず、業務の効率化・コスト削減などを実現できているかを確かめましょう。
検証を行う際は、目的の達成に直結する数値を確認しましょう。例えば、一般オフィスで『コストの削減』がツールの導入目的なのであれば、検証対象の例として、以下のようなものがあります。
検証例 | 具体例 |
---|---|
固定費 | 通信費 セキュリティ費 メンテナンス費 |
変動費 | 交通費 出張費 印刷代 |
人件費 | 研修費 残業代 休職手当 |
各数値を確認した後は、現場担当者からフィードバックをもらいましょう。各数値を確認することも大事ですが、現場の声に耳を傾けることで、盲点を明らかにできます。すべてのことを数値化できるとは限らないため、ヒアリングは重要です。
定量的および定性的データを分析した結果、改善の必要性が出た場合は、まずは小さく改善策を実施していきましょう。大規模な変更を一度に実施するのではなく、小さな変更を段階的に実施し、その影響を確認・記録するのがおすすめです。これにより、リスクを低減し、何が効果的であるかをより正確に判断できます。焦らずに、確実に改善していきましょう。
業務を効率化させる際によくある質問
ここでは業務を効率化させる際によくある質問を解説いたします。
- そもそもDX化とは何ですか?
- 業務の効率化に役立つツールを教えてください
そもそもDX化とは何ですか?
DX化(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用して企業や組織のビジネスモデルや業務プロセスを根本的に変革し、新たな価値を創出および競争力を高める取り組みです。
DXと言うと『ITツールを導入し、業務を効率化すること』とイメージしがちかもしれませんが、厳密には少し異なります。確かにITツールを導入し、業務を効率化することもDXではありますが、それがすべてではありません。企業文化・顧客との関係性・市場での競争方法までをも再考し、革新的な改革を目指すことが、DXです。業務効率化はあくまで『変革にいたるまでのプロセス』にしか過ぎないということです。
そのためツールを導入し、仮に業務を効率化できたとしても、完全にDX化できたとは言い難いです。業務効率化を経て、企業文化の変革・顧客との関係性向上・競争上の優位性確立を実現できて、初めてDX化できたと言えるでしょう。この頃には、新たなデジタル時代にも勝ち残れる地盤を築けているかもしれません。
なおDXに関する詳細は以下の記事をご参考ください。
DXで業務効率化!作業時間削減などのメリット・導入手順・事例を解説
業務の効率化に役立つツールを教えてください
業務内容にもよりますが、効率化を実現できるツールは数多くあります。
- プロジェクト管理ツール
- タスク管理ツール
- ドキュメント管理システム
- 顧客管理ツール
- チャットツール
- 会計・財務管理ツール
- 在庫管理ツール
- 人事管理ツール
- ソーシャルメディア管理ツール
- クラウドストレージサービス
- データ分析ツール
上記は一例ですが、これらを使うことで業務効率化を期待できるでしょう。ただし先述したように、導入する際は自社に最適なツールを選んでください。自社の業務内容・プロセス・利用条件などにマッチしないツールを導入したとしても、業務効率化は難しいでしょう。しっかりと検証をしてから選択してください。
まとめ
ここまで業務効率化の事例やメリットなどを解説してきました。業務の効率化は企業にとって重要な取り組みです。 事例でも解説しましたが、業務を効率化することで、業務プロセスの最適化・時間の節約・コスト削減など、多くのメリットがあります。これらに課題を抱えている場合は、業務の効率化に取り組むことをおすすめいたします。
ただし、業務効率化ツールの選定と導入には、明確な目的・適切なツールの選択などが重要です。そうすることで、効果を最大化できるでしょう。もし業務の効率化に関するお悩みがあれば、当社にご相談ください。